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Minority Hour

こちらはFF7 クラウドとティファ のCPを中心とする二次創作小説を扱うサイトです。初めての方は「About this blog」をご覧下さい。コメントはwebclapからお願いします。

   

無自覚な彼女


拍手を交換しました。
同居しだしてすぐの頃。
ムフフな話ですが、肝心な部分の描写はありません。







脱衣所のドアを開けると、勢い良く奥に後ずさられた。
そのままティファはニコッと引き攣った笑みを浮かべ、俺に背後を取られないよう壁づたいにそそくさと外へ出て行く。
残された、石鹸の香りが混ざる甘く湿度の高い空気に、一人決まり悪く首筋をかく。

だけど断言出来る。


...俺は絶対に、悪くない。


無自覚な彼女


(ここ数日で一気に暑くなったな...)

汗と埃でベタつく体を引きずり、シャワーを浴びに向かう。
明確な四季があるのは評価するが、暑がりの俺に、緑の少ない無機質なこの街の夏は厳しいものがある。
仕事上がりの一杯を求める客で店は益々活気を増し、賑わうけども...

ガチャ...

「うわっ!!」

何の気もなく引いた洗面所の扉をすぐさま押し戻す。
混乱した頭が正常な状態に戻るより前に、目の前のドアノブがクルリと回り、顔が覗いた。

「クラウド?」

「ご、ごめん!俺、ノックもしないで...」

「平気よ?髪を乾かしてただけだし。だから鍵、開いてたでしょ?」

そう言われ、目の前の姿に恐る恐る視線を這わせる。
薄手のキャミソールにショートパンツのティファは、俺を気にする事もなく再び背中を向けドライヤーを握り直した。

(コレって...“平気” な格好なのか?)

あの旅で見慣れたはずの腕や脚。
けど...

(風呂上がりって、ちょっと違うよな)

それに余計な防具を取り払い、キュッと引き締まった手首や足首の露わになった身体は、あの時を上回る露出だ。
ショートパンツの丈も短いし...

「お待たせ」

悶々と思考を巡らせてる間にティファは洗面所を出て行こうとする。
慌ててその背中を引き留めた。

「ティファ?...その格好で行くのか?」

「ん? そうだけど...何か変?」

「変って、その...上に何か羽織った方が良くないか?」

「どうして?暑いじゃない。私、汗っかきだし」

ケロっと返され、言葉に詰まる。
不思議そうに首をかしげるティファ。

「? 何か気になるならちゃんと言ってよ。
昔から夏はこんな感じなんだけど...」

「昔からって...アバランチにいた頃も?」

「うん」

平然と返され再び閉口するが、ここで挫ける訳にいかない。

「あのな、ティファ。もっと気を付けなきゃ駄目だ」

「何に?」

「何って...ここにはバレットもいるだろ」

「そうね。だから?」

「だからティファは女で、ここには男も住んでいて...」

「......だから?」

一向にこちらの意図を汲み取られない、まどろっこしい会話に段々と苛立ってきた。
野菜の名前もロクすっぽ知らない俺が言える立場じゃないが、どうしてティファは身に付けるべき知識が時たますっぽ抜けてるんだろう。
恋人でもない男の前で軽装をしないなんて常識だろ。
そうじゃなくてもティファは普通と比べて...「もう!言いたい事があるならハッキリ言ってよ!!」

気付けば膨れ面にまで変わった顔に意を決する。
少し自惚れた作戦だけど...

「...俺は、人前であまり肌を見せない人が好きだ」

赤く火照った肩がピクリと揺れたが、事の真髄を理解していない彼女には気に障ったらしい。

「...別にクラウドの好みなんて、知らないもん!」

そっぽを向く、可愛くない反応に益々ムキになる。

そりゃあ、あの旅の間は俺にティファの服装をとやかく言う権利はなかったかもしれないけど、今は違うだろ。
今、俺はティファの...「家族じゃない。私達みんな」

「服装なんかに気を使うのって、おかしくない?」

その一言でカチンと来た。
こっそり後ろ手で背後の扉に手を回す。

「話はそれだけ?じゃあ私、もう行くね」

不機嫌そうにドアノブに手を掛けた瞬間、彼女は異変に気付いたらしい。

「ん?」

開いているはずの鍵に戸惑っている隙を見計らい、腰に腕を絡めた。
肩紐だけのあらわな背中に唇を伝わせる。

「く、クラウド!?こんな所でいきなり何!!」

「ティファが悪い」

「何?どういうこと?」

こちらの動きを遮ろうと抵抗する手に構わず、力を込め身体を引き寄せた。
まだ少し湿り気を帯びた髪が鼻をくすぐり、シャンプーの香りが漂う。

「ほ、本気なの?二人がすぐそこにいるのよ!?」

「ここから出たいのか?じゃあ鍵、開けるよ」

そう言い鍵を回しつつも、俺の右手はティファの太ももをグッと掴む。
キャミソールの裾からもう一方の手を差し入れると、ティファは慌てて鍵をかけ直した。

「どっちなんだよ」

「やめて?クラウド、お願い...」

懇願の眼差しを向けられ、ここぞとばかりに要求する。

「もう薄着はしないって、約束するか?」

「わかったから!するから離して!!」

さて、本来の目的は達成されたけど、どうしようか。

指先から伝わる弾力が思った以上に心地良い。
汗ばんだ素肌に手がすっかり吸い付いてしまった。
いつもなら不快な、狭い空間に立ち込める蒸気も扇情的だ。

立ったまま触る太ももって、感触が違うんだな。
それに今はまだ臍で留まってる左手があと20cm上に滑ってしまったなら、元の位置に戻って来られるかは微妙なところだ。

頬をかすめるピンク色の耳たぶに口づける。

「なぁ、ティファ。
風呂から上がりたての肌って...気持ちいいな」

ゆっくりと振り返る彼女の顔は、恐怖におののいていた。





その後バレットは旅立ち、マリンは今夜はコレルに外泊だ。
廊下を小走りに逃げ去る後ろ姿にやや寂しさを覚える。

“俺だけの時は、別にあの格好でも良いんだぞ”

なんて言ったら、もっと警戒されるんだろうな。


******************


あの初々しい二人が、お風呂場・洗濯機・起きぬけの時間・寝る前の時間...と生活の全てを共有しているという驚愕の事実!




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