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Minority Hour

こちらはFF7 クラウドとティファ のCPを中心とする二次創作小説を扱うサイトです。初めての方は「About this blog」をご覧下さい。コメントはwebclapからお願いします。

   

Jelly × Jelly Vl

ユフィは見た。
『TOTP』セブンスヘブンの前オーナー(モンティ)の話題が出てきます。



Jelly × Jelly Vl


「筋トレ後なら...やっぱり低カロリー高タンパクの鳥のささみかな。チーズの風味が香ばしい、やみつきカリカリささみスティック。おつまみにもピッタリ!」
「はぁ〜〜、やばぁい...なんか匂いが漂ってくるぅ...」

夕刻の小腹が空く時分、ティファの独り言に合わせてユフィがクンクンと架空の香りを嗅ぐ。自らも例に漏れずジワリと唾液が滲み出てきてクラウドは苦笑いをした。

「セブンスヘブンのメニューはティファが考えたのか?」
「前のオーナーからの引き継ぎと、半々くらい」

「残念だったな。お前、あのノート、命の次に大事にしてたじゃねぇか」バレットは雑談混じりに頭上の敵に向かってガトリングを撃ち放つ。

「うん...けど、全部暗記してるから平気」

モンティの几帳面な字と図で埋められたページをティファは思い浮かべる。リキュールを入れる手順も色彩も克明に記憶に刻まれていた。

「...前のオーナーから貰ったものがあったのか?」

話に置いていかれたクラウドに「そう、カクテルのレシピ集。渡された時、本当にびっくりした。ザンガン先生の秘伝の書と同じサイズで表紙の色もそっくりだったから。それがあったからバーテンダーとしてやっていけたんだよね」とティファは補足する。

「運命を感じたな、あの時は...」

モンスターの一掃された夕焼けを見上げ、ティファは物思いに耽る。ティファから発せられた重みのある台詞にクラウドはその横顔に見入った。

「そいつって...」
「...ん?」
「いや、何でもない」

...男なんだよな?
口を突きそうになった低俗な質問にクラウドは自らをたしなめる。ティファはそんな意味で言ったんじゃない。それにスラムでのティファに男の影なんて無かったじゃないか。いや、でもあの時は何も無くても当時は何かあったりして...そもそもレシピを譲られるって、どういう関係だ?

感慨に浸るティファに水を差すまいとクラウドは押し黙るが、次から次へと疑念が湧いてくる。そしてあろうことか戦闘の勘まで狂い始めた。仲間の武器に剣をぶつけるわ、豪快な空振りをして宙を切るわで、その日の彼の戦績は散々なものとなった。



「も〜〜〜〜〜!いい加減、しゃんとしてよ!!」

翌朝になっても不調続きなクラウドをユフィは叱咤する。背後に気が回らず、クラウドは誤ってユフィと足を踏みつけ転ばせてしまう。堪忍袋の緒を切らしたユフィは昨夜から抱えていた疑念をバレットにぶつけた。

「ねーねー、昨日言ってたティファにノートあげた奴ってさ、ティファとどーゆー関係なの?ただならぬ仲なわけ!?」

敵に向かって剣を構えるクラウドの表情が引き攣った。剣の柄の握りも通常と上下が逆でぎこちない。

「あ?何言ってんだ?モンティはジジイだぞ!?」襲いかかってくるモンスターから視線は外さずに、バレットが怒鳴り散らす。

「関係っつったって...俺らと会ってすぐに病気でくたばったからな。だからティファと一緒に働いてたのもせいぜい一週間ぐらいか?」

「いわば形見分けだな、あのノートは。モンティからティファへの」そこまで言い終え、バレットは少し前まで周囲を取り囲んでいた相当な数のモンスターが全て地面になぎ倒されているのに気付く。

「...心配かけたな。調子が戻った」

バスターソードを背中に収め何事もなかったように先へと進むクラウドの背中をユフィは無言で見つめた。



「ティファは...ミッドガルに行く予定でもあったのか?」
「何の話?」
「机の上にガイドブックが置いてあった。五年前」
「ああ...」

例の帰郷での一場面を思い出したクラウドは突如ティファに話を振る。これも答え合わせの一環なのだろうか?クラウドは頻繁に過去の出来事を話題にあげた。

「あれはエミリオから送られてきたの。近くに手紙も置いてあったでしょ。読まなかった?」
「盗み読みはプライバシーに関わる」
「...タンスは開けたのに?」
「だからあれは冗談だ」

「どういった話の流れでガイドブックなんか送りつけてくるんだ?」先日、エミリオの話題を持ちかけると明け透けに機嫌を崩したクラウドを思い出しティファはやや身構える。だが、悩んだ末にありのままを話すことにした。

「いつか私のことを迎えに来るんだって。だから、“その時に君が戸惑わないように都会のことを教えてあげるよ” とかなんとか...」
「...何様だ」
「あ、私とおんなじこと思ってる!」

ティファは人差し指をクラウドに向け破顔する。「へぇ、ティファも案外口が悪いんだな」モンスターに切り掛かるクラウドの口角が見るからに持ち上がった。

「だって困るよ。特に将来の約束をしてたわけでもないし。村を出る時も一方的に “必ず迎えに来る”って宣言されたけど、私としてはそれに応えたつもりはないもん」

勢いに任せ言い切ったあと、ティファは自らが口にした “約束” の二文字をつい意識してしまう。気付けばクラウドはこちらを見つめていた。

「そうだな。こういうのは...双方の合意が大切だ」

「それだけ豪語しておいて、次に会った時は別の女を連れてたわけだ。笑えるな」とクラウドは小馬鹿にした口調で畳み掛ける。

「それが普通だよ。子どもの頃の恋なんて」
「そうか?俺には全く理解出来ない」

ティファはクラウドの熱っぽい視線に耐えかね、「あれ、エミリオの話は興味ないんじゃなかったっけ?」と茶化した調子で話題を逸らす。

「こういう話なら歓迎だ」
「調子良いんだから」
「実際、今日はすこぶる調子がいい」

いつもは両手持ちをする大剣を片手で軽快に振り回すクラウドを見つめユフィは目を見開く。こいつって...こいつって...

「...そうゆうこと?」
「なんの話だ?」

「チョーシが悪い時は言ってよね。“モンティはジジイ” とか “何様なエミリオ” とか、アンタのやる気スイッチは色々と心得たからさ」
「...?」

怪訝な顔を向けてくる成人済みの男にユフィはやれやれと首を振る。そしてキシシとほくそ笑んだ。故郷の復興とマテリアにしかキョーミのないアタシだけど、ちょ〜〜っとだけいじりがいのあるネタ、見つけちゃったかも!


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