Minority Hour
こちらはFF7 クラウドとティファ のCPを中心とする二次創作小説を扱うサイトです。初めての方は「About this blog」をご覧下さい。コメントはwebclapからお願いします。
花火に消された言葉 ~Tifa's date~ 前編
デートシリーズ、第二弾!
いよいよティファとのデートです。
時系列的には、エアリスデートの少し後です。
折角のティファとのデートなのに、ドタバタコメディ。
前後二編に渡ります。
前後二編に渡ります。
やられた。
「電源、切られてるな...」
もう!こんな無理やりお膳立てされたって、嬉しくもなんともない!!
花火に消された言葉
~Tifa's date~ 前編
「ティファ、可愛い~!!!」
「エアリスも、全然雰囲気違う!」
ジュノンの宿屋の一室で、私達は朝から騒がしくしていた。
「今日は目一杯、美しくしたげるからねん」
いつになくノリノリな彼女。
それもそのはず。
日々土にまみれ、野宿は当たり前。
足には靴擦れ、膝には青あざ、腕にはかすり傷。
今日は色気とは程遠い毎日を送る私達に与えられた、久々の休日だった。
しかも商業都市での。
こんな時に不謹慎かしら?
いつもはそう思いがちな私だけど、今日くらいは...
ユフィは小一時間程前にフラリとどこかへ行ってしまった。
彼女曰く、「マテリア以外の買い物に興味はない」そうだが、私はそのわざとらしい言い回しには敢えて突っ込まない。
口は少々悪いけど、根は優しい娘だ。
おそらく今日はもう、彼女には割り当てられた役割があるのだろう。
エアリスは「サラサラすぎよ」と文句を言いながら私の髪を上げてくれる。
私も彼女の髪をハーフアップにした。
“デート” の前に用事があるから、待ち合わせにしよう。
そう言い彼女は一足先に部屋を出る。
「用事が何かなんて、野暮な事、聞かないでよ?主役さん?」
悪戯っぽい笑みを浮かべながら。
今日は私の誕生日だった。
こんな日くらい、気の合う女友達と買い物をして食事係から解放されてもバチは当たらないだろう。
軽い足取りで指定された街の広場へと向かう。
そして...なんてことはない。
そこで待っていたのは親友ではなく、金髪の旅のリーダーだった。
私はアッサリ騙されたのだ。
取り乱した顔でエアリスに電話をかける彼。
だがそれは勿論繋がらない。
「ごめんな、せっかくの日に」
「クラウドが謝ることじゃないよ。
クラウドだって...立派な被害者だわ」
やだなぁ、きっと気を使ったんだ。
先日のゴールドソーサーでのエアリスとのやりとりを思い出す。
そして、あろうことか “恋敵” にデートをアレンジされてる私も不甲斐ない。
「...どうする?」
その言葉に胸がチクリとする。
楽しくなるはず。そう期待していた一日を諦め、一人で時間を潰すのは嫌だった。
「ここでほっぽり出されるのは、流石に寂しい」
「それもそうだな」
クラウドはきまり悪そうにしていたが、やがてポツリと言う。
「...いくか」
(どこへ?)
そう疑問に思ったが、スムーズに歩み始める彼。
女の子と二人で何処かに行き慣れてるような人じゃない。
きっと、今日までに誰かさんからみっちり “デートコース” を叩きこまれたのだろう。
その滑稽な様子が目に浮かび、頬が緩んだ。
(かなわないな、エアリスには)
私達は、華やかな店が軒並み連なる大通りを歩いている。
何かのお祭が重なったのだろうか?
通りは屋台まで出て、すごい賑わいだ。
(二人っきりなんて、いつぶりだろう)
そう意識すると、手のひらに汗が滲んだ。しかし...
肝心の彼は、我関せずなそぶりで私の半歩前をスタスタと歩いていく。
買い物って、そうやってするんじゃないのよ?
(服装を褒めろとか、そういうアドバイスはもらわなかったのかなぁ)
私は今、いわゆる “気合いを入れた” 格好をしている。
髪型だっていつもと違うし、服だってシンプルだけど、白のカットソーにピンクの長めなスカートだ。
これも彼女の見立て。
(可愛いまでは言ってくれなくても、いつもと違うね、くらいは聞きたかった...)
勝手に自信喪失していると、突如耳元にけたたましい音が響き、「ひゃあっ」と間抜けな声が出る。
振り返るとそこには、キラキラと金色に光り輝く管楽器が眩しいパレード隊。
素っ頓狂な声に、眉根をひそめこちらを見やるクラウド。
お世辞にも楽しそうではない。
(クラウドは、言われてここにいるだけよ。
それを分かった上で、楽しめばいいじゃない)
何よりも、五年ぶりに青空の下で迎える誕生日を、陰鬱な気分で終わらせたくはなかった。
Next (後編)
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