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Minority Hour

こちらはFF7 クラウドとティファ のCPを中心とする二次創作小説を扱うサイトです。初めての方は「About this blog」をご覧下さい。コメントはwebclapからお願いします。

   

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精神世界でのクラウドです。

クラウドとティファは一緒に遊んだりはしなかったけど、一方的に共有する思い出はそれなりにありそう。
あんなおっかない山を、追い掛けて登ったくらいですもんね。

私はクラウド視点の小説を書くのが好きです。
ティファに想われて欲しいからかな。






封じ込められた密かな願い...

大切な想いは...

誰に知られることなく...



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「そうかい」

カラッとした声。
予想外の反応に、思わず伏せていた顔をあげる。

「でも、頑張ったんだろう?」

いくら頑張ろうと、結果が全てだ。
だが、口をついたのは、それとは真逆の言葉だった。

「...うん」

「ならいいじゃないか。
母さんはアンタが自慢だよ。
他人が何を言ったって、堂々と胸を張って歩きな!」

それ以上、俺は何も言わなかった。
目に浮かんだ涙を堪えるのに必死だったから。
鼻水まで出てきたのか、せっかくのシチューが少し塩っ辛い。

多分母さんは気付いてないふりをしてくれている。
相槌も打たない俺に全く構わず、この二年間、村で起こった出来事をまくし立てていた。

「全く、こんな無愛想な息子が、どうして私のお腹から出てきたんだか」

そう言いつつも、母さんはとても嬉しそうだった。


母さん、俺
...ソルジャーにはなれなかったよ


母さん?
そもそもあの人は、俺の母さんだったのか?
何故なら俺は...


(クラウド...)


俺を呼ぶのは誰だ?
違うよ俺、クラウドじゃないかもしれないんだ
怖い、怖い、確かめたくない
俺を探すのはもうやめてくれ


景色が変わる
今度はなんだ?
やめてくれ、もう何も思い出したくない






家の裏手にあった、小さな遊び場。
俺はここの砂場で、一人お城を作るのが好きだった。
お気に入りの青いバケツに砂をギュッと詰めて、頃合いをみてひっくり返す。水の量もポイントだ。
うまくいったら、その上に小さなお城が2つ乗ることもある。

他の皆が作ったお城は、俺のみたいにちゃんとしてないから、すぐに壊れてしまうんだ。
いつまでもその綺麗な形を留めたままの “俺のお城” を眺めるのが好きだった。


...好きだった?


違う。
むしろ、眺める度にポツンと立ってるそのお城が、いつも一人でいる自分の様で...


垂直に足を降ろし、勢いよく踏んづける。
靴に砂が入り込んだ。
こんなもの、何にもならない。目障りなだけだ。

「あ~!ヒドい!!」

(?)

振り返るとそこには、小さな女の子。

「わたし、そのおしろ、すきだったのよ?
なんにちたってられるか、かぞえてたのに!!」

そう一方的に言い放つと、恨みがましい眼差しのまま、何処かへ駆けて行ってしまった。

ヒドいって...俺が作ったんだぞ?
どう考えても不条理な話だが、あんな顔を向けられて、なんだか申し訳ない気分になった。

その日の内に、もう一度お城を作る。
いつも以上にとびきり丁寧に。慎重に。

それ以来、“俺のお城” を見て寂しくなることはなくなった。





あの子は確か...
あの子の名前は...
...思い出せない


(クラウド...)


またアンタか?
どうして俺の名前を呼ぶ?
俺はアンタなんか知らない
ゆっくり眠りたいんだ...


あぁ、次の場所も知っている
ここは嫌いだ






「どうせクラウドがやったんだろ!」

村で一番嫌な奴。

ここは学校の花壇。
目の前には割れた鉢。クラス全員で育ててたヒマワリの鉢だ。
もちろん俺はこんなの知らないし、こんな奴に何を言われようと構わない。
だけど...
だけどなんで、先生まで俺をそんな目で見るんだよ。

ふとそこに通りかかる女の子。
またあの子か?
皆の人気者で優等生。
おまけに苦手な村長の娘。
俺とは全てが正反対。

きっとあの子も俺のことをバカにしてる。見下してる。
早く何処かへいってくれ。
なんで近づいて来るんだよ...

「ショーコは、あるの?」

キョトンとする二人。と、俺。

「だから、クラウドがやったって、ショーコはあるの?」

ハッと我に返り、流石にバツの悪そうな顔の先生。

「よし、先生は代わりの鉢を用意してくるから、お前達はもう帰れ。
クラスの皆にはこの事は内緒だぞ?」

見るからにつまらなそうな顔をするクラスメイト。
しかし形勢逆転は難しいと悟ったのか、俺を睨みつけると走って行った。

(...謝れよな)

助けてくれたこの子にもイライラした。
だって先生は、この子の言うことはアッサリ信じたから。
俺の事は疑ったのに。
皆から責められてかっこ悪いところをみて、どうせ心の中では笑ってるんだろう?

「...よけいなことするなよ。
もし本当におれがやってたら、どうするんだ?」

「...う~ん。なんとなく、ちがうとおもった」

「...なんで」

「クラウド、このまえあのヒマワリにお水あげてたとき、すっごくやさしそうなかおしてたから!」





もう少しで思い出せそうなのに
俺は多分、この時にあの子の事を...


思い出す?
俺は思い出したくないんじゃなかったのか?


(クラウド...)


俺はこの声を知っている
懐かしいけれど、今は怖い
本当の俺が、さらけ出されてしまいそうで






「クラウド?ちょっといいかい?
母さん今から少し、お隣さんへ行ってくる」

...隣?

「それと、今から母さんの用意した服を着るんだ。
...これからお葬式なんだよ。わかったね?」

隣の家?お葬式?
母さん、何を言ってるんだ?


「...ついさっき、ティファちゃんのお母さんが...」





ティファ


ティファ


そうだ、ティファ...だ






「パパのバカ!ウソつき!!
キライよ、大っキライ!!!」

村の全員が集まった教会には、半狂乱になって泣き叫ぶティファと、
すまない...ティファ、すまない...と、嫌がる彼女を無理やり抱きすくめる、彼女の父の姿があった。

「なおるって言ったじゃない!
元気になったから、おうちにかえって来たって言ったじゃない!
しんじてたのに、しんじてたのに...!」

いつもからは想像もつかない、変わり果てたあの子の姿。

順繰りに一輪の花を置いていく。
ティファのお母さんの元へ。
次は俺と母さんの番だ。

父親似のティファ。
でも、雰囲気はお母さん譲りだと思った。

(心配してくれてありがとう。
ティファをよろしくね)

不意に声が届く。

なんで俺なの?
無理だよ、おばさん。
俺、ティファと遊んだこともないんだ。
まともに話したこともない。


(クラウド...)


俺を呼ぶ声の主は泣いている
今日も、あの日も

ティファ、今から君に会いにいこうと思ってる
何が待っているかは、まだわからない

でも、そこで会えると思うんだ
俺を呼んでくれている、今の君にも





俺はその日、初めてティファの部屋に入った。


******************


クラウドはティファのどんなところを好きになったんだろう。
きっと、村の人気者だけど、それ特有のいやらしさがなかったところかなぁと思っています。
クラウドって、面食いではなさそうなので。
いや、顔も好きそうですけど...


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