Minority Hour
こちらはFF7 クラウドとティファ のCPを中心とする二次創作小説を扱うサイトです。初めての方は「About this blog」をご覧下さい。コメントはwebclapからお願いします。
Give me a treat
旧拍手です。
二人別々に寝た次の日の朝は...
彼は人気者。
時に強いられる我慢。
そんな時は、ちゃんとご褒美を頂戴?
私だって、あなたとの時間が必要なんだから...
Give me a treat
“6:22”
枕元から移動させた目覚まし時計をこちらに向け、再び鏡を覗き込む。
いつもが気を配ってない訳ではないが、少し気合いを入れ身だしなみを整えた。
“6時28分”
フライパンが熱されるまでの合間をぬい、背後の掛け時計に目をやる。
思わず口角が上がり、それを誤魔化そうと軽快に油を引いた。
私のご褒美まで、あと2分...
「ずるいぞマリン!
こないだもマリンだったじゃないか」
「でも、約束したんだもんね?クラウド」
...そろそろかな?
カウンターの内側から仲裁に入った。
「ほらほら、喧嘩しないの!
またベッドをくっつけてあげるから」
「それでいいよな?二人とも」
やっと満足顔に変わる子供達に、私達は目を見合わせる。
「ティファも後で来てね!」
「入れる隙間があったらね?」
うっと詰まる二人。
デンゼルは大の字で。
マリンはベッドの端で寝る癖がある。
「今日は気を付けるから...」
気を付けてどうにかなるものではないものを真剣に気に病むマリンの頭を撫でる。
「大丈夫よ」
「でもそれじゃティファが寂しくなっちゃう...」
いつも二人のベッドに一人は寂しいが、心は晴れやかだ。
目の前の下がった眉に、こっそり念を押す。
“本当に、大丈夫なの”
「じゃあティファ、悪いけど...」
それに、こんな事がないと何がなんでも私を待ち続けるクラウドが早く休んでくれるのも嬉しかった。
そんな彼があっさり二階へ引き下がるのにも、訳がある...
「今日の服、可愛いな」
大分前だから忘れちゃった?
それを言われるは二回目よ。
一番早いのはマリンの7時10分。
私が用意した洋服をきちんと着て現れる。
ベッドで10分粘るデンゼルが、その5分後。
髪はボサボサで、こちらはまだパジャマ。
そして食卓に着き、誰からともなく天井を見上げクスクスする。
“今日は誰が行く?”
寝起きの悪い彼が独りでに起きてくる事は、まずない。
そんな彼が特別にくれる朝の40分。
それは夜を一人で過ごした私へのご褒美。
「上手いことひっくり返すんだな」
クラウドは寝ぐせだらけの頭で現れてからずっと、私を後ろから抱きすくめたまま。
「火傷しちゃうよ?」
コンロの前で交差された手。
だけどそれを本気で振りほどきはしない。
ゆっくりとその手が身体を登って来た。
時計をチラリと見る。
残念、クラウド。
時間切れみたいよ?
「朝はダメ。それにもうすぐ...」
二人の耳に飛び込んで来る軽快な足音。
クラウドは渋々手をほどきだす。
身体が完全に離れる直前を狙い、首筋にキスをした。
目を見開き、そこに手を当て固まる彼。
再び巻き付き始めた腕を巧みにすり抜ける。
「ティファ、おはよう!」
「おはよう、マリン」
背後には恨めしそうな眼差し。
その瞳に私も視線でメッセージを送る。
“続きは今夜?”
今度は私が、彼にご褒美をあげる番...
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treat=ご褒美、特別な何か
お菓子やおもてなしが本来の意味です。
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