忍者ブログ

Minority Hour

こちらはFF7 クラウドとティファ のCPを中心とする二次創作小説を扱うサイトです。初めての方は「About this blog」をご覧下さい。コメントはwebclapからお願いします。

   

その行為についての考察


家の中は事件でいっぱい!
ギャグです...







その行為についての考察


自室の床にペタンと座り込み、ほぼ開ききったタンスの小さな引き出しを前に、ティファ=ロックハート22歳は本来ならばそこにあるべきはずのものの行方、そして長らくの同居人であるクラウド=ストライフ23歳と自分との複雑な関係に思いを巡らせていた。それは遠い昔、下手すると彼女がこの世に生まれ落ちた瞬間から始まっていたかもしれない問題で、主には彼との物理的な距離と心理的なそれとの乖離(かいり)に起因する。

エアリスだったら、ハッキリ聞くんだろうな...そう天を仰ぐ彼女に、ティファ、流石にそれは私でも聞きづらいよ...そう親友が返した声が届いたかどうかは定かではない。
そのままティファは、心につっかえるこの感情が自分の中に初めて顕著に芽生えたあの瞬間に時を遡る。そう、それは二年前のあの日...





ティファはその一連の告白に少しの苛立ちを覚え始めていた。

ピアノ?確かに目の前にあったら弾きたくもなるかもね。それに私に会えるんじゃないかって家を訪ねてくれたのは嬉しかったよ。
だが腹を立てている内はまだマシだったかもしれない。物事は更にエスカレートし、あらぬ方向へと進んでいく。

「その後、俺はティファのタンスに向かい、ソルジャー・クラス1stの誇る洞察力でもって、最も怪しいと思われる引き出しを一発で探り当てた」

まさかね。冷汗をかきつつも、ティファはまだ望みを捨てていなかった。

「そして奥まった所に仕舞われつつも、他のものと比べ一際異彩を放つそれを見つけ出し、ポケットの中にギュッと...「くっ、クラウド!!...それ、本当なの?」

眩暈を感じつつも、ティファは必死の形相でクラウドを遮った。

「冗談だ、怒るな...」

クラウドは前髪を掻き上げクールに笑い飛ばしたが、そんな否定文句も虚しくティファの感情は怒りから恐怖に近いものへと変わる。彼が事細かに言及した “ソレ” の特徴は、彼女が当時お気に入りとして大切にしていたものと絶妙に一致していた。少し前までニヤニヤ笑いで済んでいた仲間の視線が次第に同情の色を帯び、ティファはいたたまれなくなる。

それだけに留まらず、クラウドは彼女の机の上も漁ったようだ。戸惑うティファを無視して、クラウドは饒舌に語り出した。

「俺は読んでしまった...よろず屋の息子がティファに書いた手紙だった...『ティファ、元気か?僕は八日前にミッドガルに着いた。昨日はニブルヘイム出身の仲間達が集まってくれたんだ。あ、クラウドだけは連絡先がわからなくて呼べなかったけど。でも、あいつは元々皆とは少し違うというか、俺達みたいな小物は相手にしない風格があったし、まぁ、いいんじゃないかって皆と話してた』」

あれ?さりげない文章の改ざんにティファは首をかしげた。そしてそれまで思いもよらなかった一つの仮定にふと行き当たる。もしかして、この人って...

ちょっと残念な人なのかしら?
しかしティファはすぐに首を振る。ううん、そんなはずない。隣に佇む美しいエアリスを始め、行く先々で老若男女を問わず数多(あまた)の人を魅了し、ティファの存在など「興味ないね」で一蹴しそうな自信タップリのクラウドが、そんな情けない事実の歪曲を行うとは到底考えられなかった。
困惑し始めるティファを余所に、クラウドは高らかに続ける。

「『何より、ティファ、どうしてる?もう何年も会っていないような気分だよ。昨日も皆でティファの話で盛りあがった。皆ティファが好きなんだ。でも、ティファは皆のアイドルだったから、仲間を裏切る事が出来なかった。あ、これ以上書くとラブレターになってしまう!フラれるのはわかりきってるし、返事は書かなくてもいいよ』もちろん返事なんか出してないよな?ティファ」

朗読にぼんやりと耳を傾けていたティファは、不意に飛んできた質問に慌てて答える。

「え、あ...うん。あの事件でバタバタしちゃって、結局うやむやに...」

クラウドはその返答に満足そうに頷くと、再び声を荒げた。

「次!俺はティファのベッドに向かった!!」
「く...クラウド、もうやめにしない?」

というかコレ、本筋に全然関係なくない?
幸いそんなティファの要望をクラウドはすんなりと受け入れてくれ、物語はいよいよ核心へと迫る。だが事前に高まった不信感も相まり、ティファはどうしても自らの疑念をクラウドにぶつける事が出来ず二人の心の溝は深まっていき、ひいてはそれは世界を滅亡へと導くのだった...

「ティファ~、まだぁ?」

背後に上がった少女の声に、ティファはハッと現実に引き戻される。そこにはたまの休日に自分と一緒にお風呂に入れるのを心から楽しみにしている愛娘の姿。ここまでの回想を10秒で終わらせたティファだったが、幼い彼女にそれは十分長かったようだ。

「お待たせ、マリン。いこっか!」

当初の目当てとは異なる着替えを速やかに選びとり、ティファは部屋を後にする。彼に関するわだかまりの解消を後回しにしがちなティファだったが、愛らしい笑顔を前に、その時はいつになく固く心を決めていた。





「ティファ達、風呂上がったのか?んじゃ次おれ、は~いろっと!」

口笛を吹きながら上機嫌で階段を上っていくデンゼルを横目に、ティファは生唾を飲んで店のテーブルの一角を陣取る標的に狙いを定める。彼は趣味であるバイクのパーツやメンテナンスに関する専門誌にパラパラと目を通していた。

何気なくサラッと聞けばいいよね疑いを溜め込むのは良くないしそれに些細なことも確かめられないで一体今まで何度失敗を繰り返してきたの私達...

世の中には聞かずに終わらせた方が無難な事も星の数程あると平常の彼女なら気を回せたかもしれないが、クラウドの家出により再度苦い擦れ違いを経験し、子供達まで苦しめてしまったばかりの彼女にまともな精神状態を期待するのは酷なのかもしれない。
意を決し、口を開きかけた時だった。

「ぎゃぁぁぁぁああああ!!!」

二階でけたたましい叫び声が鳴り響く。

「何?どうしたの!?デンゼルっっ」

それに素早く反応し、マリンが慌てて階段を駆けていく。
一方でティファはその場に留まり、子供部屋で彼を襲ったであろう災難を見越し、ごめんねデンゼル...と天井を見上げ心の中で謝罪した。

「なんだ?何があったんだ?」

普段、余程の事では動揺を見せないクラウドも、雑誌から目を上げ眉をひそめた。その怪訝な顔に対し、ティファはシドロモドロ説明をする。

「あ...私の下着、間違えてデンゼルの服に紛れ込んじゃったみたい...」
「ふぅん...」

予想したより遥かに大事でない事の顛(てん)末に、クラウドはさして興味もなさそうに椅子の背もたれに身を預け直す。しかし部屋の隅でこちらを背にしたまま固まっているティファにやがてボソっと聞いた。

「ティファ、なんだかホッとしてなかったか?」

背中をギクっと跳ね上げ、ティファはぎこちない笑顔でゆっくりと振り返る。

「................どうして?」

いや、俺が聞いてるんだけど。
口をついた台詞はクラウドが何かを思い出しているであろう数秒の間、喉に留まり、また引き返していった。かくいう彼も、彼女に負けず劣らず想いを言葉にして伝えるのを不得意とする男である。

気まずい沈黙を経て、日常会話を再開するのにゆうに30分を要した彼らが互いの想いを洗いざらい打ち明ける事の出来る日は、まだまだ遠そうである。


******************


リメイクされたらリアルグラフィック化された例のシーンのせいでCEROが上がるんですね。アイコンはもちろん『犯罪』で。
蜜蜂の館といい、「すごい!」じゃないさっさと出て来いクラウドと思いつつも、制作者の悪戯心に踊らされる彼には少し同情したものです。
いやぁ、こんなものを書いて許されたい。


PR
  

最新記事

(12/31)
(12/31)
(08/11)
(05/03)
(05/03)
(05/03)
(05/03)

WEB拍手

Copyright ©  -- Minority Hour --  All Rights Reserved

Design by CriCri / material by DragonArtz Desighns / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]