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Minority Hour

こちらはFF7 クラウドとティファ のCPを中心とする二次創作小説を扱うサイトです。初めての方は「About this blog」をご覧下さい。コメントはwebclapからお願いします。

   

残された者達


1、2を争う名シーンの後のこと。
ややCloud→Aeris描写が混ざります。
でもクラティ。

暗く、シリアスです。

後半、Cloud×Tifaで生ぬるい15禁描写が入ります。
ご注意ください。

18禁15禁に変更しました。

参考数値:裏度数【☆☆☆☆】
(2011.7.2 加筆)






俺は、ここで旅をやめるべきだ。

その意思に反し、何かに吸い寄せられるよう動く足。

誰か...どうか...

止めてくれ。


残された者達


靴が濡れるのも構わず足を浸した。

いつだって温かだった彼女が眠る場所なのに、水温は俺を嘲笑うかのように冷たい。

夜が明けたら、俺はここを経つだろう。
本当は間違ったことなのに。

いつの間にか、周りに居た仲間達の姿が見当たらないが、各々がどんな時を過ごしているかは想像がついた。


(セフィロスのこと、わたしにまかせて)

そんな細くて弱々しい体で?
本当は、怖くてたまらなかっただろ?

(そして、クラウドは自分のこと考えて。自分が壊れてしまわないように、ね?)

ごめん... それなのに俺は言ったんだ。
‘行きたくない’って。
子供のように、駄々をこねて泣きながら...

(また、ね)

...また?
それはおかしいよ、エアリス。
‘また’っていうのは、もう二度と会えない時には使わないんだ。


...もう二度と...会え、ない...?


頭の中で、何かがプチンと、音を立てて切れた。

「うわぁぁぁぁぁああああ...!!!」

誰かに聞かれるのも構わず、頭を抱えて泣き叫ぶ。

どんなに大声で呼びかけたって、もう...彼女は応えない。





「ち、ちょっと、しっかりしてよ!」

戸惑いを含んだ声。
声の主の顔が、ゆっくりと輪郭を紡ぐ。

...ユフィ?

気付けば地面に片膝をついていた。
体勢を整えながら言う。

「ああ......
セフィロスは言っていた......
北をめざす......雪原のむこうと...」

誰がどう見ても、俺の精神状態は異常だった。

止まらない。
黒いマントの男を追って...

り...ユ、に...オン......





雪国特有の、暖炉のような温かみをたたえたダイニングバー。
それとは真逆の冷え切った心で、一人カウンターで酒を煽る。

忘らるる都を後にした一行が次に身を寄せたのは、雪に閉ざされた小さな村だった。
偶然にも俺達はそこでエアリスの生家を発見する。
彼女独特の雰囲気は、ここに由来するものだったのだろうか?
本来ならば微笑ましいはずであろうその事実も、今は笑って受け止めることは不可能だった。

ごめんな、エアリス。
俺はまた逃げてるよ。

思考を止めるには、寝るか飲むかが一番だ。
一度は床に着いたが前者に失敗した俺は今、ひたすら後者に走っている。
体を暖めるための立派な手段なのだろう。
ここでは度数の高い酒には困らなかった。





ダンッ!

よろめく体が壁にぶつかる。
酒には強い方だが、あれだけ飲むと俺もダメらしい。
なんとか宿屋までは辿り着いたが、自室まであと少しのところで足の力が抜け、壁づたいにズルズルと薄暗い廊下に座り込んだ。
そのまま意識を手放す。


...ド

...ラウド...!

「クラウド!」

肩を揺さぶられる衝撃で目を開ける。
目の前には心配そうにこちらを覗きこむティファ。

「立てる?ちゃんと部屋で寝ないとダメよ」

全くその通りだったが、理不尽にもそう指摘されたのが彼女だった事に苛立ちを覚える。

また...見てたのか?

今までも多少そのけはあったが、ここ最近のティファの態度が俺は気に食わない。
監視するような...腫れ物に触るかのような...不審な物でも見るかの様な目付き。
それなのに、突き放す事もせず取り繕って言う。

「クラウド、疲れてるのよ...
ゆっくり休めばきっと大丈夫だから。 ね?」

そんな訳ないだろう?
どう考えたって、俺はおかしい。
何故俺と向き合わない?
ティファは何を知っているんだ。
生殺しはやめてくれよ...

「大丈...ぶ...一人で、戻れる...よ...」

床と壁に手を突き自らの体を持ち上げようとするが失敗し、再び尻餅をついた。
反射的にティファが俺の腕を掴む。

「触るなよ...!」

酒のせいだろう。
苛立ちをそのままティファにぶつけ、手を振り払った。

こちらを見つめる瞳に、涙がみるみる溜まっていく。
やがて零れ落ちるそれをそのままに、彼女は悲痛の面持ちで最悪な言葉を放った。

「私が...」


「私が死ねば良かったのに...!」


パンッッッ...!


呆然と自らの左頬に指を当てるティファ。
みるみる赤く染まっていくそれ。

「...謝らないから...な」

「今のはエアリスの代わりにやった」

「俺の分も...もう一発やりたいくらいだ...」

ティファ、確かにエアリスは大切だったよ。
でも、彼女の代わりにティファがセフィロスに突き刺されて、俺が満足するとでも思うのか?
そもそも俺は、旅の仲間を天秤にかけるような事はしたことがない。
みんな等しく大切なんだ。
軽々しく死ぬなんて言葉を口にするなよ。
どうしてそんな簡単な事がわからないんだ!

「うっ...」

「...クラウド?」

ダメだ...また、あ、あ...たま...が...

     ......悲しむふりはやめろ

     ...怒りに震える演技も必要ない

     ...なぜなら、クラウド、お前は


     お前は......人形だ


次の瞬間、俺の最も嫌う刀が、目の前のティファの身体を貫いた。

「うわぁぁぁぁぁあああああ!!!」

「!?  クラウド!クラウド!?しっかりしてぇ!!!」

頭を抱えてその場で悶える俺に、泣きながら覆い被さるティファ。
大丈夫だから、大丈夫だから...と、繰り返しながら。

「...一人に...しないで」

「ティファ...側にいて...」

俺の体はカタカタと震えていた。

両頬が何かに包み込まれる。
ゆっくりと顔を上に向けられた。
唇に柔らかい膨らみを感じる。

「...側にいるよ、クラウド...」





厚く頑丈な窓ガラスさえも揺らす、極寒の地の北風。
部屋の中には控えめな灯り。
床に脱ぎ散らされた互いの衣服。

ベッドに横たわる彼女は泣いたままだ。

当たり前だ。
女心にはめっぽう疎いが、こんな形で身体が繋がる事を喜ぶ女なんかいないだろう。

ティファは俺から目を逸らさない。
虚ろなそれは、はっきりと俺を拒絶している。

それなのに、片方は俺の首の後ろに。
もう片方は腰に。
きつく回された、彼女の手。
足も俺の足に絡み付いてくる。
呼吸は重なり、互いの肌はこれでもかというくらい密着していた。

ティファは俺を拒みながらも、目一杯俺を求めてる。
それだけで、今は十分だ。
眠るよりも、酒に溺れるよりも、何よりも心地よい逃げ道。

ティファ、もう言わなくていいよ。
きっと俺は、俺じゃない。
君はそれを知っている。

酷いことをして、ごめん。
利用して、ごめん。

でもこれだけは疑わない。

誰でも良いって訳じゃない。

俺は、ティファだから...
ティファとしか...こんな事は出来ないよ。





朝起きると、隣に彼女の姿はなかった。

体を横たえたまま、ぼんやりと宙を見つめる。

ガタガタと揺れる窓。外は吹雪。

それでも今日、俺はここを経つだろう。

自らの破滅に向かって。


******************


そして...ぐげっ?

慈悲なく殺された者が辛いのは当然ですが、残された方もそれはそれでキツいもの。
二人の初体験は決戦前夜を希望しますが、こんなのも、イイ!
...節操なくて、すみません。




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