Minority Hour
こちらはFF7 クラウドとティファ のCPを中心とする二次創作小説を扱うサイトです。初めての方は「About this blog」をご覧下さい。コメントはwebclapからお願いします。
For my sake 2
For my sake 1、の続きです。
...ラウド、おはよう!
何かが背中をゆさゆさ揺する。
......
.........“おはよう”?
しまった!いつもの調子で寝坊した...
For my sake 2
キラキラ差し込む、まっすぐな日差し。
階下から、カチャカチャと小気味良く食器が触れ合う音が聞こえる。
そこまではいつもと同じだ。
ダイニングには牛乳を片手にスプーンとフォークを並べるデンゼル。
歯を見せ、爽やかな笑顔をよこす。
「遅いぞクラウド。
さては反省してないな?」
首の後ろをぽりぽりやる。
確かに2日目からこれじゃ、先が思いやられるな。
‘奥さん、うちの近所の旅館にいるからね。
早く迎えに来なよ!’
昨日ユフィからメールが入った。
とりあえずは一安心だ。
俺はそれを言い訳に、彼女に連絡を入れていない。
「学校から帰ったら臨時休業の札をかけて、すぐに戸締まりするんだ。
一度その頃に連絡を入れるから」
よくこんな立派なサラダ作れたな。マリンか?
偉そうに述べるが、二人に用意された朝食を食べながら言っても威厳もへったくれもない。
「わかってるって!」
デンゼルが明るく答える。
「それと、今晩は夕飯は俺が何か買って帰る。
7時には帰るようにするから」
うちでは子供達だけの時は火と包丁は使わない決まりだった。
緊急事態といえども、そこは曲げられない。
「クラウド、大丈夫だよ?お隣のおばちゃんのカレーがあるもん。
それより、そんな暇あるならティファを迎えに行ってあげて?」
冷静かつ的確なマリンの指摘に言葉を失う。
しかしなんてしっかりしてるんだ、この子達は。
俺なんてフォークのしまってある場所もわからないのに。
それに...
「お前達、なんでそんなに普通なんだ?」
「「だって昨日の夜電話あったもん」」
口を揃えられ、前につんのめる。
...さすが、黙ったまま家を出て、そのまま音信不通になる俺とは違うって訳か。
「「行ってらっしゃ~い!」」
手を振られ、愛らしい見送りを後に仕事に出掛けた。
風を切りながら、昨日の朝子供達に ‘ティファの家出’ の事実を伝えた際の反応が頭に浮かび、思い出し笑いをする。
“早く謝りなよ、クラウド”
“大丈夫、ティファなら許してくれるから”
なんで俺が一方的に悪いことになってるんだ?
ティファの人望の厚さを再確認させられる。
それとも、男親なんてこんなものかな...
俺はもう、彼女に腹を立ててはいなかった。
迎えに行って良いならば行っただろう。
しかし...
最初はまさかウータイまで遠出されると思わなかった。
そこで思い当たる。
この近辺に、彼女が家出先として頼れる友達はいなかった。
性格のせいではない。
問題は、彼女が同世代の女性とは比べ物にならない程、朝晩と育児に仕事にと追われている事だ。
“私は一人で面倒見てたわ”
......不満が、あった?
その発想に自らを嘲笑う。
家には同居人がある日突然連れて来た子供。
薄っすら開いた扉の隙間から垣間見たものもある。
前科持ちの頼りない大黒柱のせいで、店に立つことを止められない足を辛そうに揉みほぐす手。
時にその扉から漏れる、電話先の友人からの誘いを断る申し訳なさそうな声。
それを証拠に、後にも先にも今回の事で俺を擁護する者は一人もいなかった。
この家出が少しでも彼女の気晴らしになればいい。
そのために努力するのが、昔の罪の償いだ。
「クラウド~、殻が出てきたよ~」
顔をしかめ、べーをするマリン。
「俺、白身はカチカチ、黄身はトロトロが好きなんだよね...」
それはご要望に添えなくて悪かったな。
記念すべく第一号目の目玉焼きは、俺の皿でひしゃげてる。
油を引くのを忘れた結果だった。
あれから3日、元気だった子供達に異変が出てきた。
昨晩俺が洗濯したマリンの赤い服の色がお気に入りのシャツについて、デンゼルは臍を曲げている。
マリンも見るからに肩を落とし、3日連続のコーンフレークを不味そうにポリポリする。
そして、ポツリと言った。
「クラウド、どうしてティファを迎えに行かないの?」
昨夜の出来事を思い出す。
“クラウドさん、お店休みだけど...どうしたの?”
仕事帰りに常連客に問われ、咄嗟に友人と旅行に行っていて...と答えてしまった。
“そっか!ティファちゃん、頑張り屋さんだからなぁ。たまには息抜きしたいよな。
でも伝えといてくれよ?
生き甲斐がなくて俺は死にそうだって”
彼女はこんなにも人々の心に入り込んでいる。
それに口ではうまく言えないが...
今、俺達の生活には何かが足りない。
たったの数日だが、そろそろ迎えに行ってもいいだろうか。
だが2日連続で仕事を早く切り上げたため、今日は時間を作れそうになかった。
明日は土曜日、学校は休み。
俺は出先である人に電話を掛ける。
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