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Minority Hour

こちらはFF7 クラウドとティファ のCPを中心とする二次創作小説を扱うサイトです。初めての方は「About this blog」をご覧下さい。コメントはwebclapからお願いします。

   

DOUBLE HER

クラウドを倍化させる二次創作はごまんとあるのに、ティファを増やすパターンが少ないと公式はお怒りである。



DOUBLE HER


デュオから差し出された契約書に、クラウドは深く考えずにサインをした。売上の10%がクラウド達に還元されるキックバックにデメリットはない。しかし...

「こんなの誰が買うんだよ...」

ゴールドソーサーの土産物売り場にズラリと鎮座した仲間達のぬいぐるみをクラウドは冷めた目で見つめる。

「えっ...?」

素っ頓狂な声が聞こえた先には、五、六個のぬいぐるみを両手一杯に抱えこんだ姿。数度瞳を瞬いたクラウドは、気まずそうにレジへと向かう昔馴染みに白い目をを向ける。

「あのな、ティファ。俺達は旅の途中だ。余計な荷物は極力減らすべきで...「聞こえません」

溜息混じりに正論で諭し始めるクラウドを、ティファは目を合わせずに遮る。

「しかも今は金欠だろ?これ、一個100ギルもするじゃないか。そんな金あるんだったら...」

武器や防具に融資して欲しかった...
続きを紡ぐのも切なそうにクラウドは天を仰いだ。

「クラウド。もう黙って」

そんな彼には構わずに、ティファは抱き抱えたぬいぐるみ達に顔を埋めた。

「あぁ...癒される...」

自らのぬいぐるみがティファの頬に押し潰されるのを見て、クラウドは少々考えを改める。もしかして、ベッドに置いて一緒に寝たりするのだろうか。昔みたいに...

そそくさと会計を済ませ逃げるようにティファが立ち去ると、クラウドは陳列棚の一角をなんとなしに眺めた。ティファが唯一購入をしなかった黒髪のぬいぐるみが赤い瞳でじっとクラウドを見つめてくる。先の一戦でそこそこ知名度の上がった女性格闘家のぬいぐるみは残り一体となっていた。

「おろ〜?これならお手軽にクラウドの妄想が叶えられるじゃん」

肩越しに背後から覗き込んできたユフィにクラウドは不意打ちされ動きを固まらせる。

「うんうん、こういうの部屋に並べてるイメージ」

腕組みをするユフィがチラリと向けた眼差しから、クラウドは憐憫の情を感じ取る。確かに昔の自分だったらやりかねん奇行であるのは認めるが、今は違う。俺とティファは今や手を繋ぐ仲だ。更には...キっ...キスだってしたんだ!こんな偽物に用はない!!

「へーこれ、服も脱がせられるのかな?」

白いタンクトップをめくろうとするユフィにクラウドは更に体を硬直させる。

「あ、ごめんごめん。アタシがここに居たんじゃ買い辛いよね」

ペロっと舌を出し「ごゆっくり〜」と手を振るユフィ。ぬいぐるみを前にして金縛りのごとく固まるクラウドは「あったあった」との男の野太い声で我に返る。ボディビルダー風のいかつい男が鼻歌混じりにティファのぬいぐるみをむんずと掴み、持ち去っていく。

「ちょっと待った!」
「あん?」

考えるより先にクラウドは男の腕を掴んだ。

「そっ...それは俺が買うつもりだったんだ」
「あぁ〜〜ん?兄ちゃんよぉ、だったら手元にキープしとけって話だ」
「...確かに俺に否がある。でも、あんただけはダメだ」
「ああぁあ〜〜〜ん!?なんだそりゃ!!」



良い大人二人がぬいぐるみの取り合いで乱闘騒ぎを起こしていると聞きつけたバレットは、野次馬を掻き分けると絶句する。

「クラウドよぉ、運命の相手は逃がすなとは言ったけどよ...」

最終的には土下座までしてぬいぐるみを死守したクラウドは、女性陣のぬいぐるみの増産を阻止すべくデュオの元へ走ったのであった。


******************


Double her=彼女を二倍に増やす



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