Minority Hour
こちらはFF7 クラウドとティファ のCPを中心とする二次創作小説を扱うサイトです。初めての方は「About this blog」をご覧下さい。コメントはwebclapからお願いします。
それでも生きて
シリアス。ティファが暗いです。
Cloud→Tifa→Aerisかな。
本編ののち、エアリスのところへ会いに行った後。
後半ちょっと背伸び描写がありますので、苦手な方は注意です!
旅の仲間と忘らるる都へ、エアリスの元へ行って以来、ティファは目に見えて気落ちしてしまった。
皮肉なことだが、辛い旅が終わってしまったせいもあるのかもしれない。
今の俺たちには時間が多すぎる。
何も考える余裕もないくらい切羽詰まっていた方が、身体を動かしていた方が、正直楽だ。
それでも俺の気持ちは前を向いているんだ。
俺が落ち込んでは、エアリスもザックスも笑えない。
そう思うのは、悪いことなのか?
こんなに近くにいるのにティファが遠い。
ティファの瞳に俺は映っていない。
俺はティファの生きる理由にはなれないのか?
あの時わかり合えたと思ったのは、全部勘違い?
それでも生きて
「不戦勝、か」
メテオの消えた青い空を見上げていたら、無意識に声が漏れた。
誰も聞いていないとわかってはいながらも、自らの心を言い当てた発言に我ながら動揺する。
今、私の時間は止まっている。
忘らるる都の湖の底に置いてきたまま。
彼女と一緒に。
“私は前を向きたくないんだと思う”
“今、ここで死んでしまっても構わない”
クラウドには酷い事を沢山言ってしまった。
優しい人だ。
自分がどうにかなるより、私が駄目になっている事により心を痛めているだろう。
明確な愛の言葉を囁かれた訳ではないが、クラウドの私に対する気持ちに疑いは、あまりない。
ライフストリームに一緒に落ちた時、直接自分の意識に流れ込んで来た彼の温かい想い。
命をかけた決戦の前には初めて彼に抱かれた。
彼は正直者だから、一時の気の迷いやその場の雰囲気だけであんな事は出来なかっただろう。
現に戦いが終わった今だって、あの綺麗な瞳で真っ直ぐ私を見つめてくれる。
...そもそも相当鈍い人だから、エアリスの気持ちなんて今でも気付いていないんじゃないだろうか。
じゃあ私は何を気にしているの?
彼女が生きていたら、彼の隣にいるのは自分じゃなかったかもしれないから?
「正直、五分五分かそれ以下ってところかな」
冷静な分析に自嘲気味になる。
そりゃあ正々堂々と勝ち取った恋なら清々しさは増すだろう。
それもある。
それもあるけど、それだけじゃない。
そんなシンプルな話じゃない。
“あなたは大丈夫?”
どうしてこんなことになっても、まだ私を支えようとしてくれるの?
私はあなたにもう何も返せない...返せないのに。
彼女と同じ人を好きになったからなんて、そんな安っぽい気持ちで片付けたくない。
単純に彼女と一緒に生きたかった。
彼女の未来はいつもキラキラしていて、当然のごとく私もそこにいると信じてた。
ねぇ、誰よりもわかり合えてたよね私たち。
あなた以上の友達が今後見つかるなんて思えない。
恋しいよ。
生きて、エアリス。
私だけ幸せになるんじゃ意味がないの。
「入ってもいいか?」
バレットは気を使ってくれたのか、マリンを連れて早々に部屋へ引き上げてしまった。
ここは道すがらの小さな宿屋の一室。
私たちは今エッジへと向かっている。
新しい生活を始めるために。
本当に小さい事でも律儀に聞くよね、クラウドは。
いつもは微笑ましく感じる彼の習性にも、なんだか今はイライラしてしまった。
「何のために?」
違うよ。気にかけてくれて本当は嬉しい。
「別に。話が出来たらなと思っただけだ。
嫌なら戻るけど」
「...嫌なんかじゃないけど」
何を話せばいいのかしら?
今の私じゃまたネガティブな事を言ってクラウドを傷つけるだけだよ。
「それじゃ」と、聞こえるか聞こえないかぐらいの声で呟いて、クラウドは私の部屋に入った。
ベッドしかない狭い部屋。
そのまま彼はやや決まり悪そうに入口にほど近いベッドの隅に腰を掛けた。
ついで私も人二人分くらいの不自然な距離を置いて座り込む。
『...』
しばらく待ってもクラウドに一向に喋り出す気配はない。
俯いたままピクリとも動かない。
「話があるんじゃなかったの?」
わかってる。クラウド、こういうのは苦手よね。
元々、拒絶されているところに積極的に行く人なんかじゃない。
「白状すると、特に話すことなんて考えてこなかった。
...一人で泣いてるのかなって思って来たんだ」
「泣いてないよ。
...だから大丈夫。心配ありがとう」
もっと優しい言い方が出来たら良いのに。
「なぁ、ティファ。今日は一緒に寝たら駄目か?」
いきなり飛躍した会話に思考が凍りつく。
何を言ってるのよ、この人は。
「あ、いや...変な意味じゃない。
ただ抱きしめて眠りたい。何もしないから」
慌ててつけ加えるクラウド。
「別に...抱いたっていいのよ。
今の私、それくらいしかクラウドの役に立てないから」
もっと何を言ってるのよ、私は。
「心が通じ合ってない人とそういう事がしたいとは思わない。
見損なうなよ」
自分が悪いくせに、突き放された途端心がズキンとする。
ああ、私やっぱりこの人が好きなんだ。
「ティファはどうなんだ?
俺はわかり合えたと思ってた。
でももし違うなら...俺のために前向きになってくれなんて言わない。
もし俺と一緒にいて辛い事を思い出すなら......ティファの前から消えるよ。
でも約束してくれ。それでも生きるって。諦めないって」
違うよ、むしろ解放してあげなきゃいけないのは私の方。
いつまでも後ろ向きな癖にクラウドの側には居たいんだわ。
なんて中途半端。
「今答えないとダメ?正直、わからない...」
「いいよ、ゆっくりで」
緊張が溶けたのか、姿勢を崩しドアの方へ視線を逸らすクラウド。
ごめんね、私はまた逃げてしまった。
「...なぁ、さっきの提案は?やっぱり無理か?」
「? 抱きしめてってやつ?
だから泣かないよ。心配いらない」
「それでティファの元気が出ればめっけもんだけど、実際のところは俺がただそうしたいから言っている」
クラウドは目を合わせないままだ。
これって...私がいいとか無理とか言わないといけないのかしら?
相変わらずなんだから。
そう失笑すると同時に、さっきからお互い抱くとか抱きしめるとか連呼している状況にも笑えてきた。
難しいことばかり考えてないで、素直に寄り掛かかれば少しは楽になれるのかしら?
今の私にはそんな権利、本当はないのだけど。
何も言わず、二人の間にポッカリ空いた空間を少しだけ詰めてみた。
これで何もしてこないならもう放って置こう。
ほどなくして、背中に感じる熱い感触。
「きゃっ」
そのままクラウドの腕は腰にまわり私の身体は彼の胸に力強く引き寄せられ、私がクラウドの上に乗っかるような形で二人ベッドに倒れ込んだ。
痛いくらいの力で締め付けてきたまま、クラウドの身体は動かない。
今私の心は湖の底にある?
それともクラウドの胸の中?
わからないけど、クラウドに触れている背中、胸、顔、全部が熱を持っているのはわかる。
疲れてきたせいもあるけど、しばらく頑張っていたお腹の力を抜いて全体重をクラウドの胸に乗せてみた。
相変わらずクラウドは動かないけれど、彼の指先に少しだけ力が入る。
どれくらいの時間そうしていたのだろうか。
「...重いでしょ?」
「重くない。...安心する」
今なら言えるかもしれない。
「死んでもいいなんて...嘘だよ」
「わかってる」
私は生きたいんだと思う。
愛するあなたと共に。
「俺も、ティファの前から消えるっていうのは...嘘だ」
「...うん」
素直になれるのは、顔が見えないせいもあるのかしら。
「ねぇ。...抱いてもらえる?」
「...ちゃんと抱いてますけど」
「だからそっちじゃなくて」
「自暴自棄になってるとかじゃないよな?」
自分でも顔が赤くなってくるのがわかる。
「私だって、通じ合ってなければできません!
もう...これ以上言わせるならいいよ」
「悪かった」そう呟きながらクラウドは腕の力を緩めて私の身体を引き上げる。
久しぶりに目が合ったと思った矢先に、唇は彼のそれによって塞がれる。
照れ臭かったから、少し有難い。
初めて彼と繋がった瞬間にも涙が出たけど、二度目もまた涙が零れた。
一度目とはまた違う意味の涙。
彼の手が当たって熱い胸の奥には、相変わらず冷たい何か。
それでも生きて行くね。
逃げてるだけで本当はわかってる。
あなたは誰より、それを望んでくれているって。
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とか言っときながら、ACで鬱になったクラウドてやんでい。
クラティというか、鬱ティ。
でも、大切な人を失う喪失感って凄まじいと思うの。
私にも学生時代からの親友がいます。
美人で明るい彼女。
時には嫉妬もするけど、彼女なしの人生などもはや考えられない。
こんなこと書いておきながら、実はプロローグ小説は事情があって読んでません(お金がないとかではありませんよ)。
なので設定上おかしなところもあると思いますが、お許し下さい。
早く読みたいなぁ。
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