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Minority Hour

こちらはFF7 クラウドとティファ のCPを中心とする二次創作小説を扱うサイトです。初めての方は「About this blog」をご覧下さい。コメントはwebclapからお願いします。

   

One tiny trump 4


One tiny trump 3、の続きです。


One tiny trump 4 ~FF7 Another Story~


(でもダメ。すぐ、消えちゃう)

一人で背負い込まないで...

(体が、バラバラになりそうな気がするの)

それって...それって...


「はっ!!」

...いけない。
私いま、寝てた?

ふぅ、と溜息をつき首を回す。
ふと目に入ったのは、開かれた本を枕に寝息を立てるレッド。

ここはコスモキャニオンの蔵書室。
私達は村に着くなりここに閉じこもり、かれこれもう12時間以上が経つ。

それらしい表題の本を片っ端から開いていったが、私の望む情報はおろか、そこには白マテリアやホーリーという名前さえ載ってはいなかった。

エアリスは古代種の知識を、自らの意識で直接読み取っていた。
おそらく彼らはその知識の継承を、文献に頼る種族ではなかったのだろう。

ううん、一つだけあった。
間接的だけど、未来の希望に繋がる貴重な情報。

(ねぇ、ティファ。ここにメテオの事が少しだけ書いてあるよ?
黒マテリアは本来、古代種しか使えないんだって)

私はレッドの言葉に驚きを隠せない。
慌ててその本を覗き込む。

(あ、ぬか喜びさせちゃってごめんね。
でもその後にちゃんと書いてある。
強大な精神エネルギーがあれば平気だって。
だからセフィロスはメテオを呼べるよ。
エアリスの言った通りだね...)

彼女の言葉を思い出す。

(そう、ね。ひとりの人間が持ってるような精神エネルギーじゃダメ。
どこか特別な場所。星のエネルギーが豊富で……あっ!約束の地!)

ありがとうレッド。
それだけで十分よ。

携帯で時間を確認し、レッドを起こさないようこっそりと部屋を出た。
まだ起きてますように...





「ホーホーホウ。
お探しものは見つかったかな?」

彼は起きていた。
フワフワと宙を舞い、夜中に突然現れた私にお茶まで用意してくれる。
それを一口啜ると、聞きたい事がある、そう口を開いた。

「ホーホーホウ。昼間言ったよのう。
わしはメテオを防ぐ方法など、ちぃ~~とも思いつかん」

それでもこの人の知識は深い。
駄目元で尋ねた。

「ホーリーという魔法を知っていますか?」

彼はピクリと片眉を上げる。

「古代種の魔法じゃな。
詳しくは知らないが、名前だけは聞いた事がある。
特殊なマテリアをもって発動される、計り知れない威力を持つ魔法じゃと。
...お前さんは、そのホーリーがメテオを防ぐ魔法だと思っておるのかのう?」

私は質問には答えない。

「もしもの話だけど、その魔法を古代種以外の人が発動させる事はできるのかしら?
古代種でないセフィロスが無理やり黒マテリアを使おうとしているように」

彼は興味深そうに「ホウ?」と目を細める。

「発動...だけなら出来るかもしれないがの。
おそらくその威力を発揮する前に、唱えた者の体が弾け飛んで終わりじゃ。
あれだけの魔法に耐えられるのは、古代種と、セフィロスの様な化け物だけじゃからのう」

「そう...」

肩を落とす。

「下手な考えは起こさない方が良い。
常人が扱える魔法ではないでのう。
成功する可能性は万に一つ。
無駄死にするだけじゃ」

そして「万一成功したとしても、その時には術者の体は木っ端微塵じゃ」と付け加える。

万に一つ?
今はそれでも十分よ。

「心配いらないわ。
ホーリーのマテリアは湖の底へ落ちたの。
エアリスと一緒に眠ってる」

嘘だった。
湖の浅瀬に落ちたそれを、私は仲間の目を盗み拾い上げた。
そしてそれは今も手の中にある。


「この事は誰にも言わないでおいて貰えませんか?」

そう言い部屋を後にする私に、彼は何を悟ったかこう言った。

「命は大切にのう。
むざむざそれを投げ捨てるのは、お前さんを想う者に対する裏切りじゃ」

だけど諦めきれない。
かと言って、今すぐ北の大地に向かい、それを発動させる勇気もなかった。
それは愛しい彼との愛しい時間の終わりを意味してるから。





数メートルおきに優しく灯り、私を導いてくれる温かい光。
同じ炎だが、故郷を焼いたものとはまるで違う。

それを頼りに宿屋へ向かう。
レッドにかけてあげる毛布を取りにいかなくちゃ。

ここの宿屋は、バーの二階にある。
薄暗いそこを通り抜けながら、いつしかここで交わされた会話を思い出す。

きっかけはなんだっただろう?
確か私が母の話をした事だ。
彼女は髪のリボンを解き、中から出てきた物を愛おしそうに眺める。

(見せてあげる。私の宝物)

白い...マテリア。

(私の言うことしか、聞かない子)

そう言い握り締めると、それは僅かに緑白色に光りだす。

(でもダメ。すぐ、消えちゃう)

彼女は古代種のハーフだった。
きっと彼女も手助けがいるんだろう。
星の力の。

(それに、体が、バラバラになりそうな気がするの)

その威力故に危険な魔法。
あなたにとってもアレは「かけ」だったのね?

その時は何を言ってるのかわからなかった。
だが、後に現れる黒マテリア、メテオ...
そして黒マテリアがセフィロスの手に渡った直後、あなたは消えた。
誰にも何も言わずに。

彼女はこう呼んでいた。その魔法の事を。

「ホーリー...」

次の瞬間、私の喉元でギラリと光る長い刃(やいば)。

「そうだ。それを渡せ」





One tiny trump 5、へ続きます。


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