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Minority Hour

こちらはFF7 クラウドとティファ のCPを中心とする二次創作小説を扱うサイトです。初めての方は「About this blog」をご覧下さい。コメントはwebclapからお願いします。

   

prithee... 10


prithee... 9、の続きです。




「クラウド!ねぇ、待って?
話があるならちゃんと聞くから!」

手首が赤くなるのも構わず強引に引っ張り、近くの教室に連れ込んだ。

「きゃあ!!」

机に乱暴に押し付け、服に手をかける。

「何するの!?やめて!!」

好きなだけ騒げばいい。
扉は開いたままだ。


「もう全部、バラしてやるよ...」


prithee... 10


“仕事中に電話はやめて”

“ティファがメール返さないからだろ”

“落ち着いて?時間が空いた時にちゃんと返すから”

「はぁ...」

再び自らの場所と戻った屋上で携帯を握る。

“好きなのに別れるなんて、理解できない”

押し問答が続き心は揺さぶられるが、優柔不断さに屈してはまた痛めつけてしまう。
嘘は嫌だけど、仕方ない。ノロノロとボタンを押した。

いいの?本当に終わっちゃうよ?
でもこんな私を二年以上も待たせる訳にいかない...

目をギュッと瞑り送信する。

“他に気になる人がいるの”





気分はどん底だった。
授業はおろかサークルにも顔を出さない日が続く。

“それって、あいつ?”

“そうだよ”

愛想を尽かされただけじゃなく、ついに他の男に奪われた。

手の中で携帯が光る。

“今日、部室に集合!”

期待した人間と異なる送信元に肩を落とした。

“心配かけてごめん。大丈夫だから、放っておいて。”

しかしそれはすぐに再び鳴り響く。

“絶対に、集合!!”

久しぶりに、少し笑った。



「どうしたら、教えて貰えるのかな?」

再三詰め寄られ、口を割った。
既に終わった恋だ、問題はないだろう。

「ちょっと...ううん、かなりショック」

「あ...」

「先生の事、大好きだったし...
それに私、そんなに信用なかった?」

「そんなこと...」

エアリスには話すべきだった。
言いふらす訳がないし、彼女が誰とも付き合わない理由はもしかしたら...

決まり悪くうな垂れる俺をよそに、カラッと明るく言い放つ。

「ま、いっか」

呆気に取られていると、頬に手が当てられた。
彼女はあたかも自分の事の様な顔をする。

「クラウド...ずっとずっと、辛かったね」

「...!」

なんでそんな言葉を掛けられるんだよ...
こんな酷い事した奴に。

久しぶりの人肌。
人前で泣いた事なんかない目を熱くさせる何か。

この三年間、俺を一番思ってくれてたのはもしかしたら...

その日から、エアリスと過ごす時間は増えていった。
携帯に望む連絡は、当然ない。





「お前ら、付き合ってんの?」

わからない。
ティファへの未練もある。
でもただ傷を舐めあってるのとも違う気がした。
それに他人が見たら、四六時中一緒にいる俺達はそうなんだろう。

「俺、彼女できたよ」

ハッと顔を見る。
ザックスはいつになく真剣だ。

「根負けした。大した女だよ」

「......」

「どっちでもいいけどさ...
お前もう、あんないい加減な事するなよな。
口止めされてたけど、あの時あいつ相当落ち込んだんだぜ?」

やっぱり...

「完全に終わったんだろ?」

あの後ザックスにも事情を話した。

“少し怪しいと思ってたけどな。
女っ気のないお前に噂が立つなんて”

「だってもう、付き合ってるんだろ...」

「あっさりフラれたって話だけど?」

(...は?)

「どっちが?」

「男の方に決まってんじゃん」

混乱し始める頭。

「どうせまたデマだろ?」

「いや、これは確かだよ。
本人から聞いたもん。あ、誰にも言うなよ」

“いいのか?”
そんな顔で伺われる。

どういう事だ。
アレは嘘だったのか?



誰もいない部室で携帯を握り締める。
番号が変えられていて、電話は掛からなかった。
俺を拒絶する意思は変わってない。
でも他に好きな奴がいると言うのは、おそらく嘘だ。

「クラウド、ここにいたんだ?」

「!?」

咄嗟に携帯を隠した。

「...どうしたの?」

「いや、ビックリして...」

一瞬怪訝な顔をされたが、すぐにいつも通りになった。

「ご飯、食べに行かない?」

時刻は夕暮れ。今日は金曜日だ。

(今行ったら、会える)

このまま週末なんか過ごせっこない。

「ごめん、今日はちょっと...また連絡するから」

出口に急ぐと後ろから声が掛かり、肩が揺れた。

「行かないで」

そこには初めて感情を露わにした彼女。
ザックスから聞いたのか?
胸が痛む。
でも...

ほんの少しでも望みがある限り俺は...

「ごめん...」

背を向け、駆け出した。





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