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Minority Hour

こちらはFF7 クラウドとティファ のCPを中心とする二次創作小説を扱うサイトです。初めての方は「About this blog」をご覧下さい。コメントはwebclapからお願いします。

   

the useless useful


旧拍手お礼。
本編×AC後です。
ティファはきっと、お裁縫も上手。







ありふれた、ごくごく普通の何かは...

大切な人の思いやりによって、特別な物に変わるんだ。


the useless useful


「ん?」

飛空艇の甲板で洗濯物を干していると、籠から飛び出た青い毛糸に気が付いた。
慎重に糸をたぐり出元を探ると、行き着いた先はクラウドのノースリーブのニット。

...破けてる。

数センチ程度の穴だったが、次から次へとほどける毛糸のせいで、それは大きさを増そうとしていた。
そこですぐに思い立ち、もう大分水気の飛んでいたそれを部屋へ持ち帰った。
長く飛び出した毛糸をハサミでプツンと切り、そのままそれを利用して裏からしっかりと縫い合わせる。
よくよく見れば薄っすらと線が浮き出ているが、場所は背中。きっと誰も気が付かない。

息を吹き返した服を抱え、再び甲板へ引き返そうとドアノブに手をかける。
ふと思いつき、部屋を出る直前、誰も見てないのを良い事にそれを両手でギュッと抱きしめた。

(直してあげたんだから、ちゃんと彼を守ってあげてね?)

子供じみたおまじないに赤面しながら部屋を後にする。



それから数日後、森での戦闘の後にその場の全員の声が重なった。

「「あーあ...」」

モンスターの攻撃をよけようとしたクラウドは背中に爪を引っ掛けられ、例のニットはパックリと裂けていた。

残念、せっかく直したばっかりだったのに。
でも、おまじないが効いたのかしら?

無残に破けたそれにも関わらず、彼は全くの無傷だった。

「買いかえなくっちゃね」

「ああ、そうだな。
残念だ。これ、気に入ってたんだけど...」

肩を落として背を眺めるクラウドを慰める。

「大丈夫よ!クラウド。
それ、形も色もよく見る服だもの。
きっとすぐに似たのが見つかるわ!」

私の言葉通り、代わりのものは次の街で見つかった。





やっぱりここにあった。
よかった、見つかって。

二階のクラウドの部屋にあるタンスから発見された自分の服に、ホッと息をつく。
黒い服だから彼の物に紛れ込んでしまったのかも...その予想通りだった。

普段はベッドの上に畳んだ洗濯物を置くだけで、クラウドのタンスは開けない。
見て悪いものでもないし、少し物珍しい視線を送る。
ふと奥にしまわれた、あまり見ない色の服が目に止まった。
紺色のそれを何気なく引っ張り出すと、その服は背中が大きく裂けていた。

なんでこんな服、捨てないでとってあるの?

懐かしい色のニット。
そういえば最近黒ばかり着る彼は、あの旅では紺や青を愛用してたっけ。

...破れたニット?

どことなく思い当たる節があり、遠い記憶を手繰り寄せる。
やがてハッとそれに目を凝らした。
そこに小さな縫い跡を見つけ、私は二年前のあの日と同じように、それを胸に抱きしめる。

帰ったら話してみようか?
ううん、でもそんなことしたら、彼は恥ずかしがってこれを捨ててしまうかもしれない。

そっと、それを元の位置に収めて部屋を後にした。

今も荒野を走る優しい彼に、届くことのないお礼を言って...


******************


さては破けてるのを知ってて洗濯機に放り込んだな?

the useless useful=役に立たない、役立つ何か




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