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Minority Hour

こちらはFF7 クラウドとティファ のCPを中心とする二次創作小説を扱うサイトです。初めての方は「About this blog」をご覧下さい。コメントはwebclapからお願いします。

   

One tiny trump 5


One tiny trump 4、の続きです。


One tiny trump 5 ~FF7 Another Story~


その男と二人きりになるのは五年ぶりだった。

どうしてここに?
今まさにクラウド達が追っているはずのセフィロスを前に、微動だに出来ない。

「...なんの事?」

身体中から汗を吹き出しながら、なんとか誤魔化そうと頭をフル回転させる。

「とぼけるな。白マテリアだ。
今お前が呟(つぶや)いていたな」

「何故気にするの?アレは古代種しか使えないの。
私が持っていても意味はないのよ」

「ほう?
ならばそれを俺に渡しても問題はなさそうだ」

楽しそうに言われ、言葉に行き詰まる。
駄目だ。この人は全てを知っている。
悔しい、バレてたんだ...私の命をかけた、最後の切り札。
それでも渡す訳にはいかない...!

「お喋りをしに来たのではない。
さっさと渡せ。その首、斬り落とすぞ」

正宗の先端が喉に触れ、少しの血が流れた。
震える声を抑え、すかさず言う。

「私を殺したら、あなたも終わりよ」

彼は怪訝そうに片眉を上げる。

「白マテリアは、信頼できる人に預けてある。
私を殺せばあなたがその在り処を知る術(すべ)はなくなるわ。
後はその人がホーリーを唱えて、終わり」

完全にハッタリだった。
白マテリアは今まさに右手の中で、私の汗をふんだんに吸っている。

互いを睨みあったまま、どれくらいの時が過ぎただろう。
彼は更に刀を首に押し付けて来たが、それでも私が口を割らないことを悟ったのか、舌打ちし正宗を下ろした。

心の中で盛大に息を吐く。
乗り切った、そう思ってた。
しかし次の瞬間、彼は微笑む。

「良いものをみせてやろう」

そう言った彼の手の上で、ぼんやりと形を露わにする赤い何か。

あれは...まさか......
誰かの、手...?

途端に催す吐き気。
思わず左手で口を押さえる。

「これが誰のものかわかるか?」

嫌な予感が体を貫いた。
私の知っている...人?
次に聞こえてきた名前は、最も聞きたくないものだった。
彼は私が聞き逃すことのないよう、はっきりと言う。


「クラウドだ」


イマ、ナンテ?


「いやぁぁぁぁあああああああ!!!」

両手で耳を押さえ込む。
これ以上聞きたくない...
彼は無事?
セフィロスに切られたの!?
ちゃんと生きている!!??
足がガクガクと震えてきた。
堪らずその場にへたり込む。

「俺が許さない限り、この手は奴の元には戻らない」

ハッと顔を上げた。
まだ、ちゃんと生きている...?

「また近々会おう」

待って!教えて!!

「その時までに、マテリアをしっかりと取り戻しておくことだ。
お前の体がホーリーに堪えられるとも思わないが、下手な気を起こすなよ」

わかってるわよ、そんな事したらあなたが何をするかは。


「お前達に、望みはない」


立ち上がれないまま声を絞り出す。
涙も出ない。


「ねぇ...あなたは...」

「...誰かに...抱きしめてもらったことは、ある?」

「気でもふれたか?
そんな記憶はないし、必要もない」

冷たく言い放つセフィロス。
そして踵を返し、私の前からかき消えた。





「...可哀想な...人」





One tiny trump 6、へ続きます。


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