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Minority Hour

こちらはFF7 クラウドとティファ のCPを中心とする二次創作小説を扱うサイトです。初めての方は「About this blog」をご覧下さい。コメントはwebclapからお願いします。

   

花火に消された言葉 ~Aeris's date~


デートシリーズを開始します。

ゴンドラデートはエアリスを採用してみました。
ティファデートは別シチュで後日上げる予定です。
そしてなんと、最終的にはユフィデートまでいくつもりです。

Aeris→Cloud←Tifa、の構図で。

星の命より、気になるアイツ。
恋せよ、乙女!

『3rd Gold Night』の前提の話です。






...でも、違うの。

今は、違う......

ね、クラウド、私、あなたを探してる。


あなたに......会いたい。


花火に消された言葉
                          ~Aeris's date~



私らしくないこと、しちゃった...な。
後で皆に、謝らなくちゃ。

ホテルのロビーで旅の状況説明をするクラウドを遮り、一人部屋へ戻って来てしまった。
疲れを感じてたのは、嘘じゃない。
ベッドに倒れ込む。

最近、私の情報処理能力をすっかり凌駕してしまった、知識の嵐。

古代種

ジェノバ

セフィロス

黒マテリア


...黒マテリア?


気になる事がある。
母の形見のリボンをスルリとほどき、中に潜めていたものをベッドの上に転がした。
普通のものよりやや白みがかったマテリア。
名前は知らないが、この世に黒いマテリアがあるならばこれは...

そして、約束の地。

コスモキャニオンで耳に飛び込んできた言葉が頭から離れない。

(ミもフタもない言い方をすれば、約束の地は古代種の死に場所じゃ)

ギュッと目を瞑る。
暗闇で揺れるのは、温かな焚き火のオレンジと、大好きなフワフワの蜂蜜色。

(俺が...俺達が、ついてるだろ?)

無性にクラウドの顔が見たくなった。





「あ~、面白かった。ね、次はゴンドラ乗ろう」

やっぱり誘って、よかった。

“はぁ?”
劇場の係員の提案に、気のない返事をしていた彼だったが、私は確信してる。
そんな言葉とは裏腹に、彼は私を悲しませるようなことは、絶対にしない。
そんなところを私は...

ゴンドラの中は狭かった。
二人で話す事は頻繁にあったが、“二人きり” は珍しい。
明日はもう古代種の神殿へと向かう。
こんな機会はもうしばらくないだろう。

(伝えちゃおう、かな)

しかし、私の口を突いた言葉は、全く意図していないものだった。

「はじめはね、そっくりだったから気になった...」





鼻の奥がツンとなる。

泣くな。

両脇にはユフィとナナキがいる。
今涙を流す訳にはいかない。
そうじゃなくても、二人はやや気遣わしげな視線を私に送っているというのに。

ここはイベントスクウェアのシアター。
私達は寸劇を見ている。
王子様は、頼れる皆のリーダー。
お姫様は...皆の可愛いお姫様。
王子様は、今私の目の前でお姫様の手を取りそこへキスをした。





「疲れたから、部屋に戻るね」

二人を置いて、一足先にホテルの部屋まで辿りつく。
不自然ではなかったはずだ。
実際、旅の中年組は一時間前にリタイアしている。
こういった娯楽において、最後まで残るのはいつもユフィとナナキ。
ううん、それとあともう一人...

彼女もクラウドも部屋にはいなかった。
二人で何処かへ行っている?
すぐにそう思い当たる。
そして、的中した予感。

エアリスのことだ。
これを機に彼に自分の気持ちを伝えるつもりかもしれない。

性格の問題もあるのだろうが、真っ直ぐ彼にぶつかっていける彼女が羨ましい。
今の私には、クラウドを好きになる権利はない気がした。
私はクラウドを疑ってる。

しかし、溢れる涙の一番の理由はわかっていた。
きっと、彼女から好きだと言われたら、彼は断らない...


遠くに花火の音が聞こえる。






ケットシーの裏切り事件もあり、デートはやや尻切れトンボに終わってしまった。

(なんであんな事、言っちゃったんだろう...)

彼の向こうにぼんやりと見て取れた、“本当の彼”。
理由はわからない。
でも今の彼に何かを伝えても、意味がない気がした。
クラウドは鈍感な人。
きっとあの発言からは、何も感じ取らなかったに違いない。

部屋にはティファが一人いた。
私を見て、少し慌てたような顔。
それに何か聞きたそうな...
クラウドと出かけてたって、知ってるの?
二人揃って部屋に居なかったんだ。
そうであっても、おかしくない。

「お帰り!今ちょうどお風呂に行くところだったんだ」

すれ違い様に部屋を出て行こうとする。
「どこに行ってたの?」それすら聞かない態度が不自然極まりない。

「ティファ」

後ろ姿を引き留める。

「私、伝えてないよ。クラウドに」

“なんでわかるの?”
そう言いたげに、振り返り今にも泣きそうな顔をするティファ。

ああ、もう。なんて可愛いの...!
兄弟なんていないけど、妹をからかうって、きっと、こんなかんじ。

ミッドガルを出てから、日に日に強まる私の力。
きっとあなたとクラウドは、私の入り込めない何かを共有してる。
ねぇ、もしかしてあなたは “本当の彼” を知っているの?

それでも私は、諦めない。
全力でクラウドに、あなたに、ぶつかるわ。
奥手なあなたを相手にして、卑怯かしら?
ううん、そんなこと思わない。
だって、わかるもの。
そうでもしないと、私には、勝ち目はない。

「安心して、ティファ。勝負は、延期」

「...え?」

「いつか...」

「いつか、本当のクラウドに、会える日まで」

小首を傾げるティファ。
的を射ない時の彼女の癖だ。

「でも、その時は...遠慮なんか、しないんだから!」

その意味は悟ったのか、急にピリリとした表情を見せる。
本当にずるいわ。
何から何まで、こんなに可愛い。

私はきっと、運がいい。
この短い間に、好きな人と親友がいっぺんに出来た。
この恋の行方はわからない。
でもそれに敗れたとしても、私はきっとその事実を笑顔で受け止めるだろう。

大切なのは、後悔をしない事。
この5年間...辛かった。
あんなにもハッキリ見えた “彼” の心。
月日を経て、それは風に吹かれ磨り減り、残ったのは醜い疑いの心だけ。
どうしてあの時私は彼に、ちゃんと好きだと伝えなかったのだろう...





‘いつか’

そう力強く言う彼女の瞳に確かにともる、生きる意思。

目の前の愛する少年と少女と共有する、明るい未来へ向かって...





弱気な自分は、もうさよなら。

さぁ、私らしく生きよう。

しっかりと、前を向いて。


******************


エアリス語りですが、エアリスの特徴的な口調と説明語りが混じって、変なことに...
クラウドは、全ての運を女運に奪われちゃったんだね。

プロローグ・デンゼル編じゃないけど、良い人は皆死んじゃいますね。




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