Minority Hour
こちらはFF7 クラウドとティファ のCPを中心とする二次創作小説を扱うサイトです。初めての方は「About this blog」をご覧下さい。コメントはwebclapからお願いします。
Healin’ you lll
クラウド、ティファの混乱を治すのに四苦八苦。
Healin' you lll
正常さを逸した瞳から確かな敵意を感じ取り、「くっ...」と苦渋の声を漏らしたクラウドは手にしていた武器を地面に放った。そして降りかかる攻撃に肉弾戦で応じるため、自らも格闘の構えを取る。音もさせず地を蹴ったティファはクラウドとの距離を詰めると迷わず拳打を打ち込んでくる。
普段は体を気遣い力をセーブしているらしい。拳を真っ向から受け止めた肘下への予想以上の衝撃に、クラウドは弾かれた勢いを利用して一度バク転をし間合いを取る。恐怖心や躊躇いを一切取り払われた心理状態では攻撃力は増すが、複雑な行動は取れない。守りに徹するのみで戦況を変える糸口を一向に掴めないクラウドは、足場の悪さに目をつけ一か八かで二人の間の脆い砂土へ向かいファイラを放った。
「...!!」
巻き上げられた粉塵が目に入り込んだティファが怯み、後方へ引く。その隙を逃さず背後へと回り込むと首の後ろをトンと一突きする。意識を失った彼女は待ち受けていた腕の中にグッタリと倒れ込んだ。ふぅと肩で息をついたクラウドはティファを横抱きにすると呼吸に問題がないか確かめる。
ごめん...
瞼を落としていつつも正気を取り戻したとわかる穏やかな表情。やむを得なかったとはいえ、守るべき対象に手荒な真似をしてしまった事を悔いる。「しばらくフォローを頼む」回復に時間がかかるであろうティファを抱え両手の塞がったクラウドは残された男に助けを求めた。
「それは構わないが...」
離れた木の上で事を静観していたヴィンセントはマントを翻し地上へ降り立つ。
「他の面子にも今の十分の一くらいの情けはくれてやれ。お前の混乱を治す方法が荒治療過ぎると仲間内ではもっぱら不評だ」
味方がかかるステータス異常の中で、混乱は断トツに厄介である。先日、錯乱状態に陥ったメンバーの一人を迷いなく大剣の平たい部分で手加減抜きにぶん殴った事を思い出し、クラウドは人差し指で頬をポリポリとかいた。
「...善処する」
“サベツ!サベ〜〜ツ!!”
腕の中の身体を揺らさぬよういつになく慎重に歩みを進めるクラウドの耳に、頭のてっぺんを涙目で押さえる誰かの非難の声が何処かから聴こえてくるようだった。
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