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Minority Hour

こちらはFF7 クラウドとティファ のCPを中心とする二次創作小説を扱うサイトです。初めての方は「About this blog」をご覧下さい。コメントはwebclapからお願いします。

   

鈍いキミ


ライフストリームからの帰還後。
旅の途中でCloud→Tifaほのぼのバカップル。
ティファの初恋のオリキャラ(何故か郵便屋さん)出没に注意です。




穴があったら入りたいとは、こういうことか。


全部バレてしまった。
恥ずかしくて、ソルジャーになれなかった事を隠してたことも。
そもそも何でソルジャーを目指してたかも。
小さい頃からずっと見てたことも。


鈍いキミ


また一回り大きくなった気がする。
ハイウィンドのコックピットからメテオを苦々しく睨んだ。
急がなければ。

「お腹減ったお腹減ったお腹減ったよーーー!!!」

緊張感のない叫び声に思考を遮られ我にかえった。

(相変わらず凄い温度差だな。まぁ、そこがコイツの良いところでもあるんだが)

全員が全員俺みたいな奴でも、気が滅入るパーティーになりそうなのも否定はできない。

「待っててね、ユフィ。すぐ準備するから。今日はシチューにするよ」

そう言いティファは颯爽と厨房へ消えて行った。

ティファの姿が見えなくなるのを確認すると同時に、こちらに意味深な視線を送ってくるユフィ。
嫌な予感がする。

「クラウドさぁ」

「なんだ」

「もうティファとくっついた?」

...やっぱりそんなところか。
ただでさえでも腹が減ってイライラしてるのに、心底面倒臭いと思った。

「何を勘違いしてるんだ?俺たちの間には何もない」

「あんな献身的な介護させといてよく言うよ~」

「ティファは俺がああなった事について責任を感じてただけだ。
そんなんじゃない」

「今もクラウドの好物のシチュー張り切って作ってくれてるんだよ~?」

「...シチューは皆の好物だ」

「.........何なの?好きじゃないの?ティファのこと」

「俺の気持ちは...一緒にライフストリームに落ちた時からティファにはもう伝わってるよ。
それなのに、何も言ってこないということは...そういうことなんだろ」

「昼間の会話をみる限り、ティファはなぁ~んも気付いてない気がするけどね~
アレは相当鈍いよ、うん」

「いい加減にしてくれ。
メテオが降ってきて明日死ぬかもしれないって時に恋愛か?
俺の頭はセフィロスを倒す事でいっぱいなんだ」

「むしろ明日死ぬかもしんないから言ってるんだっつーの。
目の前に好きな人がいるのに、何も伝えないまま死んでもいいの?
こっちは親切で言ってるんだからね!」

あ~胸くそ悪い、とユフィはそっぽを向いて何処かへ行ってしまった。
一人取り残されたコックピットでクラウドは舌打ちをする。

死ぬ気なんかない。死ぬ話なんかして欲しくない。
一方で、ユフィの言うことも一理あるから腹が立つ。

(伝える伝えるって。そんな簡単に言うなよ。
...苦手なんだ)

ユフィのことだから、晩飯の頃にはもう普段の態度に戻っていることだろう。頭を冷やせ。

「昼間の会話、か」

ぼんやり外を見ながら思い出す。同時に頭に響く、胸に痛い台詞。



ナニモツタエナイママ、シンデモイイノ?



クラウドの瞳にはもうメテオは映っていなかった。





「何それ超可愛い!ティファにもそんな時があったんだ~!」

「人をなんだと思ってるのよ。素手でモンスター殴ってても一応女の子なんですからね」

...うるさい。
今日のメンバー編成はティファとユフィの三人だ。
正直俺は女だらけのパーティーは得意ではない。
顔に怪我でもされたらと気を使うし、何か面白い事を言えとかいう無茶ぶりも勘弁して欲しいところだ。
何よりうるさい。

「ね~クラウド。ニブルヘイムの郵便屋さんってどんな人だった?」

「はぁ?」
「キャー!やめてよユフィ!!」

「二人共、敵が来るぞ。ちゃんと前を見ろよ」

「ティファの初恋の人なんだってさ!」

「...はぁ?」

(初恋の人?ってなんだよ、それ)

背中に嫌な汗が滲んだ。
郵便屋さん?確かにいたな。でも、顔も名前も思い出せないような影の薄い奴だった。
そんな奴がティファの初恋の人?

「ラブレター書いて渡したらしいよ。
なんか今のティファからは想像出来ないくらい積極的だよね~」
「はいっ!この話はこれでおしまい!!」

「...あのひょろ長い冴えない男か?何がよかったんだ?」

「ちょっ...曲がりなりにも人の思い出の人をそんな風に言わないでよ。
小さい頃の話だし...毎日優しく挨拶してくれるから嬉しかったのよ。多分...」

「ふぅん...挨拶で好きになるのか。見る目がないんだな。
それにティファはもっと一途な人だと思ってたから、残念だ」

俺がティファの事を守りたいと本気で悩んでた時に、肝心のティファは別の男に夢中だった訳だ。
なんだかかなりショックだ。

「そういうクラウドは?」

「は?」

「人の事馬鹿にするくらいなんだから、どんなに素敵な初恋だったのよ?」

(ほ...本気で言ってるのか?)

「私も知ってる人よね?」

「そう...だな」

「教えて?」

「...一途じゃないティファには言う義理ないな」

「何よそれ?ね、もしかして私と仲良かった雑貨屋さんとこの子?
実は彼女、クラウドの事かっこいいってずっと言ってたのよ」

「何でそいつが俺の事をかっこいいと言うと、俺もそいつを好きになるんだ?
というか、話したこともない」

「じゃあクラウドの学年で一番可愛かったあの子は?
ニブルでも一番人気だったわよね!」

「八方美人だったからむしろ嫌いだった」

(一番人気はどう考えてもティファだったろ)

「そもそもどんな子供だった訳?クラウドは。
喧嘩っ早かったんでしょ?もしかしてティファもイジメられた?」

話に入れずつまらなそうにしていたユフィが余計な横やりを入れてきた。

「まさか。確かに口より先に手が出るようなところはあったけど、女の子や弱い者に何かするような子ではなかったよ」

「ねっ?」と同意を求めるようにこちらに視線を向けるティファ。
そりゃ否定する気はないけれども。

「ライフストリームから帰って来て改めて思い出してみたの、小さい頃のクラウドの事。
確かに一緒に遊んだりは少なかったけど、当然覚えてる事もあって...
私が年上の男の子にからかわれてるのを見て、その子に飛びかかって助けたりしてくれるような優しい子だった」

あ、でも暴力はもちろんダメよ、と付け加えるティファ。

「...」

「凄くぶっきらぼうだったけど、誕生日には一言 ‘おめでとう’ って言ってくれたりもした」

「......」

(もうやめてくれ、恥ずかしい...)

「って、話がそれたね。で、いったい誰が好きだったの?」

((そこまでされてて、どうして気が付かないんだ?))

ダブる二人の心の声。

「でも、きっとここらへんでストップしてあげた方がいいんだよね」

「え?」

「あの事件の時にニブルに居た子の名前が挙がったら、悲しすぎるもん」

「...」

「私に文句言うくらいなんだから、一途なんでしょ?クラウドは。
もしかしたら、もう会えなくなった今でもその子のこと結構思い出したりする?」

「そう...だな」

「そう。...なんだか羨ましいな、その子が」

(ティファの事だよ。
...なんて言える訳ないけど)





気が付いたら厨房へと足が向かっていた。
しかし、ティファの後ろ姿が目に入った途端、嫌な思考が頭を過る。

(もしティファが俺の事なんか何も思ってなかったら?
ティファは優しいから俺に冷たくなんかはしないだろうが、今みたいな自然な会話は期待できなくなる)

(こんな時にこんな事考えてって、幻滅されるかもしれない)

(今はまだいい。もし戦いに勝って、一緒にいる理由がなくなったら?
ティファとは本当にさよならだ)

みるみるうちに萎んでいく勇気。

「♪~」

とそこに、こちらの気も知らないティファの呑気な鼻歌が響いた。
一気に間抜けな雰囲気に包まれ、肩から緊張感が抜ける。


(クラウド、なんとかして生きて!死んじゃダメ!話したいことがたくさんあるの!)

(...来てくれたのね...約束、守ってくれたのね。ピンチのときにちゃんと来てくれたんだ!)

脳裏に沸き起こるティファの声。


(彼女、大切にしなきゃダメよ?)

ミディールの看護婦に言われた言葉。自然と顔が赤くなる。


(いいのよ...クラウド...)

ソルジャーになれなかった。
その上過去を偽った俺に対して信じられないくらい優しい言葉。
愛とか恋とか何がなんだかサッパリわからないが、きっとティファは何らかの形で俺を想ってくれている...はずだ。


(確かめたい)


「随分ご機嫌だな」

「ひゃっ!...聞いてたの?
やだ、居るんだったら居るって言ってよ」

「美味そうな匂いがしたからつられてきた」

「ふふふ、お腹が空いたんだね。
今日絶好調だったもん、クラウド」

(よし...言うぞ...!)

「なぁ、ティファ」

「んー?」

「お、俺は...!」

「...?」



「ティ...ティファをお嫁さんに出来る奴が...羨ましい...よ」



(...言った!)

「クラウドもそう思ってくれる?シドにも同じ事言われちゃった」

でも、お嫁さんをご飯作り機か何かと勘違いしないで欲しいところね、とブツブツ言いながら鍋に集中力を戻すティファ。

「...」
(...なんだ?それだけか?)

「はい」

「えっ?」

目の前には少しのシチューが入った小皿。

「味見してくれる?」

先ほどの自分の一大発言に対する反応に納得がいかないものの、八つ当たりしてもしょうがない。
慎重に皿を受け取り味をみる。

(でもなんかいいな、こういうの)

「うん、美味い」

「そう。よかった!」

そう嬉しそうに言うティファの笑顔は、小さい時から変わらずやっぱり凄く可愛かった。

(別に嫌われてはなさそうだし...しばらくこのままでもいいのかもしれない)

「皆を呼んで来てくれる?」

「うん」

完全に流れてしまった告白の雰囲気。
しかしどこかホッとしている自分もいた。

(相変わらず臆病でごめん。いつかちゃんと伝えるから。
俺はティファが居るから頑張れるんだって。

...だから...待っててくれるか?)

厨房には、相変わらずわかりづらいが、いつもより少しだけ口角の上がったクラウドの姿があった。


******************


ユフィ「だ~めだこりゃ」
ナナキ「...ダメだね」
バレット「クラウドとティファだからな」
ケット「何年かかりますことやら」
ヴィン「...二人らしくて微笑ましいではないか」
シド「カーーーーーーー!!!!!」

北コレルからゴールドソーサー行きのロープウェイに乗る前に、ユフィがバレットに対して言う台詞が好き。

「あたしは同情なんかしないね。新羅なんかに騙される方が悪いんだ」

みたいなやつ。
ユフィの意見は大概的を射ている気がする。

(クラウドの心の声過多で、なんかスコールさんみたいになってしまった)


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