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Minority Hour

こちらはFF7 クラウドとティファ のCPを中心とする二次創作小説を扱うサイトです。初めての方は「About this blog」をご覧下さい。コメントはwebclapからお願いします。

   

prithee... 9


prithee... 8、の続きです。

最後の性描写が入ります。
一瞬ですが、やはり18禁でお願いします。

参考数値:裏度数【★★☆☆☆】





年が離れてるから?

教師と生徒だから?

それがなんだって言うんだ。


でもあなたにとっては、そうじゃないんだね...


prithee... 9


「懐かしいね」

「もう三冊目か」

肩を並べアルバムを覗き込む。
彼の二十歳の誕生日も旅行へ行った。

「あれ、もうないや」

冷蔵庫を開けた彼がペットボトルをかざす。

「あ、ごめんね。お水切らしちゃってた?
近くで買って来ようか」

「いや、いいよ。俺が行って来る」

“それとも...”

視線から意図が伝うが、すぐに彼は鍵を取り玄関へ向かう。
私達の仲は未だ公然ではなかった。
取り残された部屋で閉じられた扉を見つめ、ぼんやり思う。

私はいったい、どうしたいのだろう...





(29、か...)

“絶対、25までに結婚する!”

“私も!!”

いつしか級友と交わした会話。

“俺が卒業したら結婚しような。
29なんて普通だろ。それに...”


“絶対に、誰よりも綺麗だ”


「何か良い事でもあったんですか?」

「...え?」

「いや、笑ってるから」

目の前には数学教師。
二年前他校から移って来た彼は、年もキャリアも少し上だ。
サッカー部の顧問を引き継いだのでクラウドとも面識がある。

「いえ、何でもないんです。
見られてたんですね、恥ずかしいわ...」

「先生ー!!」

「ん、なんだ? あ、失礼します」

会釈をして去って行く彼は、女子生徒から人気だ。
職員室の入口で数人に囲まれる姿を眺める。

(本気の子も、いるんだろうな...)

だけどその恋が叶う可能性は低いだろう。
そして想いは自然と消えて行くんだ。
普通の場合は...

彼とは上手くやっている。
しかし教職を諦めきれない私は、関係を明かすのをまだ躊躇っていた。

母と交わした約束。
何より仕事から得られる達成感。

“最後の先生が、先生で良かった!”

昨年から任されている担任。

でも...

それは私の事情。
すぐそこのコンビニさえ連れ立って行けず、沈む顔に胸が痛む。
なのにどちらも手放せない。

私は、卑怯だ...





「クラウド、ノートありがとな。
つってもお前の字、汚すぎて3ページでコピーすんのやめたけど」

「だから言っただろ。
...俺もたまに読めないのに」

ザックスがエアリスを時々デートに誘ってるのは知ってる。
でも付き合ってはいないようだ。

“クラウド、なんで彼女...作らないの?”

幾度かされた質問。
エアリスだけじゃない。
迷わず告白を断る俺に周囲は怪訝な顔だ。

「もしかしてクラウド...
俺のこと好きな...ってぇ!!」

すぐさまみぞおちに肘を入れた。

「そう言えばお前、昔あの美人の先生と噂になったけど...まさかな」

「まさか、な」

「だよな。だって...」

本当は叫びたい。
ティファは俺のものなんだ。
三年以上も前からずっと...

卒業すれば障害はないと思ってた。
なのに関係をひた隠しにしたがる彼女。
ティファは俺と同じ気持ちにはならないのか?

...え?

「今、何て言った?」

「ん?
あの先生、うちの顧問とデキてるらしいよ」





「クラウド、どうかした?」

目の前で手を振られ我に帰る。

「今日はぼんやりしてるね」

屈託のない態度。
何より浮気なんか出来る人じゃない。
高鳴る心臓を胸に、台所へ戻る背中に問いかける。

「ティファ、うちの部の顧問と仲良いの?」

「んー? 別に普通よ。
でも席も近いしよく話すわね。何で?」

立ち上がり、後ろ姿に近寄った。

「噂が立ってる。ティファと付き合ってるって...」

「え!?」

驚き、振り返る彼女。

「違うよな?」

「違うよ...やだな、誰かが面白おかしく作ってるんだわ...」

「そうだよな?」

何てこと無い風に笑い飛ばされる。

「それを気にして元気がなかったの?
そんなこと、ある訳ないじゃない!」

「うん...」

ほら、やっぱり勘違いだ。
なら何で俺の気は晴れないんだ?


“この問いを...よそ見してるクラウド!”

“......log 91”

“流石だな”


性格が良い癖に嫌いだった。
なんとなくわかったから。
あいつはティファに気がある。
中身だけじゃなく外見も良いあいつ。
そんな奴がティファの側にいるなんて...
二年間抱えた悩みをついに打ち明ける。

「なぁ、ティファ。
俺達の関係って、まだ言っちゃ駄目なのか?」

変化する顔色に、不安は更に膨らむ。

「結婚するまでは...」

「二年後と今とで、何が違うんだ?」

「.........」

確信を得た。
彼女に俺ほどの決意と勇気は...ない。

「クラウド!?」

気付けば床に押し倒していた。
続く反応も見たくないし、責めたくもない。
ただもう...俺だけのものにしたい。

罪悪感からか、抵抗はされなかった。
眉根を寄せたまま彼女は愛撫を受け入れる。

「ティファ...」

「...ティファ!!」

俺のものになってくれよ...

いつもより早急にその行為に至る。

「え...?」

今まで一度たりとも省かなかった手順を飛ばした。

「ティファ!!」
「あ......クラウド、ダメ...」

何も身に纏わないまま彼女に吸い込まれていく。
ティファは俺の肩を押し返し、訴えた。

「ねぇ、クラウド。まだダメよ...
お願い......やめて?」

“まだ” ?

なら、いつなら平気なんだ?
そんな日、本当に来るのか?

快楽でも愛情でもなく、ただ彼女を自分のものにするためだけに腰を打ち付ける。

「...妊娠したらどうするの?」

「産もうよ。俺、働くから」

「働くって...大学は?」

「辞める」

パンッ!!

焼け付く痛みに呆然となる。

「あれだけお世話になったお母さんに、それを言えるの?」

涙が滲む瞳に鋭く睨まれた。
こんな顔を向けられたのは...初めてだ。

気付けば一人座り込んでいた。
遠くにシャワーの音が響き、床に一粒の水滴が落ちる。

俺は大切過ぎるものに心を奪われ、焦り...それを守るために自分がするべき事を見失ってたんだと思う。



(彼は悪くない...)

冷たい水に打たれ頭を冷やす。

(悪いのは全部、私だ)

“卒業すれば”
“結婚するまでは”

決断を後回しに逃げ続け、期待させ続け...
とうとう深く傷付けた。

(両方とも欲しいだなんて、虫が良すぎたのよ...)

夢を捨てられない私に、彼を得る資格はない。

“将来はプログラマーになりたい。それか映画のCG担当。
学生の相手なんて、死んでもごめんだね”

生き生きと語られる夢を奪う資格も...ない。



カチャ...

浴室を出ると、彼は廊下の壁にもたれていた。
赤く腫れた頬以上に、表情がいたたまれない。

「さっきはごめん...」

「ううん...」

「俺、ちゃんと信じて待つよ。大学もきちんと卒業する」

「.........」

「待ってて、いいんだよな?」

「クラウド」

強い口調に、二つの深い青の色が揺らいだ。


「私達、別れようか」





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