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Minority Hour

こちらはFF7 クラウドとティファ のCPを中心とする二次創作小説を扱うサイトです。初めての方は「About this blog」をご覧下さい。コメントはwebclapからお願いします。

   

山の向こうに 3 (fin.)


山の向こうに 2、の続きです。
今回も戦闘シーンでが流れます。
完結致しました。







生きては越えられぬ山。

無事だった人は何人いるのだろう?

少なくとも一人は知っている。

だから俺も越えるよ。

真実をこの手で掴み取るために...


山の向こうに 3 (fin.)


「ティファは前線から外れてくれ。
マテリアで援護を頼む」

予想通りの返答。
確かにここのモンスターは強い。
本当は猫の手でも借りたい気分だったが、譲れない。

「ダメだ。
今日、ティファは集中出来ないだろ?
ここでは周りもフォローする余裕はない。
足で纏いになるのは目に見えてる」

わざと冷たい言い方をした。
「そう...だよね」と、悲しそうにされ心を痛めたが、そうでもしないと引き下がらない。
腫れ上がった目元が痛々しい。
そんな状態で戦いを強いて何かあったら...
きっと後悔してもしきれない。

山越えは、予想以上に困難だった。

不利な戦闘はなるべく避けたが、限界はある。
長い道のりだ。
回復のため、魔力を温存させなければならない。
傷を受けないよう慎重になり、戦いは長引く。
仲間の顔に浮かんだ疲労の色。

「うわわゎっと...!」

ティファの分も攻撃に徹してくれていたユフィの足がもつれる。
庇おうと、敵との間に入り込んだ。

「ぐっ...!」

鋭い痛み。背中をやられた。
陣形が崩れるぞ、前を向け!!

パァン!!!

弾け飛ぶモンスターと、銃を収める音。

この男は強い。
30分も一緒に戦えば、一目瞭然だった。
得体は知れないが、少なくとも今この場には居て貰えて助かった。
それに何となくわかる。悪い奴じゃない。

「助かった、ヴィンセント。 ありがとう」

「たいしたことはない。
先を急ぐぞ。日が暮れたら厄介だ」

俺以外の皆は夜目は効かない。
早くこの恐ろしい山を抜けなければ...

しかししばらく進んだ先で、最も嫌な敵に会ってしまった。
ドラゴンだ。それも二匹。
体制が万全でないためやり過ごしてたが、今回は挟み撃ち。
逃げられない。

二手に分かれ応戦する。
多勢で遠距離攻撃を仕掛けていた一匹が倒れた。
しかし同時に背後に悲鳴があがる。

「「クラウド!!!」」

それもそのはず。
俺の腕は、付け根までドラゴンにすっぽり飲み込まれている。
フォローしようにも、仲間の魔力は底をついてるようだ。
走る激痛に、脳裏が白くなった。
ダメだ、今意識を手離したら...食いちぎられる!!!

「クラウド!!!」

視界の片隅に、距離を取っていたティファが走り寄る姿が映る。
その瞬間頭に響いたのは、お馴染みの “あの声” だった。

     守るって。

     守るって、決めたんだ...!

     ...............に、なれなくたって!!

何に......なれないって?

     さぁ......


     目を醒まして!!!


途端にみるみる漲(みなぎ)る力。
噛まれた腕など気にせず、口の中で魔法を発動させる。


シヴァ!!!


漏れ出す、青白い光。

ギャアアアアアアア!!!

たまらず悲鳴をあげるモンスター。
衝撃で俺も吹っ飛ぶが、目は離さない。

今だ!!!

追い討ちをかけ、心臓目掛けてバスターソードを突ら抜いた。

ドォン...!!!

地響きをさせ、崩れ落ちる。
...終わった。

噴き出る血にも構わず、なおも脈打つ手を見つめる。
なんだったんだ?今の力は...
振り返ると、こちらを呆然と見つめる仲間の姿。
ああ、俺も不思議だよ。
まさかあんな力が出るなんて。

最初に我に返ったのは、エアリスだった。
慌てて駆け寄り、残った魔力を振り絞り回復魔法をかけてくれる。
見慣れた温かい光に包まれ、痛みは引いた。

「麓に村があるはずだ。
皆、頑張ろう。あと少しだ」

その後も多少の戦闘はあったが、無事に山を越えた。





小さな村の、小さな宿屋。
幼い頃から存在だけは聞いていた。
食事を済ませ、早々に部屋へ引き上げる。
よほど疲れてたのだろう。
レッドやユフィでさえ、言葉少なだ。
俺もヘトヘトだった。

部屋に戻り、ベッドに倒れ込む。
落ちる瞼。このまま眠ってしまいたい。
だが倒れ込んだ勢いに任せパラパラ落ちる土埃。

...しょうがない。

風呂場へ向かうと、シャワーを済ませたティファとすれ違う。

「これからお風呂?」

「ああ、面倒だけど...自分の体が汚すぎて」

首の後ろをかくと、そういう問題?と茶化される。
よかった、元気そうだ。

「ねぇ。クラウド、今日...すごかったね」

「あ、ああ。実は俺もビックリだ」

そうなの?と笑い、でも...と続ける。

「すっごく、かっこよかったよ!」

............なんだこの、浮き足立った気分は。
そして昨晩、自分が彼女にした事を思い出す。

「明日からは...また頼むな。
今日はさすがに疲れた」

視線を反らし、照れ隠しにそう伝える。

「はい、了解致しました!リーダー殿!!」

いつかの様にふざけて敬礼し、パタパタ駆けて行く。

(カラ元気もあるんだろうな)

‘明日には元通り...’
その言葉を忠実に遂行するティファ。

「なぁ、ティファ」

背中を引き止めた。

「ん?」

「ティファのお父さんは、最後にティファに会えて...
...ティファを守れて、幸せだったよ?」

「そう...だといい」

表情が曇る。

「そうに決まってる」

「何でわかるの?」

「俺は、男だから」

俺も大切ものを守るために生まれてきたから。





なぁ、そういう事だろ?

“あの声” の主に問いかける。





Fin.


******************


あの声=アンタですよっと。

2箇所に渡り、“...”(←ブランク)がありましたが、どんな言葉が入るかはお分かりですよね?

ドラゴンから盗む物を盗んだ後は、ひたすら尻尾巻いて逃げてたのは私だけではあるまい。
あのダンジョンは難易度が高くて泣きそうになりますが、二人の思い出の場所だから好きです。

DDFFで気に入った台詞が使われてます。
ティファの事となればパワーが+2000の潜在クラウドに頑張ってもらいました。




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