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Minority Hour

こちらはFF7 クラウドとティファ のCPを中心とする二次創作小説を扱うサイトです。初めての方は「About this blog」をご覧下さい。コメントはwebclapからお願いします。

   

閃光に喫す

DDFF OOにて。ギャグです。ティユウとジタガネも少し。ライトニング参戦時のお話。

登場人物:クラウド、ティファ、ライトニング、ユウナ、ティーダ、ガーネット、ジタン




閃光に喫す


小鳥はさえずり、寝転がった背中に敷かれた芝は日差しでポカポカだ。街も文明もない、闘争のみの世界とは信じがたいのどかな風景。

「平和っすねぇ」
「...だな」

そこには日に日に増していく戦闘要員にあぐらをかき、毎日昼寝ばかりしている金髪の若者二人。

「呑気なもんだな」

そんな二人に棘のある声が突き刺さる。のっぴきならない空気にティーダとクラウドは半目を開けた。

「オマエら...どうしてそんなうかうかしてられるんだよ!?アレを見ろ!!」

どこから出してきたのか壁をバン!と叩くジタンが指差す先には女性陣の群れ。中心に佇む一際背の高い女は集団に仲間入りをして日が浅いが、その存在はほぼ全てのメンバーが畏怖を伴い一目置いていた。

“なんかスゲー女が現れたな...”

男性をも凌ぐパワーとスピード、緊急事態にも動じない冷静な判断力...どれをとっても彼女の能力はピカイチだった。そして独特のオーラは人も引きつけ今も彼女の周囲は人で溢れている。和気あいあいとしている30メートル先との温度差を感じ、ふと疑問が湧いて出た。

「そういえば...」
「...静かっすね、最近俺達の周り」 
「当たり前だろ、これを見ろよっ!!」

切迫感のない態度に痺れを切らしたジタンが再度叩いた壁は気付けばホワイトボードに変化していた。そこにはここ数週間に渡るチーム編成の推移が事細かに分析された結果が載っていた。ジタンは予備校講師さながら重要な箇所を赤ペンでハイライトする。
 
「女性メンバーはアイツと組まされてるんだよ!ここんとこめっきり!」

確かに彼のお目当ての王女様は頻繁にライトニングと行動を共にしていた。ということは...嫌な予感にここにきて初めて重い腰を上げだした男達は羅列された文字の中に気になる名前を探し求める。そして一つの結論に行き当たった。編成係であるモグにそれとなくティファ(ユウナ※)と同じチームになるよう根回しをしておいたはずなのに、近頃とんと機会に恵まれていない。※括弧内はティーダの思考である

“クポぉ〜、下心満載の私情なんかより、全体のバランスの方が重要なんだクッポポぉ〜!”

正当この上ない判断の癖に、脳内に再生される例の声はいつになく鼻についた。とその時、森の陰から一匹のモンスターが現れ集団に乱入する。取るに足らない敵ではあったが、それはあくまで熟練度の高いメンバーにとってである。先日召喚されたばかりの小柄な女性の悲鳴にジタンの歯はギリっと鳴った。

「きゃあ!!」
「...お姫様は後ろにいてくれ」
「はっ、はい!」

ライトニングは動揺することもなく、卒ない仕草で華奢な体を背後に庇い自らを盾にすると鋭利な剣で瞬く間に魔物を滅多刺しにする。品行方正なガーネットはクールな背中におずおずとするも丁寧に礼を述べた。

「ありがとうございます。あの...私、足手まといで...」
「この世界に呼ばれたばかりだ、気にするな。...回復は期待しているぞ」

気休めなどには縁のないライトニングの性格を鑑み、ガーネットは安堵し笑顔する。

「...はい!!」

それを見て、ライトニングもフッと口元に笑みを浮かべた。某国某県の宝塚のステージに負けず劣らず絵になる図である。 出番のなかった男連中は危機が過ぎ去りホッと腰を下ろす。尻尾を震わせる一人を除いて。

「ぬぁ〜〜にが “お姫様” だよ。だいたいな、お姫様を守るのは男って決まってんだ!人選ミスにも程がある!!」

「ああっ!頭ポンポンをするな!頭ポンポンを!!俺だけの特権なのにぃ...!」と半狂乱になる別世界の英雄を尻目に、何も女相手にそこまで息巻かなくても...とクラウドとティーダはまだ余裕の表情である。

だが次の瞬間、地盤の奥深くで始まった地響きに只事でない事態を察知した。続く直下型の揺れに、今度はクラウドが反射的に飛び起きた。開けた平原にいる彼らと違い、黒髪の幼馴染が佇む場所は朽ち果てた古城近く。地震の衝撃により落下し始める城壁に急ぎ手を伸ばすも、その身体を抱きかかえ安全な場所へと跳躍をした人物の髪色は金ではなく...ピンクだった。

「すまない、驚かせたか?」
「う、ううん。ごめんね、私重いでしょ」
「そんなことはない」

男性はもとより、高身長の自分がまさか女性に抱き上げられるなんて...ティファは驚き固まっており、ライトニングは気遣いながら彼女を地に降ろす。

ひ、姫抱っこ...!俺もしたことないのに!
一部始終を遠目で捕らえ、無力さに打ちひしがれる男はもし自分が隣にいたなら享受出来たはずの特典を奪われ見苦しくワナワナ震えた。心臓に手を当てユウナによろめくティファの反応が追い討ちをかける。

「な、なんかドキドキしちゃった...」
「ティファったら変なの。女の子同士じゃない」
「そ、そうだよね。でもあんな風にされると妙な気にならない?」
「私は...男の人の方が...」

ポッと頬を赤らめた女召喚士が誰を思い描いているかを察し、ティファは突っ込んでみたかった話題を今だとばかりに振る。

「あ!もしかしてあの泳ぎの上手い爽やかな彼?」
「え!?そ、そう...かな。う、うん...。うう...」

年齢の割にはしっかりしている彼女のウブな反応にティファは目を輝かせ話題はそっち方面に逸れていく。あたふたとするユウナを遠巻きに見つめ、渦中の男はダランと鼻の下を伸ばした。

「俺は別に気にしないっす」

上機嫌で口笛を吹き場を後にするティーダに取り残された二人。ティファが俺を置いて新境地に足を踏み入れてしまう...長年見知った彼女に不似合いな危うい反応にショックを受けたクラウドにジタンは共感を込め視線を投げかけた。

「ま、まぁ...少々ゆゆしき事態ではあるな」
「だろ?」

クラウドを味方につけたジタンは得意のリーダーシップを発揮し、極秘の討伐作戦を始動させる。

「よし、クラウド。早速偵察に行って来てくれ。まずはアイツの弱みを探るんだ」
「...は?」

なんで俺が。そう言いかけたクラウドにジタンは男性にしては長けた話術で畳み掛ける。

「何も本気でぶっ潰そうって訳じゃないぜ。でも、お前だって戻りたいだろ?ちょっと前の平穏な日々に」

そうだった。ほんのかすり傷であっても心配そうに当てられる手。上手い飯。何よりあの笑顔。この殺伐とした世界で得られる唯一の癒しだったのに...感傷に浸り始めた元来パシられ体質である彼は、まんまとジタンの思惑通りライトニングの元へのこのこ出向いていった。



「...何の用だ」

歓待とは程遠い鮮烈な出迎えにたじろぐ。この女、性別で態度に差があり過ぎだろ。戦略など全く練って来なかったクラウドは頭の中でジタンの指示を反芻する。ええと、確か弱みを探れとかなんとか...

「ホープは...」

ふと口を突いた名前。彼女と親密な人物といえば、元の世界を同じくする銀髪の少年くらいしか思い浮かばなかった。ライトニングの眉がピクリと揺れるが、クラウドは気付かない。

「今日も元気だった」
「そうか」

そこは嘘でも怪我をしたとかカマをかけ相手の反応を伺うべきなのだろうが、なにぶん駆け引きは苦手な彼である。コイツ、一体何をしに来たんだ...?偶然にも武器の手入れをしていた彼女の眼差しと鋭利なナイフが警戒の色を携えギラリと光り、慌てて今度はいよいよ直球を投げてみる。

「俺はティファのおなっ...」

...噛んだ。長くなりそうな気配に観念し、ライトニングは手を休め足組み腕組みして辛抱強く彼に付き合った。断片的に紡がれる言葉の端々を繋ぎ合わせると、どうやら男はティファを守ってやる約束を交しており、近頃それを全う出来ないことにフラストレーションを貯めているらしい。

「文句はモグに言え」

真っ当至極である主張に二の句が継げない。ふと思い付きライトニングはスマホを取り出すとクラウドのパラメーターに目を通す。そして上限を目前にして停滞しているレベルに目敏く気が付き眉を潜めた。ストイックな彼女は昼夜を問わず剣を振り、言わずもがな練度はカンスト済みである。持って生まれた能力の高さに奢りしょっちゅう居眠りをしている戦士に痛烈な一言を言い渡した。

「ふん、口程にもない」

彼にとっては一番手痛いだろう皮肉も忘れずに。

「私と一緒にいた方が、ティファも安全なんじゃないのか?」





予想を遥かに上回る激闘に、精神的に打たれ弱い男が足を引きずり復路を辿る。

なんて強敵なんだ...為すすべもない、完敗だった。アイツ、武器にもパッシブにも恵まれてるしな...
HPを1まで削られたクラウドは見当違いな言い訳をブツブツと得意の現実逃避で必死に自らを慰め、トボトボと男だらけの陣地に引き返す。すると、背後から彼を追いかける足音が聞こえる。

「あ、本当だ。いたいた!」

振り返った先の彼女と話すのはいつぶりだろう。突然のティファの登場に面食らう。異なるチームはそれぞれフィールドが被らないよう配置されており、こんな偶然はそうそう起こり得なかった。

「クラウド、久しぶり!」

変わらない微笑みを投げかけてくる彼女。俺を探していたようだ。何か用件があるのかと思ったが、「ちゃんと食べてる?」なんていう世間話に流される。

「ああ、毎日ティーダが仕留めた魚の素焼きだ。美味いけど、流石に飽きた」

古風な食卓事情にティファは、「お魚?へぇ、この世界にもいるんだ。今度こっちにもお裾分けしてよ」と興味津々だ。

「何匹でも持ってってやるよ。...俺が採るんじゃないけど」

調子付くとティファは声を上げて笑う。やがて話の種は彼女が現在所属しているチームリーダーへと移っていく。苦々しい惨敗を思い出し、クラウドは人知れず肩を落とした。

「ね、ライトニングって...何となくクラウドに似てない?」
「え?」
「髪もツンツンしてるし、それだけじゃなくて立ち振る舞いも...」

意表を突かれたクラウドは思いもよらない発想に呆然と立ち竦む。

「最近ずっと離れ離れだけど、彼女といるとクラウドといるみたいで寂しくない...かな?」

ぽそりと口から漏れた台詞は耳ざとく聞き逃さない。基本的に真一文字に結ばれている唇がデレっと緩んだ。

「や、やだ...私、何言ってるんだろ!」

自らの大胆な発言に慌てたティファは両手で頬を覆う。照れ臭さに、クラウドの反応も待たずに軽い足取りで来た道を引き返して行った。

「またね!」



「なぁ、クラウド。どうだった?」

惚けた頭でキャンプへと戻って来たクラウドに、ジタンは嬉々として報告を促す。

「俺も抜ける、討伐隊」
「...へ?」

急展開にジタンはポカンと目を丸くしあんぐりする。「お、おい!」と引き止めようとするが、クラウドの耳には届かない。

似てる癖にどうして俺には女が寄って来ないんだろう...おセンチに星空を仰ぐクラウドには伝えにくいが、彼と彼女のコミュニケーション能力の差は残念ながら歴然である。

(そういえば、ティファはなんでわざわざ俺を追いかけて来たんだ?)

“お前の幼馴染がこの先にいる。行って、声をかけてやってくれ”
“え、そうなの?ええと、何かことづて?”
“話の内容は何でも良い。...悪いが、頼む”

先程のティファとの一件も、若干言い過ぎたと良心の呵責に苛まれたライトニングによるお膳立てに他ならない。

「裏切り者〜〜〜!!!」

今夜も焚火で魚がパチパチと焼かれ、立ち昇る煙と共に悲痛なハスキーボイスが高らかに響き渡った。刻一刻と増殖する光(&闇)の戦士達。彼らが狙った獲物と行動を同じくする機会は確率論的にも減少の一途を辿る一方だが、可能性を少しでも上げるため、アプリが落とされている間にも各人経験値稼ぎに鋭意励んで欲しい。


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携帯ゲームの...果てしのなさよ...


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