Minority Hour
こちらはFF7 クラウドとティファ のCPを中心とする二次創作小説を扱うサイトです。初めての方は「About this blog」をご覧下さい。コメントはwebclapからお願いします。
綺麗な人 ~前編~
旅の途中で。
Cloud→Tifa。
ヤキモチのような、独占欲のような...
おちゃらけラブコメかつ、やや無理くり設定。
前後2編に渡ります。
幼い頃のクラウドの記憶がちゃんと戻ってる前提でどうぞ。
「よし、決まりだな。
な~に、ダメならダメでいいじゃねぇか!」
歯を見せ、悪ノリするシド。
「ぜ~~ったい、いけるって!二人なら!!
...ま、あたしが出られれば一番手っ取り早かったけどねー」
とユフィ。
「ま、じゃあ、一肌脱ぎますか。
ね?ティファ」
こちらは意外と乗り気だな。
「......」
知ってるよ、こういうのは苦手だって。
綺麗な人 ~前編~
見上げれば、生い茂った木々の葉の隙間から覗く初夏の高い空。
真ん丸な太陽から降り注ぐ木漏れ日が、地面に光の模様を描く。
加えて森の中特有のひんやりとした空気。
実に爽やかな陽気だったが、周囲を見渡しつい吹き出してしまう。
バレット、シド、蛙、ヴィンセント、蛙...
なんともむさ苦しく、かつ滑稽な光景だ。
一匹の蛙が足元でピョンピョン跳ねた。
さてはこっちがレッドだな?
「わかったわかった。すぐ治してやるからな」
おそらくケットシーである蛙にも手招きした。
俺達は今、とある敵の技のラーニングに励んでいる。
昨日から続けているが、未だ成功していなかった。
昨晩ミーティング前、ただならぬ雰囲気をたたえにじりよる三人娘に後ずさりした。
「「クラウド、お願いがあるの...!」」
聞けばティファもエアリスも蛙は苦手ではないが、自分の体が蛙に変わるのはどうにも耐え難いらしい。
ユフィは気にならないらしいが、二人がサボるなら一緒に便乗したいとの事だ。
普段から我儘も言わず頑張ってくれている三人(二人?)の要望だ。
何より理由も頷ける。
俺を含む残りのメンバーは要求を受け入れた。
...よって現在の面子に至る。
「一旦、昼飯に戻ろうか?」
ぐるりと周りを見渡す。
異論を唱える者はいなかった。
ガヤガヤと賑やかな町の食事処。
今滞在している町は結構栄えていて、至る所に人が溢れてた。
宿で待機してた三人も加わり、午前の戦果を聞き出し肩を落とす。
時間には余裕があったが、回復アイテムの消費が激しい。
このままではやがて金が底をつく。
なんとか午後には‘きめたい’ものだ。
「なに!?コレいいじゃねぇか。
おい!姉ちゃん達、サボってないでコイツに出場しろ!
俺様の命令だ!!」
突如口から食べ物を飛ばし、シドが町の入口で配られていたチラシを手に叫んだ。
「は?何言ってんの、シド...」
「え...嫌よ...」
即答するエアリスとティファ。
「だって賞品がよ...」
俺はチラシを受け取っていない。
話について行こうと覗き込んだ。
...
...第21回 Beauty Contest???
※成人女性なら誰でも参加可
シド、俺達に遊んでる暇は...
口を挟もうと思った瞬間、チラシの中央の見慣れた黄色く丸い物体が目に入る。
賞品はなんと!喉から手が出る程欲しい...
敵の技コンプリートマテリア!!!
確かにこれは...
喉から手が出る程欲しい...!
蛙の歌だけじゃない。
死に物狂いでやり過ごした湿地帯の大蛇のあの技や、まだ見たこともないあれやこれ...
(はっ...!)
突き刺さる、二つの視線。
「ちょっと、私達をだしにつかう気?」
「まさかね?クラウド...」
普段は押されっ放しの俺だが、その日は少し違い、シドに助けを求めチラリと視線を送ってしまう。
「それでは、本日はここまでとなりますが、決勝戦は明日の正午、再びこの会場で行われます!
お見逃しなく!!!」
ステージの上でマイクを握る司会者のけたたましい声が響く。
俺達の手にマテリアが渡った瞬間だった。
大勢の観客に混じり応援に回っていた仲間達が、歓喜の声をあげる。
「「さっすがぁ!!!」」
ユフィとレッドが互いに抱きついた。
「いや~~楽勝でしたな。
ボク鼻が高いです。ねぇ、クラウドはん」
ケットも巨体を前後左右に揺らしている。
二人はあっさり決勝まで勝ち進んだ。
コンテストは観衆の投票で勝敗が決まる形式だったので、「一票でも多く投票しなきゃ!」とのユフィに同意し、午後は森へ行くのをやめた。
結果的に正解だったな。
二人には悪かったが、棚からぼた餅だ。
自然と顔がほころぶ。
「はあぁぁぁ~...棄権したい...」
「ティファ、まだ言ってるの?
はっきり言うけど、その発言、ちょっと失礼!
そもそもコンテスト棄権って、どうやってする気よ」
「...むざむざ負けにいくのが嫌なんです!
お腹痛いって言うわ。
あ、本当に痛くなってきたかも」
「ふぅん。
その言葉、そっくりそのまま返したい気分。
いやぁね、自分の美しさに自覚のない人って」
晩飯をつつき、やれやれと二人の会話をやり過ごす仲間達。
フォローしようにも明日起こるのは仲間内同士の一騎討ちだ。
安易な発言は禁物である。
「ま、いいじゃん。
もう二人共可愛いのは決まりなんだからさ。
明日ちゃちゃーっと済ますもん済ませて、貰うもん貰って終わらせば!
ね、クラウド?」
チラシをうっとり眺め、どうでも良さそうに言うユフィ。
「ん、あ?なんだユフィ?
悪い、聞いてなかった」
「「みんな、他人事だと思って!」」
ぷんすかする二人。
だって...どっちでもなんでもいいじゃないか。
この時は無事マテリアを手にした後の進路で頭が一杯で、勝ち負けなんかどうでもいいと思ってた。
Next (後編)
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