Minority Hour
こちらはFF7 クラウドとティファ のCPを中心とする二次創作小説を扱うサイトです。初めての方は「About this blog」をご覧下さい。コメントはwebclapからお願いします。
暗闇の彼方 ~Side Cloud~
新羅兵時代のCloud×Zack (NC)
努力で何とかなる事なら良かったんだ。
突きつけられたのは、無情な現実。
諦める?
それとも...
暗闇の彼方 ~Side Cloud~
シャーーーー...
水に打たれたまま放心する。
脳内にグチャグチャと入り混じるのは、沢山の◯や×。
見間違いかもしれない。
後でまた確認してみよう。
だけど怖くてシャワーを止められない。
先日受けたソルジャーの適性試験の結果が届いた。
30程のリストに並ぶ10数個の×。
数は予想通り。今回は駄目元での受験だ。
しかし問題は一番先頭の項目。
“ 魔晄・ジェノバ細胞耐性 × ”
致命的だった。
剣や魔法の腕と違い、体質は変えられない。
試験は何度でも受けられるが...
...おそらく結果は毎回...同じだ。
一緒に舞い込んだ手紙に追い討ちをかけられた。
未だ鮮明に浮かぶ星空に、罪悪感が沸き起こる。
来てくれた。
嫌われてなかった。
それどころか...
――活躍したら、新聞にも載るかな?
益々やる気になった。
――クラウドが有名になって、その時私が...
それが意味するところは...
...もう、会えないかもしれない。
突然、風呂場のドアが勢い良く開く。
「お前は...馬鹿か!! 死ぬぞっ!!!」
「なんだよこの部屋、超さみーな。
おいクラウド、暖房つけるぞ」
だがパンツ一丁にタオルをかけられだけの俺の体は、ほんのり暖かい。
「くよくよ冷水なんて浴びてる暇があったら、他にやる事あるんじゃないの?
先ずはこのウヨウヨ付いてる×をなんとかしろよ」
こんなんで魔晄耐性が~とか嘆く奴、かっこ悪いだけだぜ、と通知をピラピラと振る。
しかしピクリともしない俺に溜息をつき、ザックスは話題を変えた。
「なぁ...ティファって誰だ?」
「!? 勝手に見るなよ!!」
慌ててその手から手紙をむしり取る。
「見てねぇよ。封、切られてないだろ?」
ザックスは慌てて両手を上げる。
奪い返したそれをグシャリと握り潰した。
返事どころじゃない。
読む勇気さえ...ない。
再び押し黙る俺に、話題を変え明るく話し掛ける。
「だいたいお前は痩せ過ぎなんだよ。
よし、まずは体づくりからだな!
美味いもんでも食うぞ」
いつもの倍するカップ麺を買って来てやる、と玄関へ向かう。
去り際にそうそう、とザックスは付け加える。
「今まで一人だけいるみたいだぜ?
その適性判定ひっくり返した奴」
「本当に?」
思わず食いついたが、すぐに思い当たる。
そんな話、聞いたことない。
「気休めはいらないよ...」
ザックスは振り返り、俺の憧れる瞳を輝かせ力強く言う。
「じゃあ言い方を変えるよ」
「俺なら、絶対に諦めない」
努力で何とかなる事なら良かったんだ。
突きつけられた無情な現実。
でもまだ...諦めない。
応援してくれる人がいるから。
待っててくれる人が、いるから...
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頑張った人を尊敬しない人はいないけど、自分じゃわからない。
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