Minority Hour
こちらはFF7 クラウドとティファ のCPを中心とする二次創作小説を扱うサイトです。初めての方は「About this blog」をご覧下さい。コメントはwebclapからお願いします。
マテリアに消された言葉 ~Yuffie's date~
11' クラ誕に、ウータイに咲く一輪の花を捧げます。
されどクラユフィではありません。
CP要素抜きの、ギャグです。
「ねぇ。だからどっちなんだってば!
そろそろ教えてよ~」
...しつこい。
こんな事なら一人で来るんだった...
マテリアに消された言葉
~Yuffie's date~
「クラウド、ちゃんと聞いてる?」
目の前には頬を膨らませたエアリス。
「あ、え...なんだ?」
「や~っぱり、聞いてなかった!
だから明日は、クラウドはユフィと、隣町まで買い出しをお願い!」
「あ、ああ。わかったよ」
何時の間にそんな話になってたんだ?
しかし聞いてなかった手前、文句も言い辛い。
明日は久しぶりのオフだった。
本当は少しでも先へと距離を稼いでおきたかったが、何故か先ほど仲間の口から相次いだのは、休暇の要望の嵐。
先ずは、エアリスとユフィが騒いだ。
まぁそれはいつものこと。
「たまにはいいじゃねぇかよ」
しかし今回は親父組もそれに乗る。
「クラウド、オイラちょっと疲れちゃったな」
レッドが鼻をクンクンさせ甘えた声を出す。
俺は動物に弱い。
「クラウド?
じ、実は私も今日足くじいちゃって...
休みがもらえたら、嬉しいな~なんて」
...ティファまで。
極めつけは、背後から忍び寄る赤マントの男。
「...私も弾切れだ」
「......」
好き勝手に休みを要求しといて、人には買い出しに行かせるのか?
理不尽な扱いな気もしたが、他にする事もない。
加え、いつもはパシリにされるとやだやだと駄々をこねるユフィが、大人しく買い出しリストと睨めっこしてるので、気にするのはやめた。
だが隣町に着いて小一時間、早くも後悔をし始める。
「ね~、だからどっちがタイプなんだって!
ティファとエアリス」
「......」
「ぜ~ったい、言わないからさっ
だから教えて?コッソリコッソリ!」
「......」
「グイグイ積極的で美人な年上のお姉さん?
それとも、奥ゆかしい年下の可愛い幼馴染?」
「......」
「コラ、無視すんなっつの!
なんとか言え~~~!!!」
「...ナントカ」
買い出し中、ずっと続くのか?コレ...
はぁ、と溜息をついた。
「二人共、俺なんか相手にならないくらい素敵だろ?
牛丼と親子丼を比べるようなもんだ」
「牛丼と親子丼って...」
あんなに可愛いんだから、せめてイチゴとかリンゴとか言ったら?と呆れる。
「強いて言うならって奴を聞きたいんだけどなぁ」
ユフィはまだ諦めない。
「う~...じゃあ、胸の大きい子と普通な子だったら、どっちがいい!?」
...懲りない奴だな。
「...どっちでもいいんじゃないか?
お前みたいにえぐれてなかったら」
「ふざけんな!えぐれてないわ!!」
背中に回し蹴りを放たれた。
...本気でやったな?かなり痛いぞ。
しかしそれを最後に質問は終わりを遂げ、安堵する。
買い出しは順調に終わり、帰途についた。
途中、ユフィがアクセサリーの様な物が並んだ路面店を覗き込む。
ふぅん、一応女なんだな。
「アクセサリーか?」
「ううん、パワーストーンだよ~
あたし、キラキラした石好きなんだ。
何かを思い出すじゃん?」
...やはりそんなところか。
パワーストーン?聞き慣れない言葉だな。
「天然の宝石だよ。
その中でも特殊な力が宿ってるのをいうんだ。
身に付けると良い事があるんだってさ」
「ふぅん」
「興味ないねってかんじ?」
「俺は現実主義者だから、そういう説明のつかない力みたいのには惹かれないんだ。
例えば占いとかも信じない」
「全然?」
「全く」
俺らしい反応にユフィは気にすることもなく、まぁ、あたしにはマテリアがあるからいらないけどね!と店を後にした。
「あっ」
しばらく行ったところで、一軒の店が目に止まる。
「ユフィ、悪い。
あそこに寄ってもいいか?
手袋が破れたから、かえを買いたいんだ」
いいよん、と、興味なさそうにくっついてくる。
今と似たものを適当に掴み、レジに進んだ。
金を払っていると、ユフィがいない。どこへ行ったんだ?
どうせ近くにいるだろう。気にせず前を向いた。
「クラウド!」
肩を叩かれ振り向くと...
ベチャっ...
頬に何かがついた。
「へへーん、騙された騙された~」
得意気に笑う手には、二本のアメリカンドッグ。
おそらく今くっついてるのは、ケチャップとマスタードだろう。
「ほら、あげるよ。出血大サービス」
確かに珍しい。
「毒でも入ってるのか?」
「あたしが作ったんじゃないっつの!」
「サッサと帰るぞ。雪が降る」
一つを剥ぎ取り、スタスタと歩きだした。
背後に罵声がやかましい。
顔のケチャップには、文句を言わないでおいた。
俺なりの礼のつもりだ。
ちょっと煩いけど、コイツといるのが一番楽かもな。
エアリスにはたまにたじたじにさせられるし、ティファは俺に変に気を遣う時がある。
先程の後悔は、すっかり姿を消していた。
『ただいま~!...オッケー?』
もう宿の前だというのに、ユフィは誰かと電話していた。
何やってるんだ?こいつ。
そして、クラウド先行って!と指図する。
言われた通り宿屋の入口を抜けた。
すると...
パアーーーーン!!!
突然の破裂音に、目を白黒させる。
変な紙屑も飛んできた。
...クラッカー?
「「クラウド、誕生日おめでとう!!!」」
目の前の仲間は口を揃える。
「あ...」
そうか、今日は確か八月の...
呆気に取られる背中をユフィが押し、エアリスが手を取った。
「今日はご馳走だよ。早く食べよう、クラウド」
ティファも微笑む。
食卓には好物がズラリと並ぶ。
おそらくティファが用意してくれたんだろう。
ケーキまである。
これはエアリスが焼いてくれたらしい。
料理はあまり得意ではないと聞いていた。
皆の気遣いが照れ臭い。
「おい、姉ちゃん。ここちょっと焦げてるぞ」
シドの突っ込みに、見ないで~!と悲鳴をあげるエアリス。
笑いの尽きない食事。
久しぶりだ。
いや、そもそもこんな誕生日は何年ぶりだ?
「あ、そうだクラウド」
レッドが何かを思い出す。
「はい、誕生日プレゼント!」
差し出されたものは、猫じゃらしの様な毛がついたネズミの玩具。
「それがあれば、一時間はヒマしないよ!」
嬉しそうに尻尾を振る。
レッドにとっては宝物なのだろう、少しくたびれたそれを「いいのか?」と有り難く受け取り鼻の頭を撫でてやる。
次はバレットが「ほらよ」と米袋みたいな物をドスンと投げる。
これは.........プロテイン?
「本当はよぉ、俺みたいになりてぇんだろ?ん?
お前あんまり筋肉つかねぇもんな!!!」
満足そうに大口を開け笑う。
...アンタは、やり過ぎだ。
内心突っ込みつつも丁重に礼を言った。
「次は私か」
ヴィンセントのプレゼント!?
一同に緊張が走る。
「サバイバルナイフだ。
前に私のを見て、羨ましそうにしてただろう。
これがあると何かと便利だからな」
「あ、ありがとう。ヴィンセント」
意外と普通だな。
皆も、ふぅ、と息をついた。
「これは俺様からだ」
シドから渡されたのは派手な雑誌だった。
こ、これは...!
これを女性陣の前で渡してくれるなよ...
「おめぇ、そういうの興味なさそうにしてるが、本当はムッツリなだけなんだろ?
買う勇気もなさそうだから、これを機に俺様が選んでやったって訳よ」
この...エロ親父!
案の定、ティファとエアリスはいかがわしい雑誌と俺の顔を見比べ、冷たい視線を送ってくる。
「い、いや、シド。これは...」
「ああん?俺様が選んだ物が気に入らねぇってことはないよなぁ?」
「いいのよ?クラウド。
有り難く受け取っておきなさい。
“行くぜ!” だっけ?」
エアリスが冷ややかに言った。
「え、何なにその話? ...うわぁ、サイテー」
ティファ、あれはティファを助けるためにだな...
「ま、気を取り直して」
エアリスが気まずい流れを変えてくれた。
「はい。これは私から」
渡されたのは、先端に小さな石がついた、可愛らしいストラップ。
「パワーストーンがついてるの。
ほら、クラウドって、いつも戦闘は前線でしょ?
怪我することも多いから、そういうのを避ける力がある石を選んだんだよ?」
手作りなの。と微笑む。
「あ、ありがとう。エアリス」
(はっ...!)
不吉な視線を感じる。
発信元には、ニヤニヤといやらしい笑みを浮かべたユフィ。
「エアリスぅ、残念だったね~実はクラウド...ウッ!!!」
慌てて足を踏む。
「え、え?ユフィ何?
もしかして、好きじゃなかった?クラウド」
焦るエアリス。
「いや、そんなことない。嬉しいよ...グッ!!!」
思いっきり踏み返された。
ユフィを睨みつけ、小声で言う。
(言 う な よ!)
するとユフィは嬉しそうに、俺だけに見えるようテーブルの下で、親指と人差し指を丸め「¥(円)」のマークを作る。
(マテリア、10個ね!現ナマでも可!!!)
汚い奴め...
「じゃあ次は私かな?はい、クラウド」
ティファが小包を渡してくる。
中身は...戦闘用の手袋だった...
「クラウドの手袋、もうボロボロだったでしょ?
だから良いかな~と思って」
「あ、ありがとう。ティファ」
(はっ...!)
不吉な...(以下略)
「ティファぁ、残念だったね~実はクラウド...ゲッ!!!」
今度は太ももをつねった。
「もしかして、もう自分で買っちゃった?クラウド」
不安そうにするティファ。
「いや、まだだ。嬉しいよ...っつう!!!」
太ももに鋭い痛みが走る。
そして、ツンツン、と肩に当たる指。
振り返ると、ニタ~~っとした笑み。
(マテリア、10個追加。毎度あり~♪)
わなわなと震える俺。
「ユフィは?」
そこでエアリスが問う。
「もう先に何かあげたの?」
ティファも首をかしげた。
「あ、あたし?
あたしはいーのいーの。
むしろクラウドってば、今日あたしとデート出来たのがよっぽど嬉しかったみたいで、明日お礼にマテリア20個買ってくれるらしいよん」
可愛いってホント罪だよね~と上機嫌にまくしたてる。
「「へぇ...」」
またまた白い目をする二人。
...前言を撤回する。
やっぱりコイツは...最悪だ。
******************
マテリアに (揉み) 消された言葉。
二人を想うが故に、二人からの評価を下げたクラウド。
クラウドは優しいですよね。
それが言いたかっただけ。
お目汚し、失礼致しました!
お誕生日おめでとう~~~!
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