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Minority Hour

こちらはFF7 クラウドとティファ のCPを中心とする二次創作小説を扱うサイトです。初めての方は「About this blog」をご覧下さい。コメントはwebclapからお願いします。

   

山の向こうに 1


ベースは本編ニブル山越えですが、パラレルです。
また、二話三話に若干の場面があります。
苦手な方はご遠慮下さい。

シリアスちょい残酷な話です。
三話完結。






絶対にソルジャーになってやる。

七年前に始まった物語。
いつからこんなにこんがらがった?

目を背けちゃいけない。
ここは全ての ‘始まりの場所’ だから。
それなのに、見れば見る程...
どうしてわからない事だらけなんだ?


山の向こうに 1


「えーっ!燃えちゃったはず、だよね?」

「......そのはずだ」

ティファと顔を見合わせる。
夢でも見てたんじゃないのか?そんな顔の仲間達。
久しぶりの故郷は、記憶とは似ても似つかなかった。

ムキになり、二人民家に聞き込みをする。
しかし望む回答は得られなかった...

「疑ってなんかいねぇよ。
それくらいやってのけるのが新羅だ」

肩を落とす俺達をシドが励ます。

「それより早く出発した方が良いんじゃねぇか?
おっかない山なんだろ。
今日中に越えないと、厄介なことになるぜ」

バレットも先を急かした。

最後に私の家だけ行ってみたい。
ティファの主張に同意し、一行は村で一番大きな家へ向かった。
俺の家みたく、赤の他人が住んでるだろう。
その予想に反し、そこに住人は居なかった。

懐かしいな...よくここまで作り直したものだ。
ここに勝手に入った話をして、カームでは白い目で見られたっけ。
決まり悪くなり、ティファから視線を反らした先の机の上に、やたらとかしこまったファイルを見つけた。
なんとなく手に取り、中に目を通す。
そこには驚愕の事実が書いてあった。





ギャァァァァァアアア!!!


モンスターの断絶魔が空に響き渡る。
いつもより乱暴に頭を叩き切った。

胸くそ悪い。

俺達はニブル山の中腹にいる。
ティファの部屋で見つけたレポートで真実を知った今、もはやあんな偽の故郷に用はなかった。

新羅はあの後、村をそっくりそのまま再建した。
それだけならまだいい。
口には出さなかったが、多分ティファも気付いてた。
村のあちこちでうごめく、ナンバーを刻まれた黒ずくめ達に、僅かに見てとれた面影。
あいつらは...生き残った村人を実験に利用したんだ。

道は笹くれだち複雑だが、魔晄炉までは迷わない。
五年前に二回来た。
ここから先は...俺も初めてだ。
緊張した面持ちで先を急ぐと、背後のティファが引き止める。

「クラウド、魔晄炉へ行ってみない?」

何か手掛かりがあるかもしれないから、と。





あそこまで徹底的に村を再現した新羅だ。
何かを残してる訳はあるまい。
そう思ったが、素直に従った。

錆び付いた扉を押し開けると、生々しく蘇る記憶。

くそっ。またいつもの頭痛だ。

「へ~~。あたし中見るの、初めて」

ユフィは場違いにも少し楽しそうだ。
仲間の最後尾につけていたティファが、何時の間にか見当たらない。
どこで立ち止まってるのか予測がつき、彼女を置いて先へ進む。

ティファはきっと、花を手向けるためここに来たかったに違いない。
村を出る直前、幼い頃に死に別れた親父の墓に寄った。
そこに横たわる、摘んで間もない花。
同じものはティファの母親の墓の前にもあった。

奥まで進み何もない事を確認し、折り返す。
脇にカプセルがズラリと並ぶが、中を覗きこむメンバーは皆無だった。
以前、俺の話を聞いて知ってるからだろう。
そこに収まってるのが何なのか...
階段の下に、遅れて辿り着いたティファが居た。

「ねぇ、クラウド。
切られた私をどこに運んだの?」

記憶のままに指摘する。

「そう...」

まただ。カームでも見た反応。
あれからティファは様子がおかしい。
興味があって、という感じではない。
記憶を確かめるかの様な聞き方。
疑る様な口調に、少し気分が悪くなる時もあった。



結果的に、手掛かりらしき物は掴めなかった。
もちろん消えた記憶も戻らない。

「ティファは?何か思い出したか?」

無言で首を横に振られる。
当然だ。
あの時ティファは血を滴らせ、虫の息だった。

「ここには何もない。皆、もう出よう」

ぞろぞろと歩き出す。
ただ一人ティファだけが、心ここにあらずといった状態で階段にいた。
父親との別れを惜しんでるのだろう。
しかし彼女には悪いが、一刻も早くここから脱出したかった。

頭痛がもう...限界だ。


プシューーーー......


と、その時、耳障りの悪い音が響く。

この音は知っている。聞いた事のある音だ。
発狂しかけのもう一人のソルジャーと共に。
自然と冷や汗が出る。

出口へ向かう一行も異変に気付き、階段の中腹へ視線を戻した。

そこには、五年前と同じく開いたカプセル。
ただ違うのは、その “中身” は立っていた。
しっかりとした足取りで。
こちらを睨むそれから、明らかに発せられる敵意。

嫌な予感がする...





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