Minority Hour
こちらはFF7 クラウドとティファ のCPを中心とする二次創作小説を扱うサイトです。初めての方は「About this blog」をご覧下さい。コメントはwebclapからお願いします。
Mad Psychotherapy
女が自分の体型に抱くコンプレックスをも凌駕する男の執着について。
エロくない注意。
裏度数【☆☆☆☆☆】
エロくない注意。
裏度数【☆☆☆☆☆】
Mad Psychotherapy
何かの折に働いた勘の確証を得たのは、珍しく早くに仕事を終え夕刻に帰宅した際だった。普段出迎えてくれるものとは一風変わった引き攣った笑顔。
忙しくなる前に夕食を済ませようとした店主は食事中であり、その量の少なさに驚愕し問い詰めた。来客を理由に一度は逃げられはするものの、閉店を待ち二人がけテーブルの対面に有無を言わさず座らせる。
「...朝と昼はしっかり食べてるし」
「少ないだろ、最近は朝食も」
「べっ...別にガリガリになろうって言ってるんじゃないよ。ちょっと気になる部分を落としたいだけ」
言葉少なにも凄みを利かせる男をやり過ごそうと、ティファはプイと横を向き早口でまくし立てる。
「...気になる部分?」
しかめ面の片眉がピクリと上がった。
「クラウドが心配してくれてるのはわかってるけど...」
マリンに悪影響だとか、立ち仕事だろう?等予測される反撃にティファは身構える。今回はまさかの第三者からの指摘があったため、こちらも譲れない。
もちろん直接的に貶されたのではなく、健全な男子であれば誰もが彼女の身体的特徴に対して抱く感想を包み隠さず表に出す者がいただけのことだ。言った本人は褒めたつもりであっても、うら若き乙女がそれを誤った方向に捉えても責められはしまい。
「心配...だと?」
敵はそう呟きとりわけ表情を厳しくする。黙りこくるクラウドを怪訝に思い、ティファは背けていた視線を前向けた。目を据わらせたクラウドはゆらりと立ち上がる。
「ティファはわかってない」
そして細い手首を捕らえた。予想外の力にティファは顔をしかめる。
「俺がどれほどティファの身体を気に入ってるかをさ」
本来であれば喜ばしい筈の発言からただならぬ気迫を感じ取り、真横までにじり寄って来たクラウドにティファは気圧される。するとテーブルに押しつけられ、前触れもなくトップスのジッパーを降ろされた。抗議の声を上げようとするも、クラウドはやましい箇所に触れるでもなくティファの胴回りに入念に手を沿わせる。
「ティファ、この数ヶ月で1.3キロ体重が落ちただろ?」
それが “長期間かけてたったそれだけ” との指摘に聞こえ、仰向けにされたままティファはむくれる。確認するよう指を押し付けてくるのも不粋極まり無い。ウエストに大した変化が見られないのは彼女自身が把握済みだ。しかし100グラム単位の増減を何故言い当てられたのだろう。偶然にしては...
「どうりでおかしいと思ってたんだ。あばらまでの厚みが...1コンマ8ミリ減ってる」
「...え?」
舌打ちと共にボソリと漏れた台詞はティファの耳には届かなかったが、それで良かったに違いない。
「それだけじゃない」
「きゃっ!」
腰回りの吟味を終えたクラウドはティファの片足をぐいっと持ち上げる。
「ユフィの奴は馬鹿の一つ覚えみたく、どうせ俺はティファの胸が一番好きなんだろう、なんて言ってくるが...それは素人考えだ」
ちょっと!人が居ない所でなんて会話してるの!?
だが高く上げた脚の内側に不意に口付けられティファは言葉をなくす。思えば毎回夜の営みの際には丁寧に手を這わせてくるけど...そうだったの?
「ティファは5、6歳の頃は結構ムチムチしてて、原型はあの時に形成されたと言っても過言じゃない」
む...ムチムチって!
幼い頃から食が細いとは言い難く、母親の手料理にも恵まれていた当時は人生で最上級に太っていて、幼心に写真を見返すのも避けていた。黒歴史を暴かれティファはあわあわと絶句する。
「太腿とふくらはぎはふっくら弾力があって、でも足首はキュッと締まってる」
膝下の柔らかい箇所に指を当てがい唇を押し付け、瞼を落としメリハリのある曲線を舌先で堪能する彼は続ける。
「8つの時、鬼ごっこの最中に派手に転んで膝に大怪我したんだ。綺麗に治ったから良かったものの...」
鼻先を膝小僧まで戻したクラウドは、当のティファでさえ忘れていたエピソードを掘り起こす。今では傷一つない真っ白なそこにうっとりと息を吹き掛けたかと思うと即座に目付きを豹変させた。
「...あの時鬼だった奴、八つ裂きにしてやろうかと思った」
クラウド、冗談だよね?そもそも鬼ごっこって、そういう遊びじゃない...
だが目の前の眼光は親の仇にでも遭遇したかのように差し迫るものがある。蒼白になるティファを置き年表の紐解きはまだまだ終わらない。
「ティファは13歳の夏が一番痩せていて...」
多感な時期に差し掛かり、夏バテも重なってか細い食事量の割に背だけは伸びて細くなる一方だった。周囲からモデルになれるんじゃないかとはやし立てられたのもその時だった気がする。結局その後順調に体重は増し、モデルを目指すには肉のつき過ぎた体型へと落ち着くのだが。あの頃は良かったな...吐いた溜息にクラウドのものも重苦しく被さった。
「当時は...正直見てられなかった。本当はもっと太って欲しかったんだ。仲が良ければちゃんと伝えられるのに...そう思うと、毎日歯痒かった」
伝えた瞬間に絶交されて、私達の歴史は幕を閉じたかもしれない...
女子の観点では人気があるのはユフィが誇るカモシカのような足だろう。理想とするボディラインに関して男女間で性差が存在するとはなんとなく認識していたが、これほどのものとは。「でも、二年後には本当に驚かされたよ」ホッとした表情で過去を辿る彼が再会時に感嘆したのは実のところ格闘の腕前ではなかったらしい。
「そこで止まってくれてもいいくらいだったのに...。あの旅の間も良かったけど、この二年で達した触り心地がやっぱり最高なんだ。なのに...!」
戦いを終え多少の筋肉が脂肪に代わってしまった腿をグッと掴まれる。恥ずかしさと、こちらを見下ろす苦悶の表情に板挟みされ戸惑いを隠せない。自分がサイズダウンを喜んでいる間に誰かを落胆させていたなんて、思いもよらなかった。
「遠巻きに足を見ただけでティファだってわかる。そんな俺だけど、胸とお尻はやはり物凄く好きだ」
覆い被さられ、白いタンクトップを押し上げる膨らみの上にふわりと手が乗りビクっと身体は波打つ。首筋に顔を埋められ、耳元で囁かれた内容に頬はカァっと染まる。
「大きくなったよな?また少し。一緒に住んでから」
「初めての時はまだ指が届いたんだ、ここからここまで。でも今は指二本分溢れるってことは丁度ワンサイズ...「やっ、やめて...!」
頭の中だけにしておけばいいものをツラツラと述べられ動転する。確かに成人して以降も彼女の胸囲は増していたが、彼は無関心だと思っていた。まさかこれほどまで正確に成長具合を把握されていたなんて。
「俺がこれでもかってぐらい揉んだからな」
手のひらを当てた状態で満足気に微笑む心境を伺い知る日は永久に来ないだろうが、その表情は驕心の表れであろう事はかろうじて理解する。居心地の悪さに身じろぎ腰を浮かせたティファのヒップに手の甲がそっと触れた。
「あっ...」
「感度が落ちたら。それだけが気がかりだったが...」
思わず上がってしまった声に慌てて手で口に蓋をする。
「要らない心配だったみたいだ」
口許を持ち上げられ、居た堪れずに顔を逸らした。
「なんていうか、パーツごとで終わる話じゃないんだ。思い切り抱き締めた時が一番気持ちいい。一度味わってしまったら、もう手離せない」
両腕を全身に回されギュウと締め付けられ、頭がクラクラする。そこまで言うなら現状維持に甘んじようか。心変わりをし始めたティファはまだ平常心を保っていた。ゆっくりと体を離したクラウドと視線が合わず、どこを見つめているのかと怪訝に思う。
「それに、ここも変わるって言うだろ...」
気のせいではない程に常軌を逸した眼差しにゾッとする。それを体に刻み込むように執り行われるその夜の契りに、ティファは愛情だけではない何かを感じずにはいられなかった。
「クラウド。あの、私...」
明くる朝、ティファは他の家族と同量の食事を自席に用意し、方針転換を明らかにする。
「ダイエット、止めたから」
クラウドは目論見通りの顛末に目を細め、深く頷き返す。
「わかってもらえて嬉しいよ」
子供達の目には慈愛溢れる笑顔にしか映らないだろうそれの奥に、確実に潜む狂気。どうして彼からの私への想いは常に病的なものを孕みこうも爽やかになりきれないのか。
身の危険を感じ現状維持さえ放棄し元の体重へ戻そうと心に決める。今日から子供達と一緒におやつも好きなだけ頬張ってやる!そう気持ちを奮い立たせようとするも、改めて感覚を研ぎ澄ませば水仕事をする背面に痛いくらい突き刺さる視線。隈なく舐め回すようなそれに、やはりどうにも気分は上がり切らないのであった。
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基地外による基地外な心理療法がめでたく成功。(77,777hits御礼 その5)
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