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Minority Hour

こちらはFF7 クラウドとティファ のCPを中心とする二次創作小説を扱うサイトです。初めての方は「About this blog」をご覧下さい。コメントはwebclapからお願いします。

   

Change & Unchanged

神羅ビル脱出から、カームまで。



Change & Unchanged


数匹のカームファングに囲まれるが、冷静に動きを見極め狙いを定める。この付近に出現するモンスターの力量は知れている。飛び掛かって来た一頭越しに繰り広げられる光景が、目の端に映り込んだ。

「立てるか?」
「ありがと」

自然と伸ばされる手と素直に体重を預ける華奢な身体に、脳裏にこびりついて離れない掛け合いが蘇った。

ーーボディガード、依頼したろ?
ーー報酬はデート一回、だったよね?

私との約束はすっかり忘れてた癖に。クラウドの...

「バカ!!!」

力の限り振りかざした拳に、ギャンッ!!と悲鳴を上げ狼は後方に吹き飛ぶ。攻撃性を増した残りの二体も難なくなぎ倒した。

「おお、怖え怖え」

別の群れを相手していたバレットのお馴染みの野次にも無性にイライラした。神羅ビルで仲間に加わったオレンジ色の希少な獣も肩をすくめる。怪訝な視線をチラとよこした碧い瞳と目が合うが、フンと思いきりそっぽを向いた。

「なぁに?誰のこと?」

...一番のバカは自分だった。口元に手を当て鈴を転がすよう可憐に笑う彼女と比べ、なんて可愛げがないんだろう。彼も彼で、いつからあんな風にそつなく女性を扱えるようになったんだろうか。小さい頃はもっとぶっきらぼうで、喧嘩ばかりしていて...一緒に遊んだ時はどうだった?私の知ってるクラウドって、どんなだったっけ?

風を裂く高音にハッと現実に立ち戻った。咄嗟に目元を守ろうと覆い隠すが、腕に刃が突き刺さることはない。立ち塞がった身体は飛来してきた敵の攻撃を急所を避けつつも身をもって受け止め、肩から血しぶきが上がった。掠めただけの傷を気にすることもなく、クラウドはバスターソードを振り下ろし相手を薙ぎ払う。

「ボケっとしてるなよ」

息も乱さず剣を収め、肩口に手を当て治療を開始する。塞がっていく傷口に申し訳なく思いながらも、口を突いたのは「別に、庇ってくれなくてもいいよ。私、随分と頑丈になったから」と意地っ張りな強がりだった。彼は先ほどと同じ視線をよこす。

「ティファは何も変わってない。あの時から」

“あの時” っていつだろう。あなたが主張する五年前?それとも...無意識に身体が強張り、固唾を呑む。「いや...」と続く言葉に更に肝が冷えた。

「小さくなったか」

しかめ面のまま言い放たれた台詞を即座には飲み込めず、ようやく悪ふざけに気付くとついつい大きな声が出る。

「クラウドが大きくなったんでしょ!」

その剣幕に満足そうに「昔より守り甲斐がありそうだ」と微笑まれ、悔しくも威勢を失ってしまう。身長だけでなく広くなった肩幅に筋肉の張り巡らされた屈強な体つき。一方で目鼻立ちの整った中性的な顔立ちには男らしさも加わりつい見惚れてしまう。なんだかんだであの約束を反故にはしない態度が嬉しくて、結局今日もあなたを想うことをやめられない。

彼はいつからこんな台詞を言ってのけるようになったんだろう。星空の下、目も合わせてくれなかった彼。何にもない村で唯一、恋人達が愛を語り合う場所で執り行われた一夜限りの幼いデート。あなたは笑うかもしれないけど、あの夜の思い出は私にとっては今でも特別なんだよ。

ザックスの記憶と大剣を持つ、挙動も変わってしまったクラウド。でもあなたは私より背の低かったあの時代を覚えているんだね。だから心の片隅で期待してしまう。きっと、クラウドは...クラウドだって。


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