Minority Hour
こちらはFF7 クラウドとティファ のCPを中心とする二次創作小説を扱うサイトです。初めての方は「About this blog」をご覧下さい。コメントはwebclapからお願いします。
Long time no see ~Side Tifa~
クラウドより三日遅れて目を覚ましたティファ。
いつだって、どうしたらいいかわからなかった。
「何年ぶりかな?」
「五年ぶりだ」
「.........」
「どうした?」
「......本当に、久しぶりね」
暗闇の中、去って行く背中。
どんなに手を伸ばしたって...
必死に追いかけたって...
もう...無駄だった。
Long time no see ~Side Tifa~
「ピンチの時には...来てくれるって...約束、したのに...」
身体を斜めに走る、焼け付く痛み。
張り裂けそうな心。
パパは殺され、村は焼かれた。
霞む視界には、力を失い床へと落ちる、赤く染まった腕。
どんなに待ったって...
.........ヒーローは、来ない。
“...ねえ、クラウド。
セフィロスに斬られた私は、どんな風だった?”
“もうダメだと思った...悲しかったよ”
疑心から確信に変わる不安。
ちょっと変だな。クラウドの話してる事、少しずつ変だなと思ってたの。知ってるはずの事を知らなかったり、知らないはずの事を知ってたり...
私は色々と確かめたかった。 でも、聞いたら...クラウド、どこか遠くへ行ってしまいそうで...それは...嫌だった。
...どうしたらいいかわからなかった。時間が必要だって思ったの。側にいて、よく見ていたかった。
突如、冷たい床から浮く身体。
私は温かい腕に包みこまれる。
薄っすらと目を開けると、途端に塞がる胸と心の傷口。
ぼやけた視界に揺れる、一番好きな色。
...来てくれたのね。
...約束、守ってくれたのね。
ピンチの時に、ちゃんと来てくれたんだ...
あなたは泣きそうな顔をする。
「ごめん...行くのが......少し遅れた」
ううん、来てくれただけで...
それだけで...
「いいのよ......クラウド......」
声を振り絞る。
心を込めて。
...眩し、い...
手元で何かが揺れた。
ゆっくりと視線を持ち上げ、先を追う。
そこには長らく追い求めた金色のあなた。
夢の中同様、その色は涙に溶ける。
私は何て言ったのだろう?
ゆっくりと返された台詞でそれを知る。
「ただいま」
「お、おい。無理するなよ。まだ横になってろって」
両手を踏ん張り起き上がると、慌てた声が掛かる。
脳裏がぐらりと揺らついた。
しかし私はそれどころではない。
お願い、これが夢なら...覚めないで。
私の心境を察したのか、私の発言に対して彼は穏やかな口調で “あの台詞” を繰り返す。
「ああ......ティファ......
やっとまた......会えたな......」
...夢じゃ、ない。
疑り深い私は、更に質問を投げ掛けた。
あなたは覚えているかしら?
少し意地悪なその問いかけ。
でも怒らないで。
だって私はその一言に、こんなに振り回されたんだから...
彼は決まり悪い笑顔で、それでもはっきりと言い切った。
「7年ぶりだ」
再び滲む、愛しい彼の輪郭。
でも私はもう二度と、そこから目を逸らさない。
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大切な台詞をお借りしました。
ランマ様、有難うございます。
Long time no see=久しぶり
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