Minority Hour
こちらはFF7 クラウドとティファ のCPを中心とする二次創作小説を扱うサイトです。初めての方は「About this blog」をご覧下さい。コメントはwebclapからお願いします。
Short Short V
短いもの。その5。
主に触らないでシリーズです。
主に触らないでシリーズです。
ヴィン×ユフィ混ざります。
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正真正銘の、純愛
「どーせおっぱいなんでしょ!?男なんかさぁ!!」
「ちょっとユフィ、ボリューム落として...」
ダン!とカウンターにジョッキを置くユフィの手にティファは水の入ったグラスを握らせた。周囲の客達が横目を馳せ笑いを堪える。晴れて恋人となった男との関係が先へと進まないことを嘆くうら若い乙女に、傍らから慰めの言葉がかけられた。
「そんなことはない」
だがそれは逆効果であったようで、ユフィは隣で酒を煽るクラウドをキッと睨みつける。
「アンタにだ、け、は言われたくない!」
「お前、何か勘違いしてないか?俺はティファがぺったんこの頃から好きだっ...」
瞬間、鈍い音が響きツンツン頭はカウンターにめり込む。多様な役割を果たすフライパンは既に元の位置だ。
「...変な言い方しないで」
良い話だった気もするけど、言われ方一つで印象は変わるもの。
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touch him not
「うへぇ...絶対やだ、加齢臭しそう」
「ちゃんとシーツもお布団も洗ってあるって...」
バレットのベッドで眠るのを嫌がるユフィ。あまりの毛嫌いっぷりにティファは不在中の兄貴分が気の毒になる。
「ならまだクラウドのがマシ。そっち借りるよ」
だが安眠の確保は人生における死活問題である。ユフィからされた代替案に、ティファの肩はピクリと揺れた。
「あ、お二人は普段通りご一緒にお休みくださーい」と茶化してくるユフィの腕に、ティファは自らの腕を絡め「今夜は一緒に寝ようよ」と誘う。
「おろ?まぁ、良いけど...」
「積もる話もあるじゃない」
腑に落ちない顔で引き摺られて行くユフィ。嘘をごめんね。あなたであっても彼のベッドでは寝て欲しくないんだ。
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本編。ティファはいつもと違う服を着ている設定です。
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touch him not ll
絶命したモンスターの爪から解放され、地面に崩れ落ちたユフィに駆け寄り、ティファは叫んだ。
「見ちゃダメ!!」
その号令を合図に一斉に後ろを向く男性陣。
「ったぁ〜〜」
「ユフィ、大丈夫?今手当てしてあげるから」
お尻をさするユフィの胸元は下着に至るまでを鋭利な爪先でもって無残にも割かれている。だがその内側に覗く肌はかすり傷しか負っておらず、ティファは胸を撫で下ろした。ティファは自らの羽織っていた上着を脱ぎ、キャミソール一枚になるのも気にせずユフィに着せてやる。
「...!!」
だがそれには遠巻きに成り行きを伺っていた男が慌てふためいた。クラウドは素早く防具を取り払うと着ていたノースリーブのニットを脱ぎ、顔を背けたままティファに手渡す。
「...ありがとう」
タンクトップ姿となったクラウドは冷静さを取り戻すと期せずして服の交換がなされた三人を見渡し苦笑いする。
「俺のをユフィに貸せば良かったな」
ううん、これで良いの。二の腕まではみ出してくる大きな肩。まだクラウドの温もりと香りの残る生地にすっぽりと包まれながら、ティファは心の中で返事をする。
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touch him not llの続き。
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touch him not (?) llI
「クラウド。これ、洗って返すから...」
「いや...」
咄嗟に口を突いた言葉。クラウドは密かに湧いた動揺を悟られないよう口調を鎮めた。
「この後、晩飯の時に着たいから...」
そう当たり障りのない理由を述べると、「そう?」とティファも強くは抗わない。事実、彼女がそれを纏っていた時間は僅かだった。「じゃあ、すぐ着替えて返すね!」とティファは自室へと向かう。
手元に戻ってきたニットをベッドに横たえ、クラウドはまじまじとそれを見下ろす。シャワーを浴びるまでの一時間のために新しい服に袖を通すと余計な洗い物が増える。決して不自然な行動ではない。自らに繰り返し言い聞かせる。
見慣れた筈の普段着から放たれる緊張感を振り払おうと、ニットに手をかけ一思いに首を通す。その時、先刻ティファがそれを身に纏った瞬間の思考が脳裏に蘇った。つい...
(入らないかも、なんて思ってしまったが...)
邪な発想にクラウドの顔はカアっと蒸気した。無論その理由は彼女が太っているからでは無い。結果的にダボダボであった着こなしに、改めて身体の細さに気付かされる。
しかしたっぷりと余った肩や腰回りに対し、一箇所だけは内側から布が押し上げられ変わらぬ存在感を放っていた。加え、普段ティファはあまり胸元の開いた服を着ないが、ほんの数秒だけ目にしたキャミソール姿は...
そこが直に触れていた辺りにチリチリと焼ける感覚までしてきた。クラウドは夕食の時刻が過ぎている事に気付くと首を振り部屋を後にする。親しい男女間で行う戯れでの衣服の交換の疑似体験は想像以上にティファを魅力的に見せ、支配欲を満たした。夕食後、彼が入浴を面倒臭がりウダウダと時間を潰すのは毎夜の事だったが、その日は殊更その傾向は顕著であった。
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触らないでシリーズ。逆バージョン。
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touch her not
「シド、ここボタン取れそう」
「あん?」
ティファは自らの首元を指差し、付いてようがなかろうが支障のないヘンリーネックのボタンを付け直してやる。
「着たままで大丈夫だよ」
針を手前に向け、手際良く作業をこなす。その顔が思いの外近く、三十路男はデレっと表情を崩した。ティファは糸をプチっと噛み切り、「はい、終わり!」とボタンをポンと叩く。
「バレット、風邪?」
顔色が良いも悪いもない大男は、言われてみれば珍しく威勢がなかった気がする。ティファは中年男の額に手を当て「う〜ん、熱はなさそうかな」と自らのおでこと比較する。バレットは甘え声を出した。
「今朝から喉が痛ぇんだよ。薬ねぇか?」
「えーっと、ちょっと待っててね...」
「きゃっ!!」
足を踏み外したティファの身体を黄金のガントレットがすくい上げる。その瞬間、ガシッと掴まれた自らの手首にヴィンセントは眉を潜めた。ヴィンセントはバランスを持ち直したティファをゆっくりと解放する。
「お前の役目だったな」
「いや...」
内密に囁かれた台詞にクラウドは手で目元を覆い項垂れる。思わず手が出てしまった...
首を傾げ不思議そうにこちらを窺う無垢な瞳。頼むから、無防備もほどほどにしてくれよ。
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touch her not ll
それが起こったのが閉店も間際であったことは店主にとってせめてもの救いだっただろう。
「ティファ!」
ガシャンとグラスが割れる音。咄嗟に一人の男性客が椅子から腰を上げた。彼の機転の利いた行動のお陰で、突如意識を失った身体は硝子の破片の上に倒れ込まずに済んだ。上階にいた家主は異変に気付くと階段を駆け降り、ティファの正面にひざまずく。
「ティファ、貧血か?」
ティファは瞳を薄っすらと持ち上げるが、息も絶え絶えで言葉は形を成さない。額にはじんわりと汗が滲んでいた。
「喋らなくていい。楽にしてろ、上で横にならせてやる」
クラウドはティファを支えていた男を一瞥すると、「ありがとう。代わる」とティファの背中に腕を回す。グッタリとするティファを横抱きにしたクラウドは、階段を登ると居住スペースへと消えて行った。
「ティファ、大丈夫かな」
「そういえば顔色悪かった気がする...」
残された客は店主の心配をしつつも、関心は例の男に移っていった。堪えきれなくなった客の一人が吹き出す。
「全力疾走だったね」
「それも凄かったけど、声!もはや別人...」
そういう仲なのだと知ってはいたが、いざ目の当たりにすると普段とのギャップは激しい。素晴らしい反射神経を発揮した男性客の卓でも相席の友人が歯を覗かせる。
「あの人、礼なんか言うんだな」
「ああ、でも...」
彼はティファの二の腕を掴んでいた手に突き刺さった鋭い眼光を思い出し、身震いする。
「めちゃくちゃ怖かった...」
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Little Big Brother
「う〜ん...ご飯作ってもらったり、普段はお母さんだけど、お喋りしたり一緒に遊んでる時はお姉ちゃんだったり...」
ピンと立てた人差し指を顎に当て、長い付き合いになる家族について語るマリンは、急に声を潜めた。
「実は、妹みたいに思う時もあるの」
ハの字に変形した眉に、クラウドは堪らずプっと吹き出した。
「クラウドが出てっちゃった時も、ティファが一番元気なくなっちゃったんだよ。寂しくなると用事もないのに私のこと呼ぶの。その度に慰めてあげたんだから!」
「へぇ」
胸にチクリと痛い過去を掘り起こされるも、内容自体は悪くない。心が弱まり腰ほどの背丈しかない幼子に慰められるティファに思わず顔がほころぶ。今後も家族のために活躍してくれるであろう頼もしい同胞の頭にクラウドはポンと手を置いた。
「これからも、ティファのこと頼むな」
「うん!」
屈託の無い笑顔の裏で、“それでね、クラウドのことはいつだって弟だと思ってるの” とマリンがペロリと舌を出したのを、満足そうに頭を撫で続ける男は知る由もなかった。
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(2024.8.11)
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