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Minority Hour

こちらはFF7 クラウドとティファ のCPを中心とする二次創作小説を扱うサイトです。初めての方は「About this blog」をご覧下さい。コメントはwebclapからお願いします。

   

男のホンネ 女のキモチ ll 〜前編〜

今夜はお外でラブラブデート!ですが...
肝心な事はしてませんが、しっかり18禁です。

※更にティファ攻めです。裏描写は後編のみです。

裏度数【★★★★



男のホンネ 女のキモチ ll
~前編~


そこはセブンスヘブンとは一風異なったシックな空間であった。薄暗い店内はデザイン性の高い間接照明で幻想的に照らされ、壁は一面ガラス張りのワイナリーで覆われている。鍵で施錠された内側には稀少な逸品も収納されていたがテーブルの上に置かれているのは身の丈に合ったボトルだ。

「じゃあ、もう一回...乾杯!」

ティファの声に合わせてクラウドもグラスを掲げた。小一時間前にビールジョッキで済ませた儀式ではあったが、並のものと言えどもワイン自体が高級である事に変わりはない。もしくは嗜好品を味わう前の作法というより、今まさに満喫しているこの時間を祝福したいだけだったかもしれない。

「そろそろ掃除機の出番だな」
「ううん、今度はベッドの脚が折れてるかも。もしくは床に穴」

「もう怪我さえなければ何でもいいかなって」呆れ声に反し、ティファが浮かべるのは笑顔だった。前回バレットが帰省した夜、子供達と就寝前のプロレスごっこに興じた彼はあろう事か吹き飛ばした枕で窓ガラスを大破させた。

ティファが在宅中であればエスカレートしていく騒ぎを即刻鎮静させたであろうが、今日と同じくその日もクラウドと家を留守にしていたのである。バレットが滞在する間、たまには二人きりで出掛けて来いと持ちかけられたのが始まりだった。

最初は遠慮がちにしていたクラウドとティファも、小煩い二人がいない夜を子供達がむしろ謳歌していると知りたいして気を遣わなくなる。そしていつしか年に数度あるかないかの機会を心待ちにするようになった。

クラウドはこと対人関係において面倒な男である。それはティファに対しても例外ではなく、二人きりであろうと家を出た直後の彼は父親モードのまま表情も硬い。それが共に道を練り歩き言葉を交わし、ひょんな弾みでティファの肩が彼に触れるなどという時を数時間過ごしてようやく本来の表情を見せてくれる。

共通の客を見つけて盛り上がったり、クラウドは世界の町で起こっている出来事、ティファはエッジでの噂話について、子供達の前でするには相応しくない類のものだったりシニカルなものであったり...そんな大人同士の会話も二人の仲を改めて近づけさせた。


そして夜が更け酒が入ると当然そういった流れにもなる。それは食事も終盤の頃「この後どうする?」だとか「もう少し一緒にいようか」なんてやんわりと持ちかけられる事が多かったが、現在彼らは半個室の席に腰掛けており、人目を気にする必要のないクラウドは怖いものなしにティファの腰を抱き寄せサラサラの黒髪に鼻先を埋め始める。

彼からのアプローチを察したティファは打って変わって恐縮し、申し訳なさそうに顔をうつむけた。

「えっと、あの...クラウド。私、今日ダメな日で...」
「えっ...あ、そうだったのか?」

続く反応に身構えるティファだったが「ごめん、歩き回らせて...身体、平気だったか?」という気遣いに溢れた言葉に胸を覆っていた影は晴れていく。

「うん、大丈夫。痛み止めも飲んでるし」
「痛み止めって...全然万全じゃないじゃないか。今度からちゃんと言えよ。言ってくれないとわからない」

心配のあまり説教口調にまでなるクラウドに、くすぐったさがこみ上げてきた。

「クラウド、優しいね」

当たり前の事を指摘されクラウドは怪訝な顔をする。騙しているような罪悪感に終日襲われたり、でも謝るのも違うと思ったり...なんとなく事実を伝え辛かった自らの心理をティファは紐解いていく。

そして突き止めた原因を、距離の縮まった今であったらと「その...ガッカリさせちゃうかなって...」とフランクに打ち明けてみた。要するに、日の締め括りにそれがないと知った彼は日中を楽しめないのではと気にした訳である。

対して「え...」と小さく動揺の声を漏らしたクラウドだったが、受け取った投げかけに真摯に向き合う。確かに期待してはいた。だが “ガッカリ” なんて感情はさらさらない。すぐに突き当たった結論を率直に伝える。

「それ目的で一緒にいるんじゃない。二人でいられればそれだけで十分だ」

クラウドも自分と同じ気持ちであったことにティファは胸を撫で下ろす。そして甘えるように彼にもたれると「今日、一緒に寝てもいい?」と許しを請うた。バレットのいる夜は寝室を分けていたが、気持ちの高まった今夜はまだ一緒にいたい。

そんな些細な願いですら生真面目に伺いをたてるティファがいじらしく、自身も離れ難い気持ちを胸にクラウドは返事代わりに肩を抱き返す。

「...でも、我慢しないとな」

ニヤリと放たれた軽口をクラウドは「冗談だよ」と笑い飛ばすが、ティファの心は少しだけ揺さぶられる。意を決して彼の耳元に唇を寄せると、とある提案を持ちかけてみた。

「...ダメ?」
「いいけど...」

成り行きが掴めずリアクションに困るクラウドは、とりあえずティファに言われるがまま従う事にする。





後編へ続きます。



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