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Minority Hour

こちらはFF7 クラウドとティファ のCPを中心とする二次創作小説を扱うサイトです。初めての方は「About this blog」をご覧下さい。コメントはwebclapからお願いします。

   

My little cutie


プロローグ小説前半のお話です。

Marlene×Cloud
Familyです。

クラウドとマリンって、あまり接点なかったよな~、と思い書きました。
ティファが空気と化していますが、それなりに良い味をだしてるはずです






規則正しいリズムを刻み、微かに動く小さな背中。

何故かは知らないが、わかった。

それが自然に生み出された呼吸ではない事が。

無意識に笑顔になる。

そしてその想いに応えるよう...

大切に、大切に...


...抱き締めた。


My little cutie


「父ちゃん、やめて。いたいよ~」

いつまで経っても頭を撫で終わらない、ハンバーグみたいに分厚い手から逃れようと顔をしかめる。

父ちゃん、もう本当にやめて?
それ以上揺らされると、溢れちゃうよ。
せっかく我慢してるのに。
こらえ切れず目の前の太い膝にしがみつく。
父ちゃんのズボンは黒いから、きっとバレない。
これで涙を拭こう。





今日から私は父ちゃんと別々に暮らす。
部屋の机に頬杖をつき、さよならをしても一向に私を離そうとしない今朝のとうちゃんを思い出した。
我慢していた涙を好きなだけ解放する。

だけどひとしきり泣き終わった顔は、スッキリ明るい。
だって父ちゃんとはさよならじゃない。
きっとすぐ会いに来てくれる。
それにここにはティファがいる。
お母さんともお姉ちゃんとも違う、だけど世界で一番好きな女の人。
しかもここにはもう一人...

私はこれから始まる新しい生活に、ワクワクを抑えきれなかった。





「クラウド!
くつしたちゃんとうらがえしてって、いったでしょう?」

小さな頬を膨らませ、腰に手をあてる姿はもう立派なティファ二世だ。
俺は笑いを堪えながら嘘ぶく。

「ごめん、またうっかりしちゃったみたいだ」

ちゃんと申し訳なさそうに見えてるかな。

「もう!あやまればいいとおもって!!」

それも誰かさんのモノマネだな?
とても4歳の子が思い付く台詞ではない。
頭から湯気を立て去って行く姿を確認し、ようやく頬を緩める。

最近マリンは洗濯物のお手伝いを覚えた。
屋上からホカホカのそれを取り込んだティファの隣にペタンと座り込み、目の前の山から自分の担当できる物を慎重に探し引っ張り出す。
シャツなどはまだ、彼女には難しいからだ。

タオル、ハンカチ...それと靴下。

そしていつものごとく裏返ったまま洗濯された俺の靴下を見つけ、ここまですっ飛んで来たという訳だ。





‘どう接したらいいか、わからない’

マリンと暮らし始めた頃の正直な気持ちだ。
元々人付き合いの得意でない俺。
加えて性別も違う、接したこともない年齢の彼女。
彼女は俺にとって、地球の外からやって来たエイリアンみたいなものだった。

しかしマリンは良く出来た子だった。
日に日に俺に懐いてくれる。
そしてある日、不精して脱いだ靴下の事で怒られた。
マリンが俺に腹を立てたのは、それが初めてだった。
古き日に、机の引き出しの奥で丸まった×だらけのテストを手に、角を立てていた母親の様に。

‘仲良くなる’ のは所詮第一段階だ。
‘気を使わずに接する’ にまで至るのは難しい。
いつものノックも忘れ、部屋に飛び込んで来たマリン。
俺はその遠慮のない態度を喜んだ。
そして...心から、彼女を可愛いと思った。

俺とマリンの仲をまた一つ前進させてくれた靴下に、俺は感謝する。
彼女に話しかけようにも、まだまだ照れ臭い俺。
だから彼女には悪いが、俺はその習性を直す気はさらさらない。





後悔している事が二つあるの。

一つはだいぶ前。
まだミッドガルにあったお店に帰って来たクラウドに、私は “おかえりなさい” をしなかった。
したかったけど、恥ずかしくて出来なかった。

父ちゃんがいなくなってしまったのを期に、私には更に気合いを入れている事がある。
それは...

‘クラウドと、もっと仲良くしたい!’

私はクラウドが大好きだ。
父ちゃんやアバランチにいた二人とはまた違う、かっこいいクラウド。
あまり喋らないけど、優しい心を持ったお兄ちゃん。
そして、大好きなティファの、大好きな人。
昔の失敗を挽回しようと、私は毎日頑張った。
クラウドも、どんどん笑顔を見せてくれるようになる。

だけど、私はまたやってしまったのだ。
だってクラウドは男の人。
やっぱり少し、恥ずかしい...





先週の日曜日、三人で動物園へ行った。
見たこともない動物に興奮し、檻から檻へと駆け足した私は、夕方足が痛くなる。
いつものようにティファが抱っこをしてくれた。

お猿さんの山を見てた時だっけ。
ティファが少しずり落ちた私を「よいしょっ」と掛け声を掛け持ち直す。
それを見てクラウドは、次の動物に移る時ティファに声をかけた。

「...代わろうか?」

心臓がドキンと跳ね上がる。
だって私はまだクラウドに抱っこされたことが一度もない。
でも、いつもして欲しいと思ってた。
なのに私は言ってしまったんだ。
恥ずかしくって...

「ティファがいい...」

...ティファの首筋に顔をうずめながら。

ちょっと困った顔で頭をぽりぽりするクラウド。
やっちゃった。
きっとクラウドはもう二度と言ってきてくれない...



最近抱っこをせがむと、ティファはやんわり制する。

「おかしいな、マリンはもうお姉ちゃんだよね?」

寝てしまったり、本当に疲れた時はしてくれるけど。
ティファはしつけに厳しい。
きっとそろそろ終わってしまう、二人に抱っこしてもらえる時間。
そうなる前に私は...





「気にしてるんでしょ?」

俺の気も知らないで、ティファはからかう様な笑みをクルリと後ろに向ける。

「別に...」

今日半日重たい “荷物” を運び続けた彼女の肩を揉む手は休ませない。
俺の強がりを見抜いたティファは、益々楽しそうだ。
なおも肩をほぐしながらも、頭は昼間の猿山へ戻る。



(調子に乗り過ぎたかな...)

マリンに抱っこを断わられ気落ちする。
すんなりいくと思ってた。
マリンは抱っこが大好きだったから。
ティファがそれを思い悩むくらいに...

ふと背後で上がった金切り声に、後ろを向いた。
そこにはマリンと同じくらいの年の男の子。
父親にコツンと頭を小突かれただけで、ムキになり彼にパンチを繰り出している。
溜息をつき、嘆いた。

(せめて男の子だったら、もう少し楽だったのにな...)



「あの人の抱っこもね、最初は嫌がったのよ?」

ティファの声で意識を引き戻された。
‘あの人’ とは、俺も知ってる初老の常連客。
セブンスヘブン一代目からの、貴重な長い客だ。

手がハタと止まる。
だって信じられない。
マリンはその人が来る度、自分から膝の上によじ登る。

「恥ずかしかっただけだって。
ね、だからこれに懲りないであげて?」

ティファは礼を言い、「お風呂もらうね」と部屋を出て行った。

自室のベッドに腰掛け頭に蘇るのは、俺の一番好きなマリン。
膨れ面で、両手に紺色の靴下を一足ずつ持って...





「眠いの?しょうがないなぁ...」

ティファは呆れ顔で持っていた買い物袋を「ごめんね?」とクラウドに渡す。
夕暮れ時の、お買い物からの帰り道。
目を閉じティファの腕に時たまぶら下がったのは、私のずるい作戦だ。
だって真っ向から勝負したって、最近のティファはもう取り合ってくれない。
狙い通りに得られた心地よい温もり。
私は ‘ウソ寝’ がバレないよう、体から力を抜いた。

「まだいいんじゃないのか?」

心の中でこっそりクラウドを応援する。

「ダメよ。
妹や弟がいる子は、もうとっくに我慢してるのよ?」

...ティファは真面目で強情だ。

そんな二人の会話を聞きながら、瞼は本当に重くなる。
もうすぐ家に着いてしまう。
嫌だな...

「......代わってもいいか?」

クラウドの声に跳ね起きた。
体が動かないよう、なんとかこらえる。
心臓がドキドキした。

ティファはきっと笑顔だけで答えたんだろう。
ティファが立ち止まり、クラウドが荷物を地面に置く音がした。
そして私はクラウドの腕の中へ。
そこまできて、ずっと息を止めていた事に気がつき、ゆっくり吐いていく。
バレないように、バレないように...

クラウドの腕の中は、ティファのとも、父ちゃんのとも違った。
父ちゃんよりずっと細いけど、力強く、でも簡単に割れちゃう物みたく丁寧に抱き締めてくれる。
ティファとは違う、男の人の、でもとっても良い匂いがした。
首に巻きつけた腕に少しだけ力を込める。
私はもう、バレたいんだかバレたくないんだか、わからない。





家に着くまであと5分。
きっと私はそれまでに決意する。
だって、まだ一回しかして貰ってない。
こんなに幸せな気持ちになれるのに。

今度は自分から、クラウドの膝の上に乗ろう。

まだティファが、笑って許してくれる今の内に...


******************


個人差はあるみたいですが、4歳くらいまでねだるみたいですね。抱っこ。
ACではクラティの1000倍オトナだったデンマリですが、私は彼らを年相応に書くのも好きです。


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