Minority Hour
こちらはFF7 クラウドとティファ のCPを中心とする二次創作小説を扱うサイトです。初めての方は「About this blog」をご覧下さい。コメントはwebclapからお願いします。
お花をめぐる、あれやこれ
三人旅の始まりです。
お花をめぐる、あれやこれ
「なぁ、ティファ」
ポツリと呟かれた低音にティファは脇見をしていた首を前に向ける。
「花言葉って...どうやって調べるんだ?」
検討もつかない、そんな顔で見つめてくるクラウドをティファは微笑ましく笑い、小ぶりなハンドブックを取り出した。「児童館で借りたの」そう言い花の辞典を掲げるティファにふぅんとクラウドは鼻を鳴らす。だが本を手に取りパラパラとめくりだす彼に、「見るの?」とティファは焦りだした。
「......? なんだよ」
「その...」
まごつくティファを怪訝に思いながらも指は動く。花なんて一つしか知らない。黄色い花の章を開くとすぐに目当てのページは見つかるが、ざっと一読したクラウドは固まった。
ーー『再会』...古くは、離れ離れになった恋人同士が再会した際に渡し合った
「クラウド、知らなかったんだし気にしないで!!」
「いっ、いや!ここまでとは思わなかったんだ!!」
辞典を開いている手を押し除け無理矢理本を閉じるティファとクラウドの声が重なる。動揺して赤面する二人の目があった。
「“ここまで”って...どこまで?」
「それは...」
「なぁに〜?二人とも、なに騒いでるの?」
騒ぎを聞きつけひょっこり現れたエアリスにクラウドはギクっとなる。かつて耳にした軽快な声が脳内にありありと蘇った。
ーーカノジョさんにあげたら、喜ぶこと間違いなし!
これは...下手を打つとまずい。ありのままを答えようとも今度は後先考えずについた小さな嘘が頭を駆け巡った。窮地に陥ったクラウドは全身からタラタラと冷たい汗を流し再び固まる。
「ねぇ、エアリス...クラウドにお花あげた時、何て言ったの?」
意外にもティファが大胆に切り込みクラウドはヒッと情けない声を上げ縮み上がる。異様な緊迫感に包まれた二人を交互に見比べるエアリスは、青ざめ汗だくになるクラウドに気付くと「ああ!」と手のひらをもう片方の拳でポンと叩いた。
「クラウド!だいじょぶ、だいじょぶ。ぜ〜〜ったい、言わないから!」
含み笑いたっぷりに手をヒラヒラ振り否定をする仕草に二人は愕然とする。
「よっ...余計なこと言うな!!」
「ええ〜?だから言わないってば。ソノことも。アノことも!」
「なっ...ななななに?なんなの!?」
「違うんだ、本当にそこまで大したことでは...」
「ティファ、ごめんね〜。クラウド、困っちゃうから言えないの。い、ろ、い、ろ、と」
「やめろーー!!」
数十メートル離れた岩陰から和気あいあいとしたやり取りをポツンと眺める大男がいた。
「やると思ったぜ...」
やると思ってはいたが、この七日間のドタバタ劇を通じ最悪だった互いの初印象は劇的に改善し、一種の信頼関係と呼んで良いものが芽生えたと信じていた。それだけにバレットは一縷の望みを抱いていたが見通しが甘かったようだ。
「おい。お前はなんとも思わねぇのかよ」
同じく除け者にされたレッドに同意を請うが、腹の底の読めない珍獣はチラリと冷たい一瞥をよこすだけだ。
「...二本足には興味がない」
「ああそうかよーー!!」八つ当たりで行く先々の岩をマシンガンで破壊していくバレットにレッドはやれやれと首を振った。
「じっちゃん、遠いよ...」
大陸の更に海を越えた地に思いを駆せ、四足歩行の出来ない者達に合わせ小さな一歩を地道に刻んでいく。成り行きで道連れとなった仲間達は思い思いに好き勝手叫んでいる。実に妙な生き物達で、唯一の救いは道中全くもって退屈しなそうなことだった。
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英語版ではエアリスは「花言葉は再会」だけでなく “Lovers used to give these when they were reunited...” と言う。選択肢に係らず、必ず言う。
そしてそれを調べちゃったティファとかね...
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