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Minority Hour

こちらはFF7 クラウドとティファ のCPを中心とする二次創作小説を扱うサイトです。初めての方は「About this blog」をご覧下さい。コメントはwebclapからお願いします。

   

あなたに届け


プロローグ小説後半。
星痕発症まで。

『君に届け』のティファ視点です。

勿の論、暗いです。








近くにいながら再び遠く離れ離れとなった私達。

突如そこへ差し込んだ、一筋の光。

“何もかも大丈夫”


そう、思ったのに...


あなたに届け


「一人で飲みたい」


どうやって部屋に戻ったか、わからない。

私達は何故こんなにも擦れ違ってしまうのだろう。
相手の為には簡単に出来る事。
なのに立場が逆転すると、急に受け入れ難い事に変わってしまう。

あなたの悩みは、あなたの悩み。
あなたが解決しないと意味はない。
だけどそれを人に手伝ってもらうのは、ちっとも間違った事なんかじゃないのよ?
あなたはそれを知ってるはずじゃない。


(大丈夫だよ、ティファ)

(俺が思い出させてやる)

(ティファ、やってみろよ。
辛かったらやめればいい)


どうして私には、それをさせてくれないの?

(一人で飲みたい)

唇をギュッと噛み締める。
扉の先が怖くてたまらない。
たった一言で、落ちて行く大切な人を前に立ちすくむ自分が情けない。

こんな自分も、大嫌い...





“今度は私も行くから”

その言葉にも関わらず、彼から誘いを持ち掛けられる事はなかった。
ある日帰宅した彼から漂う、懐かしく甘い香り。

そうだったんだ。

あなたは...彼女に支えてもらってるのね?

寂しく思いつつも安堵する。
彼を救ってくれるなら、もう誰だっていい。
私じゃなくても...いい。
遠い空を仰ぐ。

お願い。

彼の傷を、癒してあげて...





『わかりません。
ぼく、どうしたらいいのか、わからないんです』

苦痛の声に続く、地に倒れ込む音。
ただならぬ事態を悟り何度も電話を掛け直す。
しばらくして出たのは、その持ち主だった。

『星痕にかかった子供が倒れてる。だから...』

そこで詰まる彼に代わり言葉を紡ぐ。
10数分後、クラウドに抱えられ現れた少年は酷い状態だった。
すぐに暖かいタオルで体を拭いてやる。

ボロボロの服...
痩せ細った体...

この子は、孤児だ。



そんな状況にも関わらず、クラウドの顔には明るみが差していた。
その訳はすぐにわかる。

「あの子は...エアリスが、俺のところに連れて来てくれたと思うんだ」

そう、あなたはあの子に救いを感じたのね?
未だ一人で背負い込むつもりなのには納得いかなかったが、彼が希望の光を見出した事を素直に喜ぶ。
そして...願いをすぐさま叶えてくれた彼女に心から感謝した。





クラウドは寝ずに医学書を読み続けた。

「クラウド、たまにはちゃんと寝ないと...」

「うん...」

返ってくるのは生返事ばかり。
溜息をつき部屋を後にし、闇に包まれた隣の部屋へ移動した。
手前のベッドに歩み寄り、そっと黒く染まったガーゼを変えてやる。

デンゼルは気丈な子だった。
聞けば1年もスラムで廃材を集めそれを売り、自力で生活を成り立たせていたらしい。
痛みを伴う病気。
堪らず顔をしかめる事はあったが、弱音を吐きはしない。

(この子は生きたいんだ)

背後の曇りガラスにぼんやり映るスタンドの光を返り見る。

(あなたはきっと助かるよ)

世界一のヒーローがついてるから。

(2人は必死に戦ってる)

その日以来、クラウドに休息を取るよう促すのはやめた。
不思議と体調を崩す事もない。
取り憑かれたよう本をむさぼり読む彼は、そこから癒しを得ていたに違いない。
何より私を安心させたのは、久方ぶりの穏やかな微笑み。

(きっと、何もかも大丈夫...)





それからたった数日後、私は感情なく電話を握り締めていた。
携帯の電池は度重なる着信にも関わらず切れていない。
彼は何処かできちんと生活をしている。


クラウド.........

        .........どうしてなの?


力無く、受話器を置いた。


******************


瞬速で “戦う気なんかな” くなったクラウド。
しかし頼りにされる身で、守るべき者に弱みを見られる事ほど辛いものもありません。

手元に小説がないので、台詞や細かい点が違っていたら申し訳ないです。





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