忍者ブログ

Minority Hour

こちらはFF7 クラウドとティファ のCPを中心とする二次創作小説を扱うサイトです。初めての方は「About this blog」をご覧下さい。コメントはwebclapからお願いします。

   

PRIDE does not let ll

プライドが許さないシリーズ。第二弾です。
ティファはちょっとドルフィンブロウみたいな動きが出来るだけの普通の子だから...



出発の朝、揃って食事を取る一行を包み込む異様な空気の発信源は、頬を赤く腫れ上がらせた青年と、恐らくそれをつけたであろう物々しい雰囲気を纏う女性だ。箸を口につけながらユフィは二つの顔を見比べるが、恐る恐る紅い瞳を伺う情け無い男をティファは無視しっぱなしである。視線に気付くと、クラウドはアタシに理不尽な職権乱用をしてくる。

「お前、今日前線に入れ」
「ゲっ、最悪。アタシ今日待機じゃん。とばっちりマジ迷惑なんだけど...」

つまりティファと交代せよとの命令だろうが、リーダーとしての威厳を微塵も感じさせないしおらしい態度に反抗する気も失せていく。

「悪い...頼む」

もーー朝っぱらから何やらかしたんだよ、コイツ...


PRIDE does not let ll


朝靄の中、伸び上がり欠伸をして澄んだ空気を吸い込む。激しい戦闘のため昨夜夕食後すぐに眠りに落ちてしまった俺は珍しく早起きだ。宿屋の食堂はまだ準備中で、当てもなく裏手を散歩する。すると、ややひらけた場所で前屈をする姿が木々の間に垣間見えた。

“スロースターターなんだよね”

そう自称する彼女が出発前に独自に体を温めていることは知っていたし、格闘家としては特段変わった心掛けでもないのだろう。神羅でも体術の訓練はあったが、ハイリスクかつ消耗も激しいそれは割に合わない戦闘スタイルで、当時は興味を示さなかったのを覚えている。しかし彼女と行動を共にするにつれ、考えを少し改めた。

単純にかっこいいよな。
踊っているかと見紛う動きは実に優美で、独特の爽快感に貫かれ時に目を奪われる。武器が手元になくても応戦出来るのも魅力的だ。

「なぁ、俺にもちょっと教えてくれ」

挨拶も他所に鍛錬に勤しむティファに声をかける。額の汗を拭うティファは意表を突かれ驚くが、特に理由も尋ねることなく快諾してくれた。

「前に押し出すというより、引くのを早めるイメージね」

ジャブを数回打ち込み、利き手でもって力強く踏み込む。「へぇ、上手いじゃない。その調子、その調子」「さすが、飲み込みが早いね!」と褒め上手な指導者は初心者を飽きさせまいと大技も交えて手ほどきをする。タイミングを図り打ち込んだ上段蹴りを肘下で受け止めたティファの顔がやや歪み、クラウドはますます乗せられた。

「そろそろ軽く手合わせ頼む」

蹴りを受けとめた手をブラブラと振るティファは少し間をおくが、「いいよ」と身構えだす。それに合わせ拳を握り締め先手を打って地を蹴ると、素早い掌打で構えを崩しにかかる。だが打ち込んだパンチの一つをパシっとつかまれギョッとしたのも束の間、そのまま拳ごと引っぱられ前のめったみぞおちに膝蹴りが入り、がら空きの首筋にもう一方の肘がクリーンヒットした。受け身を取る間も無く体は回転して地面に打ち付けられる。

「はぁ、はぁ、はぁ...」

肩で息をし仰向けに倒れたまま「...今のは卑怯じゃないのか?」と呟いた。

「ふふ、格闘技に反則なんてないって。力で劣る分、いろいろ工夫しないと」

ニッコリと微笑む涼しげな顔は汗一つかいておらず、闘争心が掻き立てられた。「もう一回だ」と立ち上がり、頭の片隅に維持していた手加減を解き放つ。持ちうる技を駆使して隙を探りにいくが、大振りになった蹴りに合わせ飛んできたカウンターを避けるのに気をとられ、軸足を払われ宙に浮くと同時に「えいっ!」とそびえ立つ大木に叩きつけられた。

「甘い、甘い」

逆さでズリズリと滑り落ちながら、手を払う得意顔に思い出す。そうだった。ティファも相当な負けず嫌いなんだった。



「も、もう一回...」
「クラウド、もうご飯の時間でしょ」

しつこく再戦をせがむクラウドにいい加減辟易しだす彼女は「ちょっとぐらい平気だって」という際限のない要求に「もう終わり!」と構えを解き背を向ける。負けっぱなしでは終われないクラウドは「うっ...」と腹を押さえその場に膝をついた。

「クラウド、どうしたの!?」

心配そうにしゃがみこんだ腰にすかさずタックルし、力に任せて組み伏す。「きゃあっ!!」と叫ぶ彼女を押さえつけるよう跨ると両手首を掴み頭の上に拘束する。やっと土をつけたと大人気なくホッとするクラウドは、悔しそうに自分を見上げる顔が漏らした声に我に返った。

「んっ、や...」

そこでようやく自らが踏んづけ図らずも堪能している形となっている太ももと、絡め取られた手を解こうとよじられたくびれに釘付けになる。これって、かなりヤバい体勢じゃ...それに腰を掴みにかかった時、頬に当たったあの感触... 慌てて飛びのき彼女の身体を解放する。

「...これで満足?」

服についた土を払いながら呆れ声を出す背中に迂闊にも呟く。

「うん、柔らかかっ...」

言い終わる前に、脳裏に星が飛んだ。



(またパンツでも盗んだのかな?)
(あの時だって、こんなに怒ってなかったよ?)

両脇に座っているユフィとエアリスが丸聞こえのひそひそ声で邪推する。

「アンタ、いったい何したのさ...」

見るからに引いている眼差しに「ちっ、違う。ただ手合わせしてただけだ」と慌てて弁解をする。

「ただ、寝技を少々...」

小声で付け加えた矢先、正面で伏せられていた紅い瞳にギロリと睨みつけられる。

「「うわぁ...」」

サーっと引きだした周囲の視線にいたたまれなくなり、当面の対処法として物理的な距離を取ろうと安直なクラウドは、返す返すみっともない。


******************


品のないお話ばかりで恐縮です。


PR
  

最新記事

(12/31)
(12/31)
(08/11)
(05/03)
(05/03)
(05/03)
(05/03)

WEB拍手

Copyright ©  -- Minority Hour --  All Rights Reserved

Design by CriCri / material by DragonArtz Desighns / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]