Minority Hour
こちらはFF7 クラウドとティファ のCPを中心とする二次創作小説を扱うサイトです。初めての方は「About this blog」をご覧下さい。コメントはwebclapからお願いします。
Give-and-Take
本編。戦闘に置ける考察。
Give-and-Take
タメを十分に作り、渾身の力で拳を突いた。だが手応えを期待した相手の急所は残念ながらピクリと動き、敵は最後の力を振り絞りティファに鋭い歯を向けてくる。至近距離から浴びせられた攻撃には堪らず、吹き飛ばされたティファは付近に聳え立つ大木に思い切り叩きつけられ苦しそうな呻きを漏らした。
「絶不調だな」
後を引き継ぎ代わりにとどめを刺したクラウドは、回復魔法は不要な事を確かめ未だ胸元を手でさすりうずくまるティファに手を差し伸べる。
「今のは一撃では無理な相手だろ?何であんな無茶するんだ。今まで通り掻き回してくれれば俺が決める」
前々からざっくりと擦り合わせてある戦術を逸脱する行為を指摘する怪訝な顔に、ティファは近頃自らの前に立ちはだかっている壁を正直に打ち明けてみた。女連中ばかりを引き連れるクラウドをからかうシドに対し、彼が返した言葉が胸につっかえていた。
“弱いからだ”
女とはいえ、曲がりなりにも前衛を張るファイターとしては聞き捨てならない評価であった。だが冷静に考えてみれば自分独自の長所とは何だろう。真っ先に挙げられるのはスピードであるが、それも同性であるユフィにすら敵わないし他の面子と大差がある訳ではない。特に女性であるが故のパワー不足と打たれ弱さは旅が進み魔物の強さが増すにつれ見劣りが目に付くようになってきた。
「なんだ、聞いてたのか」
「ねぇ、私の取り柄って何だと思う?今後どういう方向性で行くべきなのかな...」
切羽詰まった顔にクラウドも「ティファの強みは...」と真剣に思いを巡らせた。
「それだろ」
突き付けられた指にティファは意図するところを考えあぐねる。クラウドは「気にしてたなら悪かったな。この前シドに言った事は嘘だ」とアッサリ前言撤回した。
「だいたいな、アイツらときたら人の言う事なんかちっとも聞かないんだ。その上目立ちたがりばっかりでサポートは嫌だとかなんとか...興味のないマテリアの使い方も覚えないし...」
旅のリーダーからこれでもかと溢れ出す愚痴にティファは呆気に取られる。確かに決定力のあるクラウドに任せれば大抵は安泰であるところを、我こそはと出しゃばりたがる輩ばかりである。余程の強敵は慎重に対処はすれど、皆基本的に適当に突き進み、まずくなったら誰かがフォローしてくれるだろうという無鉄砲なスタンスであった。
「...それに、俺も年上の男には色々と言いにくい」
男性陣の中では最年少である彼は、見かけに寄らず気を使っている場面もあるらしい。最近ではマテリアの種類も増えエアリスでさえ彼の戦略には物申すようになってきた。補佐的な立場に甘んじたり、謙虚に作戦に従うメンバーはよく考えればティファくらいである。「実際、他の仲間からも好評なんだ。ティファは」クラウドは照れ臭そうに一言付け加える。
「だからアレは建前で、本音としては...“渡さない” だな」
望まれるものがそれなのであれば、単体としては能力のパッとしない自分にも進むべき道はあるだろう。
「意外と気苦労が絶えないんだ」
「まぁな。...頼りにしてるぞ」
ポンと肩を叩いたクラウドに向けられたティファの顔は、既に迷いから吹っ切れた頼もしい顔付きを取り戻していた。
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Give and take=持ちつ持たれつ
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