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Minority Hour

こちらはFF7 クラウドとティファ のCPを中心とする二次創作小説を扱うサイトです。初めての方は「About this blog」をご覧下さい。コメントはwebclapからお願いします。

   

Secret Frame ll 2

Secret Frame ll 1、の続きです。



Secret Frame ll 2


日が高く昇るまで眠りを漁った後特有の気怠さ。窓に下がる目に慣れたカーテンや心地良く背に反発するマットレスに気の抜けきった体は、目覚めてからもだらしなくシーツの波間を漂い寝返りを打ち続ける。

ドレッサーの椅子の上に丁寧に畳まれた衣服を見ては顔がニヤけた。そろそろ起きるかと寝床から這い出し、一番上に重ねられたシャツに手を伸ばした時だった。 昨夜遅くに床に無造作に転がした革鞄が口を開けていて、詰め込まれていた洗濯物がごっそり取り除かれた底に横たわっている毒々しい表紙の男性誌にギョッと目を剥いた。続いてたらりと伝う冷や汗に自問する。俺、なんでこれ持って帰ってきてるんだ?そうだ。確かあの次の日の朝、寝坊して...

部屋に散らばる荷物をとにかく掻き入れてきたのだった。その後荷の整頓などする訳もなく、存在を忘れ去られた如何わしい本は最悪のタイミングで再び姿を現したらしい。自らの詰めの甘さを呪いたくなるが、この事態を放って置く訳にもいかない。

即刻目を覚ましたクラウドは手早く着替えを済ませると目当ての人物を探しに階下へと降りる。ティファは脱衣所の洗濯機の前にいた。物音がしてもこちらを振り返る気配のない背中に恐る恐る声をかける。

「...ティファ?おはよう」
「ん...」

一拍置いて返って来た相槌のトーンの低さに、万に一つ期待していた希望は絶望的のようだった。

「その...」

切り出しに窮すクラウドを「ごめん、私も気をつけるね」と無感情な声が遮る。

「今度から、もう勝手にバッグ開けたりしないから」

まずい、完全にアウトだ...
決定打にクラウドは項垂れる。ティファは彼に背を向けながら、瞳にジワリと涙が浮かんでくるのを感じた。嬉しかったのに...

“クラウド...?”

ふと感じた冷気と外風の香りに薄っすらと瞼を開ける。暗闇にもぼんやりとほの光るフワフワの髪の毛を無意識に手繰り寄せた。帰ってきてくれたんだ...

“戻りは明日にズレこむかもしれない”

元々タイトなスケジュールを組んでいた彼は夕刻駄目押しとなるトラブルに見舞われたようだった。肩を落とし仕方なく一人ベッドへと潜り込むが、時刻もわからない突如とした帰還に歓喜し、思わず唇を寄せてしまう。

冷んやりと乾いた薄い唇を温めるよう幾度かついばんだ頃、はぁ...と漏れる彼の吐息が湿気を帯びてきた。下腹に押し付けられる身体も鋭さを増してくる。

「眠いよな」

その問いかけが何を言わんとしているかに勘付く。先にキスをしてしまったのはこっちだったし、帰宅した彼が何よりもまず自分を求めてくれるのは内心嬉しい。返事をする代わりにおずおずと熱の籠もった箇所に手を伸ばしそっと包み込んだ。

鋭く息を吸ったクラウドは身につけていた物に手をかけ乱暴に脱ぎ去り、ティファの身体に両手を添わせてくる。 はだけさせた寝巻きの前から覗く柔肌に熱心に舌を這わせていた男が雲行きの怪しさに気付き始めた。快楽に口許を緩めながらも、自らを苦しめている手を股間からやんわりと引き剥がそうとする。

「ティファ、触り過ぎだ。俺、久しぶりだから...」

そう言われても、快感の声を漏らされるとティファも止まれない。不意を突き先端をくすぐった指を慌てて押さえたクラウドは目を閉じ「ふぅ...」と一際大きく息をついた。行動を制限された指先にキュッと力を込められると今度は「うっ...」と体がビクつく。

その様を可愛いと思うと同時に、苦悶の表情から解き放ってあげたい衝動に駆られる。感情が高まるに任せてついつい刺激を与え過ぎてしまった罪悪感もあった。

「いいよ」

耳元で発された魅惑の一言にハッと目を見張るとクラウドは脇目もふらずに分身を押し当てめり込ませてくる。入口に引っかかる最も硬い部分の存在感にぞくりとティファの肌が粟立った。

一度そこを飲み込んでしまえば中心は乾いたそれを拒む事なくヌルリと迎え入れる。まどろみと現実の狭間を漂う身体は脱力しきっていて、いつもより少し正直だった。

「あ......。きっ...つ...」

それでもやや性急に、久方ぶりに収まったそこは狭かった。何度か引き抜き奥へと差し込んだクラウドは締め付けの強さに瞳を開けられない。堪えうる許容範囲を超えた快感と、ティファから施されたいつになく熱心な愛撫を言い訳にストライドを大きくしていった。

打ち付ける度に「あ!」と上向いた白い喉から声が上がる。達する直前の空虚感に身を任せると、何もかもがどうでも良くなった。ドクリと粘体が内を這い上がってきて、全身を爽快感が貫く至高の瞬間を味わい尽くす。

「ごめん...」

せっかちに終わってしまった後決まって彼は謝罪してくるが、ティファは気にしてなどいない。男性の生理には疎いが、それは離れていた間の貞潔の証である気がして安心さえした。

事後にも関わらず愛を込めて落とされる口付けにこそ幸福を感じる。果てても抜き去る事なく、収めたままクラウドは自身の硬さを確かめる。若い彼にはこういう事も多々あった。

「全然足りない。このままもう一回するな」
「あ...ん!あっ!ああ!クラウド!!」

ゆっくりと再開された律動にたまらずティファは後頭部をシーツに擦り付ける。互いの体液が混ざり合いクチャリと音を立て卑猥に泡立った。潤滑油の助けを得て今度こそクラウドは滑らかに彼女の中を行き来する。夢うつつを彷徨う思考はとうとう留めていた理性を手放し、身体の中央を揺さぶり続ける官能的な痺れにティファも全てを委ねていった。



“久しぶり” だなんて言って、嘘だった?ああいうのいつも買ってるの?結局、私じゃなくても誰だっていいんじゃない...
沸々と込み上げてくる不信感と嫌悪感。男性がこういったモノを使用するとは知っていたが、実際にまざまざと見せつけられるとショックだった。

生理的なものとはいえどうしても受け付けない。動きを止めたティファを怪訝に思い、横から顔を覗き込んだクラウドは赤らんだ目の縁に動転して肩に手をかける。

「ティファ...」
「やっ...!」  

汚れたものでも振り払うかの様な反応にはクラウドも傷ついた。ああいった雑誌を購入したのは初めてであったし、期待外れだった内容は導入にこそ使用すれど対象はすぐに愛する人に脳内で変換された。だがそんな事実を逐一伝える訳にもいかず、謝る以外ない。

「ごめん...今回長かったから、つい...」
「うん...男の人にとっては当たり前なことなんだよね。私ももう忘れるから...」

口ではそう言いつつも全くもって納得などしていなさそうなティファにもどかしさを覚える。女性にとっては不快極まりないだろう物を目に付く場所に放置した自分が全面的に悪いのだが...

「あのさ、頼みがあるんだ」

無自覚にクラウドの口を突いた台詞にティファは赤く腫らした眼差しを上げる。続く申し出にゴクリとクラウドの喉仏が波打った。


“ティファの写真が欲しい”


「.........は?」

正に青天の霹靂といった要望に涙を引っ込ませ、ティファは目を真ん丸くする。「写真って...」と先が続かない彼女もそれがアルバムに収めるような類のものではないことは承知しているようだ。一糸纏わぬ...とまでは言い出す勇気のなかったクラウドは意を決し、「下着姿は駄目か?」と聞いた。

「普通なの?そういうことするのって...」

ティファは理解の範疇を大幅に逸脱する発想に血の気を引かせ青ざめる。正直、変態的な行いとしか思えなかった。一方のクラウドは、それが必ずしもカップル間で頻繁に執り行われるとは言わないまでも、遠出の多い自らの仕事の特殊性に加え大切な人を傷つける行為ではないうえ、濡れ場自体を動画に収めるような強者も世には存在する事実を盾に「もっと凄い事を要求する男だっている」と強気に出る。

「いっ...嫌だよ。それにクラウド、前に携帯落としたじゃない。誰かに見られでもしたら...」
「いつの話をしている」

クラウドはポケットからスチャっと携帯電話を取り出した。

「今や顔認証は標準装備だ」

いつの間に買い替えたのか、突きつけられたのは2000万画素数を誇る最新のスマートフォンであった。

「お願いだ。ずっと欲しかったんだ」

口に出してみると願望はひしひしと顕在化する。魅力的この上ない肢体を手中に収め、我が物にしたい。そんじょそこらの身体じゃない。極上のスタイルを誇る恋人はまさしくそれに値する。いつにない力説から本気度を伺い知り、ティファは足場がぬかるんで酷く頼りなくなっていく錯覚に襲われた。

「他の女のじゃ、しちゃ駄目なんだろ?」

穏やかな言い回しはすれど先程の一件を逆手にとりクラウドはしぶとく粘る。頑なに拒絶の意向を崩さなかったティファの肩がピクリと揺れた。思い起こすのは際どい水着に身を包み品のないポーズで男を誘うグラビア女優の表紙。当然それ以上は覗いていないが、中にはより過激なヌードまでが並べられているのだろう。そんな一枚一枚を鼻の下を伸ばして眺めるクラウド。それだけは、絶対に嫌!

「...どんな下着がいいの?」

それがあれば、もうあんな物使わないでくれる?
必死の思いで絞り出された弱々しい声に気が咎めはすれど、驚いたクラウドは喜びを隠せない。

「布がうんと少ないやつ」との冗談とも本気ともつかない指定にティファは顔を真っ赤に染めおたおたするが、一度許可した手前断りはしない。

「い...色は?」  
「黒とか...いいな。透けててもいい」
「透けっ...って、裸と同じじゃない、それは無理!」

狼狽して拳を強く握り締める身体をそっと抱き締めてみる。今回は拒否はされなかった。

「今度、買っておくね」

耳元でされる約束に、クラウドの目は信じられないといった風に見開いたままだ。窮地を乗り切った上に舞い込んで来た棚ぼたに、肩を抱く手に力を込めこっそり片手をグッと握り締めた。





Secret Frame ll 3、へ続きます。



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