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Minority Hour

こちらはFF7 クラウドとティファ のCPを中心とする二次創作小説を扱うサイトです。初めての方は「About this blog」をご覧下さい。コメントはwebclapからお願いします。

   

異常事態宣言!

本編。若干のユフィ→クラウド入ります。



異常事態宣言!


「ユフィ!!」

背後で上がった警告に身構える間も無く、グイと肩を掴まれ勢いよく地面に叩きつけられた。頭上の空気を切り裂いたのはモンスターによる鋭い攻撃。ユフィに覆い被さり、クラウドは腹這いのまま他の仲間により残党が一掃された事を確かめる。そこで視線を上げたユフィは目に飛び込んできた喉仏にギョッとする。

「はっ...離せえ!!」
「いでっ!!」

とばっちりを食い怨めしそうに顎をさするクラウドをうっちゃり、ユフィは一人胸を撫で下ろす。ふぅ、危ない危ない。案の定、名誉の負傷を負った男は無意識なのか意識的なのか別所で拳を振るっていた仲間の元へと吸い寄せられていく。

「どうしたの、それ」
「ユフィにやられた...」
「あはは、とんだ災難ね」

すっかりお馴染みとなった睦じい掛け合いを冷静に観察する。極限状況下では男女は恋に陥りやすいとは昔何かの映画にあった名言だ。自分には無関係と忘れかけていた教訓。だが今の環境は当たらずといえども遠からずなのではと思い直す。周囲を取り囲む面々の顔を順繰りに追っていくと、見渡す限りの親父、親父、親父...そして人形と動物。そう、この集団でまともに恋愛対象となり得るのはクラウドぐらいなのである。

ティファ、それにエアリスまでコロリとさして取り柄がない男に惚れてしまった要因は案外そんなものかもしれない。タチが悪い事にこの青年は腕っ節だけは強い。アタシだって...男性として意識するとまで言い切れないが、あんな風に庇われたりすればドキっとなる。映画では元の生活に戻った時に恋が冷めてしまうのを恐れて踏み止まることなどない、と前向きに締め括っていたが、きっとアタシは慎重になった方が良い。

「回復してくれないのか?」

ねだるような声にティファはクラウドの顎に人差し指を当て「んー...?」と吟味する。

「たいしたことないじゃない。甘えないの」
「ちぇ...」

...“ちぇ”ってコイツ、キャラ変わってない?
クラウドはともかく、男性の理想の塊のようなこの女友達への恋心はどんな状況下でも失速する事はないだろう。敵に回すにはあまりにも分が悪い相手だった。当人達は否定してはいるが、最近の二人の距離は誤魔化しようがない程近い。というか、イチャイチャしてるだけにしか見えない。クラウドとティファがひっつくのは時間の問題だろう。ふとユフィは岩山で片膝を立て休息に耽る男の存在に気付く。

「ねーアンタって、何歳!?」

風に吹かれていたヴィンセントはピクリと眉根をしかめると、「ユフィ」と低い声で少女をいさめた。

「他人に年齢などそう気安く尋ねるものじゃない」

...いや、男はいーでしょ。さてはコイツ、結構いってるな?
この時真相をうやむやにしてしまったアタシがまんまと陥りやすい罠に取っ捕まったのは、また別の話。


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