Minority Hour
こちらはFF7 クラウドとティファ のCPを中心とする二次創作小説を扱うサイトです。初めての方は「About this blog」をご覧下さい。コメントはwebclapからお願いします。
TRAUMA ESCAPE
今宵の飲み会にはデブモーグリも参上〜
TRAUMA ESCAPE
「おい、お前占いが特技だったろ?マリンを占ってやれ」
「そうなの?ケット、やってやって!」
フロアで沸いた父娘の声に、二匹のぬいぐるみは似つかわしくないトーンでしおれた。
「占いはね、辞めたんです。もう...」
その後、気を取り直しカウンターの前をリズミカルに通過する白い巨体にティファは何気なく訪ねる。
「ねぇ...あなたが占ったのって、もしかしてアレが最後?」
とぼけた風にこちらを見やったケット・シーは、しばしの沈黙の後、観念したように再び声調を落とした。
「エアリスさん...もしかしてあの占いに願掛けしたんやないやろか、思いましてね...」
思いもよらない告白に言葉を失う。そんな罪悪感を二年もの間胸に仕舞い込んでいたと思うと心が痛み、俯き黙り込むヌイグルミをティファは必死になぐさめた。
「バカだなぁ。女の子って、あなたが思うよりずっと現実的だよ?あの時占っても占わなくても、彼女の決意は変わらなかったよ」
それでも下を向いたままの横顔をティファは覗き込み、「むしろ誇りに思うべきだって。あれは彼女が最後に手にした最高の思い出だったかもしれないもん」と激励する。肉球のついた手のひらは大袈裟に目元を覆いだした。
「うっ...」
「リーブ...」
「ボクって可哀想?」
「......?」
「ほな、ギュ〜〜〜ってして下さい」
一転、いないいないばあの様に広げられた両腕をティファは白々しく見やる。そして「ほら、ほら」とデブモーグリの上を左右に跳ねるハチワレ猫の両ヒゲを力強く掴んだ。
「ギュ〜〜〜!」
「あたたたた!何すんの!!」
「やだ!それ、感覚あるの?押し潰されても平気だったから、てっきり...」
「電源切るまではありますわ!んもう、この馬鹿力...」
「なんか言った?」
「いえ」
テンションを元に戻したケットシーはまたもや決まり悪そうに会話を再開させた。
「あとはもう一つ気にしてるんです。一緒にいたもう一人の女の子を傷つけたかなぁって...」
「まっ、その子はもう意中の彼と幸せに暮らしてるんで、気に病むこともないかな思うんですけど!」とケットは自らを鼓舞するように空元気で虚勢を張るが、おっておずおずとティファの顔色を伺ってきた。
「...ティファさんって、占い嫌いでしょ?」
「まぁ、正直結構...いや、相当嫌いかも」
「あっちゃーあかんわぁ、占い嫌いの女子なんて。はあぁぁぁ...ボクってなんて罪作りなんでしょ」
ケットに頭を抱え込まれ、こっちがいじめてる気分にさせられる。さっきのと比べれば私のは笑い話だけど。
「ねぇ。じゃあ二人でトラウマ克服してみる?」
流れを変えようとなされた提案に、ケットはおやと目の色を変えた。
「ええと、手始めにまず “明日の私の運気”!」
だが期待できらめいた瞳は瞬時に輝きを失った。
「なんですか、そないなどーでもいいこと。拍子抜けしましたわ」
「どっ、どーでもって...」
「そこは可愛らしく “私と彼の相性!” とでも言っとけば良いものを...相変わらずでんなぁ」
糸目を更に細くして、ケットはクククと笑うと白い乗り物の両腕を振り子のように揺らしだした。
「ほな一丁景気良く、ティファさんとクラウドさんがいつゴールインするか、いきましょか!当たるもケットシー、当たらぬもケットシー...」
「きゃあ!やめてやめてやめて!!」
「ティファ、何叫んでるんだ?ティファと俺がどうしたって?」
「クラウドはあっち行ってて!」
「はい...」
騒ぎを聞きつけ赤ら顔のバレットまで寄って来た。
「んだよぅ、お前占い閉店してねーじゃねぇか。ケチってねぇでマリンにもやってやれ!」
「じゃあ、マリンが将来どんな人と結婚するか教えて!」
愛娘の衝撃発言に白目を剥いたバレットは「やっ、やめろ!そんな不吉なこと占うんじゃねぇ!!」と力に任せにケットの首を絞める。
「ぎょ、ぎょえーー!!」
「ええっ!?父ちゃんこそケチんぼ!」
「あぁあ、バレット...それ、痛み感じるみたいだから...」
やかましい親子に揉みくちゃにされ、しんみりした雰囲気を消し去った人形にはまんまとしてやられた。
ねぇ、その体...本体と繋がってるんでしょ?なら私の励ましに思わず流した涙は本物なんだね。今日のところは誤魔化されてあげるけど、お互い苦い記憶の払拭に励もうか。あなたがあの一件を素敵な想い出に変えることが出来た暁には、私もさっきの占い受けて立つから。結果によっては司会でも仲人でもやって貰うから、覚悟してよね。
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新年の占いのモーション可愛かったですね。結果が口からベローン...私は原作のこのシーン、嫌いじゃなくてよ。
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