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Minority Hour

こちらはFF7 クラウドとティファ のCPを中心とする二次創作小説を扱うサイトです。初めての方は「About this blog」をご覧下さい。コメントはwebclapからお願いします。

   

prithee... 1


Cloud×Tifa×Zack×Aeris
現×学パラに挑戦します。


◆初期年齢設定
 ・クラウド高1
 ・エアリス・ザックス高2
 ・ティファだけ22才です
◆ティファの初恋はクラウドではありません
相手はオリキャラとして出てきます
◆EDは未定でして、場合に寄ってはC×A EDです
そして随所にCA描写が混ざります
◆例によってR18描写が混ざります
 ・Cloud×Tifaのみ
 ・おそらく3回
 ・しかもMAX4つ
そこそこ過激になろうかと思いますが、表に置きます

prithee
=I pray thee
=願わくは、どうか


禁断の恋。







もしも一つだけ願いが叶うなら、迷わず選ぶ。

どうか...

どうか......


......奇跡よ、起こって下さい。


prithee... 1


ジャリ...

足元の荒い砂が奏でる、懐かしい音。
放課後の校庭は部活動に励む学生で溢れていた。
何人かに訝(いぶか)し気な視線を送られるが、気にせず白くそびえ立つ校舎を見上げる。

物語は5年前、ここから始まった。





今でも鮮明に覚えてる。
あれは残暑の厳しい、高1の夏の終わり。
案の定始業式に遅刻した俺は、全校生徒がズラリと並ぶ体育館の一番後ろでセミの鳴き声に耳を傾けボンヤリと佇んでいた。

「ほら、早く並びなさい」

“遅刻組” にもう一人加わった。

「よっ、やっぱりお前もここか」

「一緒にすんなよ。
...俺の方が10分早い」

こいつはザックス。
学年は一つ上だが、同じサッカー部に所属し気の合った俺達の間にもはや敷居はない。

“お前って、なんかほっとけねぇんだよな”

入部の折から何故かちょっかいを出され続け、今ではあまり社交的ではない俺の唯一気の置けない友達だ。
ザックスは隣でいつもの様に雑談をまくしたて、軽いノリで言った。

「あのさ、クラウド。俺達、別れたから」

.........

「...はぁっ!?」

「そこ、うるさいぞ!黙りなさい!!」

(うるさいのはお前だよ)

罵声を上げる体育教師を睨みつけ、小声で聞く。

「なんでだよ...」

「おい、クラウド。アレ見ろよ、アレ」

俺を無視してニヤニヤと前を指差した。
生徒がざわつく。

「では、今から教育実習の先生方を紹介します」

場の空気が変わったのは、壇上に上がった数人の教育実習生のせいだろう。
明らかに一人レベルの違う女性が混ざっていた。

「美人~♪」

長い黒髪に凛とした雰囲気。
顔は勿論だけど、スタイルも良い。

「...一ヶ月、よろしくお願いします」

「声まで可愛い!
...って!いってーな、何すんだよ」

話をはぐらかし続けるザックスの脛(すね)を蹴った。

「...以上。ではすみやかに教室に戻るように」

「あーあ、かったるかった。
あの先生、俺のクラス担当しないかな」

「お、おい...待てよ」

逃げるよう出口に向かう背中を慌てて追う。


その時はまだ、俺は彼女より別の事で頭が一杯だったんだ...





「ええと、じゃあさっそく教科書の16 ページを...」

「先生~、彼氏いるんですかぁ?」

“揉めたのは今回が初めてじゃなかったんだよ”

あの後しつこく問い詰め、やっと奴は口を割った。

“ごめん、もう限界...”

ザックスは誰とも仲良くする奴で、それは女友達も同様だった。

“どけよ、ブス!”

“あれ、そういう言い方ないんじゃないの~?”

そんなフォローを嫌味なく入れられる男。
しかも部の一番手かつ部長の彼は一目置かれ、反抗する男はいなかった。
ザックスは何気なくやった行為。
しかし女にとってはそうじゃない。
美人の彼女がいるにも関わらず、奴の女人気は高いままだ。

「...そういう質問には答えません。授業を続けますね」

「どこに住んでるんですか~!?」

「.........」

...こいつ、教師向いてないんじゃないのか?

思考を遮る雑音にイライラし、黒板の前の教育実習生を眺める。
雰囲気は大人っぽいが、よく見ると大学四年の割に童顔だ。
“彼氏” という発言に動揺するぐらいだから、性格も年の割に純粋なんだろう。
極めつけは、ここは男子生徒の割合が多い。
こんな美人、からかわれないはずがなかった。

「こら!君、どこ行くの!?」

「...便所」

「~~~~!!」

言葉に詰まる彼女と後ろの扉を出て行く俺を見比べ、クラス中がクスクス笑った。



向かった先は外付けの非常階段。
ジリジリと焼け付く太陽に向かい、煙を吐く。

「憧れてたのに...」

二人も。
二人の組み合わせも。

ザックスには悪いが、同情はしない。

“俺は自分のやり方は変えねぇよ?
今の俺のままでまた、絶対に振り向かせてみせるって!”

悪い事をしてないのはわかる。
でも好きな人を悲しませてまでこだわる事か?
俺ならそんな事しない。
大切な人を何より優先させて...

そこまで考え、苦々しく煙草を宙に放り投げた。

俺にあいつを責める資格はない。
実績を残し続けるザックスと違い、レギュラーにもなれない俺。
あいつのマネをして始めた煙草。
だけど、それが俺を益々レギュラーの座から遠のけてるのはわかってた。
なのにストレス解消にやめられない。

俺の方が、ずっとかっこ悪い...





(疲れた...)

数時間ぶりの職員室の机で深く息をつく。

(想像してたのと、全然違うな)

お嬢様学校出身の私は、教師の言う事を聞かない生徒など見た事がなかった。

(これから私、大丈夫かしら...)

「ふぅ、重たかった」

不安を感じ始めた心が、隣に資料を降ろした教師が漏らした言葉にギクリとする。
嫌でも蘇る、忌々しい記憶。

“ティファは、重たいんだよ...”

3年付き合ってた彼に最近告げられた振られ文句。

最初に好きだと言ってきたのは彼だった。
だけど男性経験のない私はみるみるのめり込んでく。
休日はいつも彼のために空けてたし、合コンなんて行った事もない。
そして気付けば...力関係はすっかり逆転していた。

(あれも嫌だったんだろうな...)

先日、彼を初めて家に連れて行った。
父子家庭な上に一人娘な私に父は執着が強い。
彼の就職先が気に入った父は、“結婚” や “将来” という言葉を食事の席で平然と並べた。

“俺、まだ若いし結婚とか考えられないからさ...”

(また一からやり直せればいいのに...)

何を嫌がってたのか、もう理解できる。
それに働き始めて忙しくなる今なら、上手くバランスが取れるかもしれないのに...

(ダメダメ、仕事中に何考えてるのよ!)

ハッと我に帰り、慌てて首を振る。

四限は授業がない。
気を取り直し、数枚のリストを手に席を立った。





昼休みは屋上で一人弁当を開けた。
いつもは食堂でザックスと食うが、今日はそんな気になれない。
そしてまた食後の一服。

と、ライターを近づけた瞬間、誰かの手が煙草を奪い去った。

「!?」

「呆れた。
そんな年から吸ってたら、体がどうなるかわかってるの?
これは没収ね」

ほら、他のも出して!
と、声を荒げるのはあの教育実習生。

「...あんた、いつからいたんだ?」

「君より一時間は前に裏にいました。
って、先生に向かって “あんた” ってねぇ...」

「だって、ちゃんとした先生じゃないだろ。
それにまともに授業も進められないくせに」

彼女はウッと詰まるが、負けじと言い返す。

「教壇に上がるのが初めてで緊張してただけ!
...慣れれば、大丈夫なんだから」

そして胸ポケットの箱を目ざとく見つけ、スッと取り上げた。

「ほっといてくれよ、煙草くらい。
最近高いんだぜ?返せよ」

手を伸ばすが身をよじって避けられる。

「今回は他の先生には言わないでおいてあげる。
でも次はなしよ。わかった?クラウド君」

「何で俺の名前知ってんの?」

「だってさっき私を無視して勝手に席を立った子でしょう?
忘れたくても忘れられないわ」

「意外と執念深いんだな...」

「なんてね。実はコレのお陰だけど」

持っていた紙をペラペラさせた。
おそらくそれは担当するクラスの席次表。

「あ、いっけない!もうこんな時間。
もう授業が始まるから、君も遅れないようにね!」

慌てて出口に向かう。

「おい、煙草...」

颯爽と階段を降りる音にはぁ、と溜息をついた。

ふぅん。
さっきはおどおどして見えたけど、意外と芯がありそうだな。





「クラウド」

聞き慣れた声に緊張が走った。

「先輩...」

「もう、エアリスでいいって!
今更かしこまる仲じゃ、ないでしょ?」

放課後のグラウンド。
休憩時間に水を飲む俺に声を掛けたエアリスは、表情で全てを悟ったらしい。

「知ってるんだ?」

「うん...」

「理由も?」

「うん...ザックスは、本当に馬鹿だよ」

あいつがどんなに軽々しく女子に声を掛けても笑い飛ばしていたエアリス。
実は影でずっと苦しんでたなんて、健気過ぎる。

「...聞いてないの?」

「?...何を?」

エアリスは腕を組み考え込むが、すぐに笑顔を取り戻した。

「ううん、なんでもない」

他にも理由があるのか?
何にせよ、思ったより元気そうで良かった。

「戻ろっか」

特に深く突っ込まず、一緒に皆の所に戻った。





授業をサボる時はいつも屋上を利用してた。
しかし “あの日” 以来、そこにはブツブツと生徒の名前を呟く背中。

(お気に入りの場所、取られちまったな)

諦めて別の場所を探しに向かう。

不思議と、嫌な気はしなかった。






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