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Minority Hour

こちらはFF7 クラウドとティファ のCPを中心とする二次創作小説を扱うサイトです。初めての方は「About this blog」をご覧下さい。コメントはwebclapからお願いします。

   

いつも心に

AC後。エアリスとの邂逅。







いつも心に


放心しているのとは違う。拳を開いたり握り締めたり。あるいは昼下がりに淹れられたコーヒーの風味を時間をかけて味わったり。

生きているのを確かめているのかな。
なぜなら自分もしばしばそれと似たようなことを行なった。胸に薄っすらと走る古傷をなぞったり、茶色の癖っ毛に覗く真っ白なおでこに口付けると目の奥がツンと痛くなったり。

この世界には死が溢れ過ぎている。生の有り難みを感じられるようにと天から与えられた戒めであれば、神様と悪魔の区別はないんじゃないかと疑うほどに。幾度も絶望し、残された希望からさえ目を背ける。しかし今、地上に再び差し込んだ光に、本当は自分が立ち上がりたかったことを思い知らされた。

あの戦いの中で...
コーヒーカップに張られた水面は、そんな小さな呟きには勿論ビクともしない。

「彼女に会った気がする」

信じてもらえないかもしれない。そんな懸念からか、もしくは夢うつつな心証からかその声は至極控えめだ。手を止め彼の横顔を見つめたティファだったが、すぐに目の前の作業へと戻る。

「笑ってたでしょ」

さも当然といった調子に、青みがかった瞳が物言いたげに揺らめいた。

「悪く思ったことなんてね、一度もなかったと思うわ」

なんでわかったんだ?そう言わんばかりに見開いた瞳はやがて物憂げに伏せられる。

「俺なんかよりずっと仲が良かったからな、二人は」

ーーちゃんと帰って来るつもりだったんじゃないかな?
もはや伺い知る術のない彼女の心境について論じ合う時、私達の意見はしばしば分かれ、その度に彼は彼女をもっと理解すべきだったと酷く悔やんだ。目前でエアリスを失った彼の中での彼女像は時に必要以上に悲観的で、独特の負い目はおそらく今も続いている。

「それもあるけど...」

何も気に病むことなんてない。あなたは充分に彼女を想っているし、ちゃんと彼女にも伝わってる。失われてしまった彼女。でもこれだけはわかる。愛した人に思い出される時は、笑顔を携えた姿でありたいだろう。もうここにはない願いが届くよう、肩にそっと手を添えた。

「彼女も、あなたのことがすごく...すごく大切だったから」

手をスライドさせ、背後から腕を巻きつける。エアリスの分も含め、しっかりと。それを私の口から伝えられたことに若干の動揺を見せる彼が素直にその愛を受け止められるよう、「私には、ほんの少しだけ敵わないかもしれないけど」と、キュッと強く抱き締めた。温かい手が腕に重なる。

「俺は、本当に幸せ者だな」

噛み締められた唇から僅かに苦しそうな音が漏れ、腕を掴む指先に力が込もる。何度でもそうやって確かめればいい。あなたは生きていて、全てのことに感謝しながら、これからも沢山辛いことがあるだろうけどずっと先まで生きていかなくちゃならない。

でもどうか後ろ向きにならないで。あなたにはいつだって最強の二人が味方してくれるんだから。


******************


FFRK 3rd Anniversaryのムービーの台詞が...

ティファ「私達、想い出に負けたの?」
クラウド「俺達は...どうしたらいい?この痛みをどうしたらいい!?」

でしたね。重い〜〜


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