Minority Hour
こちらはFF7 クラウドとティファ のCPを中心とする二次創作小説を扱うサイトです。初めての方は「About this blog」をご覧下さい。コメントはwebclapからお願いします。
Oh, Captain! lll
シド+エアティです。カップリング要素なし。
隙間時間を縫い愛刀を磨きあげる旅のリーダーに、一つの不穏な影が忍び寄った。
「おう、もう黙ってられねぇや」
顎を上げた先の無精髭をさする男は怒りにまかせクラウドにくってかかる。
Oh, Captain! lll
「おめー、ちょっと顔が良くて腕も立つからって調子乗ってんだろ」
「いや...」
「リーダー職権濫用しやがってよ。どうせ “キャー、凄い!” とか “カッコいい〜!” みたいな歓声目当てのやましい魂胆なんだろ?あ!?」
「それは...」
喧嘩腰のシドに押し切られたクラウドは、急遽本日のチーム編成の変更を余儀なくされる。だが出発前になるとクラウドは思い詰めた顔で、自らの希望が通り鼻歌でも歌いかねんシドに何かを言いかけた。
「あん?なんだよ?」
「いや.........何でもない」
「シド、ありがと。助かっちゃった」
「タイミングばっちりだったね!!」
高く掲げられた二つの手に力強くハイタッチをし、シドは理想の展開にほくそ笑む。これだよ、これ。ったく、クラウドの野郎、こんなオイシイ状況独り占めにしやがって。さっきは恨めしそうな顔してたな、ザマー見やがれ!!すっかりご満悦な彼であったが、旅の雲行きが変わるのにそう時間はかからなかった。
「ねぇ、そろそろエアリスの荷物持ってあげてよ。彼女、体は普通の女の子なんだから」
「あん?」
んだよ、面倒臭せーな。と思いつつも、ティファの耳打ち通りシドはエアリスの手荷物を持ってやる。ったく...コイツ、いつまで経ってもフィジカル強くならねぇな。休みもポテチ片手に髪だのコスメだのばっかりいじってやがるしな...
「さっきのあの硬そうなモンスター、ティファに任せるなんて酷くない?あんなに腕細いのよ?」
「はぁ!?」
そんなん知るか!アイツ好きで格闘家やってんだろ?戦闘員なら戦闘員らしく、プロテインでも飲んで太くなれ!!
唇を尖らせたエアリスからの文句にシドは絶句する。その後も「小綺麗な場所で休憩したい」やら、一方で「食事前にシャワーを浴びる時間が欲しい」など、彼女らの要求は延々と続いた。
「ねぇねぇ、私はもういいから今度はティファの荷物持って...「だーー!!うるせぇうるせぇうるせーー!!!」
人から指図を受けるのが何より嫌いなパイロットは堪忍袋の緒を切らしブチギレる。一人前衛を張り、とはいえ回復やサポートも怠らず時間やアイテム管理にも神経をすり減らしたシドは宿屋の入口で力付き床に突っ伏した。
「な、大変だっただろ...」
通常より楽な仕事を終えたクラウドは満身創痍な仲間に同情の声をかける。コイツ、いつもこんなハードな戦闘こなしてやがるのか...
「明日から...元の編成で頼む...」
息も絶え絶え呟いたシドは、うら若いリーダーに対して一種の畏怖の念を抱いたのであった。
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