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Minority Hour

こちらはFF7 クラウドとティファ のCPを中心とする二次創作小説を扱うサイトです。初めての方は「About this blog」をご覧下さい。コメントはwebclapからお願いします。

   

Remedy

具合の悪いティファに、クラウドは...
AC後です。







Remedy


昼の営業を終えてすぐ、こめかみを抑えソファーになだれ込む身躯。見慣れない光景に、脇に佇む男は一時前からオタオタしっぱなしである。「少し横になってればすぐ良くなるわ」との台詞は真実なのかもしれないが、限界まで無理をする傾向のある彼女。今の容態が思わしくないのは明白であった。

「何か飲むか?温かいお茶とか...」

その提案は若干魅力的ではあったが、彼が今まで自力で作りあげることの出来た飲み物はインスタントコーヒーのみと記憶している。ティーポットの在り処を伝えるのはおそらく自分の役目になるであろうし、慣れない作業にお茶っ葉も派手に宙を舞うかもしれない。善意しか伺えない純真無垢な瞳を前に我ながら酷いことを考えるものだと、真意の内緒な笑みを漏らす。大丈夫、喉は乾いていないわ。

「さっきもうお水飲んだ。お薬と一緒に」

出鼻を挫かれ棒立ちになったクラウドはいつになく執拗だ。

「今日はもう店は休みにした方が...」

「こんなのでお店閉めてたら、年中臨時休業になっちゃうわ」と、薄っすらと目を開いたティファの剥きだしの二の腕が今度は気になったらしい。

「毛布、取ってこようか?」
「う~ん、暑いかも」

ことごとく却下され続ける提案に肩を落とし始めた彼に、ティファは自らの気を紛らわせるためにも話題を変える。

「クラウドは頭痛くなったりしないの?」
「全く縁がない」
「そうなんだ...」

その即答は羨ましかったようで瞳は少しだけ驚きで見開かれる。すなわち彼は彼女の痛みに共感の相槌を打つ相手としても役立たずだった。

「しょっちゅうなるのか?」
「毎月ってほどじゃないけど...もっと酷い人だっているし」

つまり彼女はクラウドが不在、もしくは気づかぬうちに何度もこの苦しみと対面していたということだ。それだけじゃない。月に一度の頻度で襲われる女性特有の苦痛に耐えながら、真っ青な顔で店に立ち続けるティファ。クラウドはティファと生活を共にするまで、女性の身体がまさかこれほど頻繁に不安定な状態に陥っているなど思いもよらなかった。

「女って、大変だ」
「そこまで大袈裟でもないわよ」

十代の頃から長らく付き合ってきた痛み。対処法も十二分に心得ていて、もはや面倒なだけである。加えて目の前を右往左往する大の男の姿に、心の中に新たな何かが芽生え出す。一人でいては本を読むことも叶わずひたすら脈打つ痛みが消え去るのをやり過ごす苦痛の時間。にも関わらず、今の自分の頬は緩みっぱなしだ。そうね、確かにそこまで悪くないかもしれない。あなたがこんなにも気遣ってくれるなら。

「俺、やかましいよな。向こうに行ってる」

不甲斐なさに落胆し、しょげて部屋を出て行こうとする背中を「ねぇ」と引き止める。

「治るまで、手を繋いでいてくれない?」

振り返ったクラウドは一瞬驚いた顔をするが、すぐにソファーの側に戻り床にあぐらをかいて座り込む。

「こんなんで効くのか?」
「うん、暖かくて気持ちいい」
「...さっき暑いって言ってなかったっけ」
「指先くらいがちょうどいいの」

どうやらその行為は頭痛に効き目があると本気で信じているらしいクラウドは「そうか」とホっとした表情をし、生真面目に手を今一度しっかりと握り直す。

なんだか騙してるみたいになっちゃった...でも、いいよね。半分は嘘じゃない。
何の変哲もない昼下がりに突如舞い込んできた小さな不運と幸運に、ティファは今度こそ深く瞳を閉じ、指先の温度だけを感じ続ける。


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あなたは動くと楽になる派?悪化する派?


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