Minority Hour
こちらはFF7 クラウドとティファ のCPを中心とする二次創作小説を扱うサイトです。初めての方は「About this blog」をご覧下さい。コメントはwebclapからお願いします。
Oh, Captain! V
コスタ・デル・ソルにて、おっさん大活躍。
クラティ?どうでしょう...
クラティ?どうでしょう...
Oh, Captain! V
サンドビーチで仁王立ちするクラウドは当初こそ非生産的な道草に難色を示したが、今となっては悪い気はしていなかった。可憐なワンピースを纏うエアリス。カジュアルなスポーティビキニで決めるユフィ。そして一際異彩を放つのは...随所で語られ尽くされた彼女の容姿に関しての描写は割愛するとしよう。
とは言っても自称クールな旅のリーダーはその様子を百メートル先から碧眼を望遠鏡モードにして生温く見守っている。ビーチボールと戯れる三人衆に忍び寄る不穏な影に色素の薄い眉毛がピクリと揺れた。だがそんな距離では出来る事は限られている。とその時、サーフボードを小脇に抱えたナンパ男達につかまり迷惑顔をする三人娘の前に、主人公を差し置き一人の男が躍り出た。
「やい。やいやいやい!そこのテメェら!!」
シドは親指をグッと立て逞しい胸に押し付ける。
「俺の可愛子ちゃん達に手ぇ出すない!」
有無を言わさぬ剣幕にサーファー達は渋々引き下がる。達成感にフンっと鼻を鳴らしたシドを、一拍遅れて女性陣が取り巻いた。
「...シド、カッコいい〜!」
「さっすが大人の男。頼りになるぅ」
「ありがとう、助かっちゃった!」
「おう、困ったらいつでも呼べよ!!」
完全に出し抜かれたクラウドは遠方で拳を握り締めワナワナと震える。女なんて興味ないし、ましてや俺は元ソルジャークラス1stだぞ?不自由なんかしたことがないんだ...なのに、なのに...う、うう、う...
(羨ましい〜〜!!!)
とうとう本音の噴出してしまったクラウドは自らも甘やかしいひと夏の思い出を作るため作戦を練り出した。意気込む彼に気付きもせず、常人離れした跳躍を披露しユフィはコートの隅にアタックを打ち込む。
「とぉりゃっ!!」
「きゃあ!」
「へへ〜ん。あっという間に3ー0、ティファの負け〜。かき氷、奢りね!」
もう、いくら力が強いからって二対一のハンデは重くない?そうぶつくさ言いつつもエアリスを狙いなどはしない損な性格のティファは渋々屋台へ向かった。群れから離れた彼女に待ち構えていたハイエナ達が次々に襲いかかる。
「ねぇ、君。めちゃくちゃ可愛いね」
「スタイルなんかビーチでダントツだよ」
「その水着、とっても似合ってる!」
「かき氷食べるの?買ってあげるよ、何味がいい?」
複数人に囲まれ身動きの取れなくなったティファをここぞとばかりに待ち受けていた男がもう一人いた。クラウドはティファに向かって突き進むと肩に腕を回しグッと抱き寄せる。
「俺の女に手を出すな!」
迷いのない牽制に狙い通り男共はゾロゾロと退散していく。「ケッ、ちっとも釣り合ってねぇな」という気に触るやっかみはさておき、クラウドは前髪を掻き上げ決めポーズを取りながらご褒美を待ちわびた。だがちゃっかり乗せたままの腕を振りほどくティファの視線は冷ややかだ。
「ねぇ、クラウド。私...いつあなたの女になったんだっけ?」
立ち込める暗雲にクラウドは目をパチクリとさせる。「助けてくれてありがとう。でも...」とティファは俯き顔を背けたまま続けた。
「正式に交際を申し込んでくれた後ならまだしも...あんな軽い発言...ナンパ男以下だよ」
夕陽の沈む波間に向かい、ポツンと体育座りをして放心する男が一人。
「“物凄い嫌がられた...” とか “何が違ったんだ...” とかず〜っとブツブツ言ってんだけど...」
「ティファと話してからだよね?何があったの?」
正しい男女交際についての講義。とはなかなか言えないティファは黄昏れる背中に哀愁をそそられつつも頑なに歩み寄ってはやらない。何か不幸な勘違いをしていたらしい彼は少々気の毒ではあるが、大切な告白をノリでやられたこっちの身にもなって欲しかった。
******************
PR