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Minority Hour

こちらはFF7 クラウドとティファ のCPを中心とする二次創作小説を扱うサイトです。初めての方は「About this blog」をご覧下さい。コメントはwebclapからお願いします。

   

二人のHERO ~前編~


ザックス視点のCloud×Tifa。
CCは未プレイなので、ほぼ捏造です。
ので矛盾だらけですが、悪しからず。







青い空が好きだ。


見上げているだけで ‘何にだってなれる’ そう感じられる。

疑ったことは、一度もない。


二人のHERO ~前編~


いつかも感じた、高揚感。

ああ、そうだ。
あれは確かゴンガガからミッドガルへ出てくる途中、ヒッチハイクしたトラックの中。

お前みたいなやかましい奴、乗せなきゃよかったよ。
と、目的地に着く頃には運転手のオッサンは少々辟易していたが、何だかんだ言って最後は温かい言葉をかけてくれたっけ。

あの時と違うのは、俺の大好きな青空は今日はない。
それともう一つ。
今俺の身を包むのは、幼い頃から夢に見たソルジャー服だ。


「すごい雨だな。おい、気分はどうだ?」

真っ青な顔でうな垂れる “トモダチ” に声を掛ける。

「......大丈夫」

「俺は乗りもの酔いなんてなったことないからな。よくわからないんだ。準備はOK?」

「おい、お前。もう少し落ち着け」

そう言って俺を制すのは...“トモダチ” ではないな。
目下のところ目標にしてる人物ってとこだが...なに、すぐに超えてみせるって。

「新しいマテリア、支給されたんだ。早く使ってみたくて落ち着かなくてさ」

「......子供か、お前は」

「なあ、そろそろ今回の仕事教えてくれよ」

「......今回の任務はいつもとは違う。
老朽化した魔晄炉の調査だ。
異常動作を起こしている上に凶暴な動物が発生している。
そいつらを始末しつつ原因を見つけ出し、排除する」

「凶暴な動物......場所はどこだ?」

「ニブルヘイムの魔晄炉だ」

それまで虫の息だったクラウドが、ギョッとした顔を上げる。

「ニブルヘイム......ニブルヘイムは俺の生まれ故郷なんだ」





「しっかし見事に何もない村だなぁ」

悪い意味で懐かしい。
親父やお袋には悪いけど、やっぱり俺は田舎は好きじゃない。
...可愛い女の子もいないしな。

「...何してるかな」

流石ミッドガルはレベルが高かった。
出会って間もないが、すっかり俺の心を占めてしまったとびきりのあの娘。
今回の任務がうまくいったら、きっと自分の事のように喜んでくれ...「あの」

(?)

「あの...新羅から派遣されたソルジャーって、あなたですか?」

振り向くとそこには黒髪の女の子。
年の頃は...クラウドと同じくらいか?

「ああ、セフィロスと俺の二人な。
俺はザックス。よろしく!」

この村の子だろう。
ソルジャーのサインでも欲しいってところかな?
自惚れ過ぎだと言われそうだが、このご時世、ソルジャーと聞いて一目置かない少年少女はまずいない。
しかもクラス1stといったらことさらだ。
しかしそんな俺の予測に反して、それを聞くと少女は見るからに落胆した表情を見せた。

「そう...
私、ティファっていいます。
...あの」

(?)

「すみません、やっぱり何でもないです」

.........行っちゃった。
なんだったんだ?

(変な娘)

ま、いっか!
気を取り直して仲間の待つ宿屋へと歩を進めた。
宿屋の親父に言われた通り二階へ上がると、そこに廊下で佇むセフィロスの姿を見つける。

「何を見ている?」

「この風景、俺は知っているような気がする......」

「知ってるって...気のせいじゃないのか?」

「......明日は早いぞ。そろそろ眠った方がいいな」

セフィロスの様子はさっきから少しおかしい。

(母の名はジェノバ。父は...)

ジェノバ...聞いた事のある名前だ。偶然か?
セフィロスは自分の事はあまり語らない。

(そういえば、故郷がないってどういう意味だったんだ?)

故郷、という言葉でもう一人様子の変な奴を思い出した。
今頃は久しぶりに母ちゃんに甘えてるんだろう。

「ってお前、まだここにいたのかよ!」

「...別にいいだろ。どこに居たって」

「よくねぇよ。ベッド一つ足りないんだから、お前は自分の家で寝ろって」

「...」

久しぶりの故郷だってのに、ちっとも楽しそうじゃないな、コイツは。

「なぁ...お前なんでメット脱がないの?
もしかして、見られたくない奴でもいるのか?」

「...ザックスには関係ないよ」

はぁ、と大きく肩で息をつく。
こうなったクラウドは、もう絶対に口を割らない。

「わかったわかった。もう聞かないよ」

大袈裟に降参のポーズをとる。

「でも、お袋さんのところにだけは顔出して来い。
これはベッドの数どうこうで言ってる訳じゃないんだぜ?」

消え入りそうな声で「うん...」と嘆くと、クラウドはノロノロと立ち上がり、部屋を出て行く。
もちろん相棒のヘルメットを抱えて。

(変な奴)

今日はおかしな日だな、変な奴が周りに三人もいる。
一日中移動だらけで身体を動かしてないせいもあるのか、とてもじゃないけど寝付けそうになかった。

「俺も少しプラプラしてくるか」






Next (後編)


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