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Minority Hour

こちらはFF7 クラウドとティファ のCPを中心とする二次創作小説を扱うサイトです。初めての方は「About this blog」をご覧下さい。コメントはwebclapからお願いします。

   

For my sake 4


For my sake 3、の続きです。







いつもの町並みを抜けた先。

同じ空間。同じ匂い。

だけど...


目に映る色が、違う。


For my sake 4


「はいよ、これでいいかい?
土曜日なのにご苦労さん」

「...ありがとうございました」

サインを貰い、一礼してそこを後にする。

手帳に溜まったリストを言い訳に、今日もバイクを走らせる。
また発症してる、悪い癖。
多分、昨晩俺はティファを傷つけた。
おそらく俺の真意は彼女には伝わってない。
車を止められる所を探して、片っ端から客に電話しよう。
ティファを迎えに行かなくちゃ。





目の前にドンと置かれた皿に目もくれず、携帯と手帳を見比べた。
まずは次の配達先から...くそっ、ここはテレビの音が煩いな。

『...の事故により...人の死亡者が...』

...ん?

ふと顔を上げると店のテレビに映る、激しく燃える建物。
まさか...ここは...

『...次のニュースです』

画面が切り替わる。

ガタリと立ち上がり、隣のテーブルの男の肩を鷲掴む。
仰天する男。

「おい!教えてくれ!!
今のニュース、なんて言っていた!?」

そいつは一瞬あっけにとられた様に俺を見上げていたが、やがて衝撃的な言葉を呟いた。

「...爆発事故があって、沢山人が死んだって...」

「場所は!?」

「確か...ウータイって村の...旅館?」

そんな...まさか...

男の肩から手を離し、携帯に手を伸ばした。
途中椅子につまずき、それが倒れる。
震える手でなんとか発信履歴まで辿り着いた。

くそっ!行き過ぎた!!落ち着け!!!

しかし狙いのボタンを押す直前に、履歴画面は別のものに切り替わる。
着信音にビクッと体を揺らし、画面を見つめた。

Yuffie
Calling...

ボタンを押し、携帯を耳に押し付ける。

怖い...

『クラウド!?ニュースみた?
急いでウータイに行って!!!
あたし今日、そこにいないんだよ!!!』

...いない?

『...ティファは?』

『わかんない!!
ティファ、携帯の電池ないんだもん!!
でもまだあの宿にいたはず...
今オヤジに確認頼んだけどさ!!』

ユフィは半泣きになった。

『...わかった』

電話を切ると、周りの全員が固唾を呑み俺を見つめていた。
その内の一人が喋りだす。

「兄ちゃん、お代はいいからさ...
早く行ってやりな」





俺は...馬鹿だ。

馬鹿だ。馬鹿だ。馬鹿だ。馬鹿だ...
間に合ったのに。間に合ったのに。間に合ったのに。間に合ったのに...

事故を起こしてもおかしくないスピードで、フェンリルを走らせた。
あれからどのくらい時間が経ったかもわからない。
日が落ち暗い向かう先の空が、血の様に赤い。

     ドクン...

     ドクン...

     ドクン...





村の入口にバイクを乗り捨て、煌々(こうこう)と明るい地点に足をもつれさせながら辿り着く。
野次馬だか消防隊員だかわからない人だかりを両手で押しのけた。
耳元で「痛てぇな!何すんだよ!!」と罵声が響く。
建物は半分が崩壊し、今だ一部がパチパチと燃えていた。
迷わず突き進むと後ろから腕を掴まれる。

「危険です!!!」

「離してくれ!中にいるかもしれないんだ!!」

俺の...俺の大切な人が...
しかし誰かに強く肩を掴みなおされる。
振り向くとそこには責任者らしき男が立っていた。
しっかりと俺の目を見て言う。

「落ち着いて下さい。ご家族の方ですか?
無事だった方が、五強の塔に避難しています。
先ずはそこへ行ってみて下さい」

すぐさま目的地を変え、がむしゃらに走った。
扉を乱暴に開ける。

     ドクン...

落ち着け...
落ち着けよ?

左から確認していった。

     ドクン...

中央に差し掛かる。
いない...

     ドクン...

よせよ、もう見渡し終わってしまう。

     ドクン...


.........いない...





着信 32件

Barret
Yuffie
xxxxxx
Barret
Barret
Yuffie
xxxxxx
...

客の番号も混ざり合ったそれの、一番上を押した。
1コールもせずに繋がる。

『おっっっせーーーんだよ!!!!!
ティファは!?』

『まだ......探してる...』

『探してるって、おま...『どういうこと!?ティファは無事だよね!?』『おじさん、クラウド何て言ってるの!?』

後ろで声が飛び交う。

『今そっちに向かってる。
...着くまでに、ぜっってーーに見つけろよ!!!!!』

そこでプツリと電話は切られた。
それをポケットにしまい、未だ熱を持った瓦礫(がれき)に再び手をかける。

「くっ...」

地面に放り投げた。

さっき一人見つかった。
変わり果てた姿で。
村の外れに遺体が並んでいるが、俺はまだそこを見る事が出来ない。
せめて目の前のこれを全部どけるまでは...

「黒髪の女性はいなかったよ。あの中にはね」

後ろで声がする。
この人は...ユフィの父親...?

「それと、さっき向こうで生存者が見つかった」

「だから、頑張ろう」

手をかけた瓦礫に、ポタリと生暖かい雫が落ちる。


ティファはまだ......ここにいる。





子供達がここに着いたのは、翌朝早くだった。
泥まみれで焼け跡に座り込む俺を揺さぶるマリン。

「クラウド、ティファは?
いたんでしょ!?お願い、そう言って!!!」

まだなんだよ...今からまた探す。
そう言い、しがみつき泣きじゃくる頭を押さえる。

「本当にすまない、二人とも...」

うなだれる俺の足を、デンゼルが勢いよく蹴っ飛ばした。

「謝ったって許さないからな、クラウドの大馬鹿野郎!
どうして...どうしてもっと早く迎えに行かなかったんだよ!!
ティファを返せよ!俺達の大切な母さんなんだぞ!!」

そして「返せってばぁ!!」と胸をドンドン叩いてきた。

ティファの名を叫び、声を張り上げわんわん泣く二人をキツく抱きしめ歯を食いしばった。


...諦めない。

まだ、諦めきれない...





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