Minority Hour
こちらはFF7 クラウドとティファ のCPを中心とする二次創作小説を扱うサイトです。初めての方は「About this blog」をご覧下さい。コメントはwebclapからお願いします。
Dying to Do! 2
Dying to Do! 1、の続きです。
Dying to Do! 2
談笑に混ざり合う、食器同士のぶつかる音。隙間時間にグラスを磨き上げる手さばきが軽快な理由は、人々の歓談が織り成すお気に入りのBGMだけではない。カウンターの隅でフォークを握る我が家の主はメインディッシュを終え、人参とブロッコリーのソテーも手元を減速させつつも綺麗に平らげる。
ふと伏せられていた睫毛が上がり、目と目が合った。この一時間の内だけで再三繰り返されていたそれに、ティファは今度は明確に伝わるよう口角を上げ瞳を和らげてみた。
瞬間、ドキリと肩を揺らしたクラウドは慌てて手元のグラスを口まで運ぶが、中身が空であることに気付くと一層焦って誰もいない壁に首を回し不自然に固まる。その立ち振る舞いに噴き出し、空いたグラスに水を継ぎ足してやった。
(早く時間が過ぎないかな...)
想像したよりずっとまともな時刻に帰途についたクラウド。帰るなり見るからにソワソワしている彼はシャワーを浴びるのも早そうだ。そう言えばデンゼルとマリンは浴室を使い終わっただろうかと耳を済ませると、期待に応えるようトタトタと廊下を走る足音が響いてくる。階段から降りたった勢いそのままに、二人はクラウドの膝へと飛び付いた。
「おっかえりー!クラウド!!なぁ、今度早く帰ったら俺と一緒に寝る約束だったよな?」
「じゃ、私ティファと寝るー!」
「どうせならベッドくっつけちゃおうぜ!」と袖を捲り上げ可愛らしい力こぶをブンブン振りかざし上階へと去って行く嵐に唖然とする二人は、今度こそ真っ正面からキョトンと視線をぶつけ合う。
静まり返った部屋に重なり合う、高い音程のいくつもの寝息。自室のものより数字の大きく書かれた時計の文字盤をなんとなしに見つめた。そうか、早く帰り過ぎたのか。
真ん丸に膨れ上がったお腹がパジャマを押し上げる少年は今日も晩飯をたらふく頬張ったようだ。
(約束、すっかり忘れててごめんな)
その頂上をポンポン叩いてやると、不意にそこに華奢な手が添えられた。その持ち主は控えめに、だが暗闇にもわかるようニコっと微笑む。そして微かに口元を動かすと、そっと瞼を閉じた。
ーーまた明日ね
“おやすみ” だったのかもしれないが、願望を込め都合良く捉える。そうだよ、また明日があるじゃないか。今日のために急でない仕事をぶん投げてきたが、なんとかなるだろう。それでも本当のところ、今夜はなんとしてでもしたかった。
闇に慣れてきた瞳は小さな頭の後ろに覗く胸元と、毛布に覆われていてもクッキリと浮かび上がるウエストからお尻にかけての流線形を行ったり来たりしだす。しかしそれらはマリンにギュっとしがみつかれており、願いが叶わないのは明白だ。モヤモヤの治らないクラウドは、なんとか目線をティファから引き剥がし、あどけない寝顔を見つめ中々訪れそうにない眠気を呼び起こす。
その翌日から続く日々は散々だった。クラウドの行く先々で原因不明のハリケーンが発生したり、道路で玉突き事故が起こったり。数日に渡り陸の孤島に閉じ込められた彼は、「今日こそ絶対に帰る」と電話で宣言してきたが、何故か息も絶え絶えだった声にティファは不安を隠せない。店を閉めた彼女は憂鬱そうに時計を見上げる。とそこに裏口で物音がしたため出迎えに走ると、扉にもたれかかる満身創痍の金髪男を発見した。
「橋が落ちたり回復のマテリアが砕け散ったりしたけど、なんとか帰ってきたぞ...」
震える手を伸ばす彼は全身びしょ濡れで、髪には小枝だとか枯葉が絡まっていた。流石は名だたる凶運の持ち主である。バランスを失いつんのめると細い腰にむんずと捕まり、その勢いでティファまで尻餅をついた。
「きゃあ!」
そのまま足の付け根にグリグリと押し付けられる頭に、いきなりそこ!?と動揺を覚えたのも束の間、「ティファ...むにゃ...」と間の抜けた声を漏らし、全体重を膝に預けてくる。開いた口をポカンと見下ろすティファは、早くも大きく上下しだした背中を一人笑みを零し優しく撫でてやった。
意識を取り戻すと同時に両腕はマットレスに突き刺さる。左右を見渡すと、穏やかな眠りについているティファが目に入った。俺、寝ちゃったのか...
閉じられたカーテンの向こうは既に明るいが、ティファの起床時刻前であることは明らかだ。さっさと寝れば起きられるもんだな...妙に感心しながら枕元の目覚まし時計を確認する。
ーー5:47
「ん...」とすぐ横で身じろいだ肢体に視線を戻す。時計を手に取りアラームのスイッチを切ると、そのまま両手は薄手の布の下へと裾をかいくぐり不躾に押し入った。寝込みを襲うのはなんとか押し止まろうと、自然と目覚める程度の刺激を与え始める。
胸の中心を親指と人差し指で摘むと徐々に硬さが増してきた。続いて手のひらで転がすように撫でると主の意識はないままに先端がコリコリとしてきて、「はっ...」とティファの唇から無意識の吐息が漏れる。
「う、ん...クラウド?」
覚醒しだしたティファは寝巻きの中でうごめく二本の腕にギョッとする。合意の取れる状態となり、我慢できず勢い良くティファのタンクトップを捲り上げた。そして露わになったほんのり赤い突起に有無も言わさず食らい付く。
「クラウド...ダメだよ、今は...」
しかしクラウドは返事をせず、「んっ、んっ...」と胸を揉みしだきながら中央を吸ったり甘噛みしたりと一心不乱だ。乳房から離された片手がショートパンツの上から敏感な箇所をなぞった時、ティファは「本当にもうダメ」と咎め手を押しのける。クラウドは熱にうなされた苦しそうな瞳で訴えた。
「今朝はもう目玉焼きでいいよ」
「あなたはそれでいいでしょうけど...」
それに、クラウドはいつも7時過ぎまで寝てるから知らないだろうけど...
本日も定刻ピッタリに階下から迫ってくる小気味良いリズム。そして瞬く間に寝室の扉はバァン!と180度開け放たれる。
「おっはよー!ティファ。お腹減ったぁ!!」
「ティファ、ごはん何?マリン、フレンチトーストがいいなぁ!」
早朝から血色良くピョンピョン飛び跳ねる兄妹は、ベッドと壁の隙間に挟まっていた体躯をやっと発見する。
「なんだよ、クラウド帰ってたのか?落っこちてるから気がつかなかった!」
「クラウドったら、寝相悪い!」
ちなみに彼が無反応である理由は反省からではなく、動転したティファの手元が加減を忘れたためである。
Dying to DO! 3、に続きます。
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