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Minority Hour

こちらはFF7 クラウドとティファ のCPを中心とする二次創作小説を扱うサイトです。初めての方は「About this blog」をご覧下さい。コメントはwebclapからお願いします。

   

Eve of a battle to the finish ~前編~

決戦前夜。

裏描写は後編のみです。

裏度数【★★☆☆☆】






何のために、戦うの?


不思議だね、これだけ時間があったのに、皆わかってなかっただなんて。

ううん、少なくとも私はわかってた。

私の戦う理由は、紛れもない...あなたなんだよ。


Eve of a battle to the finish ~前編~


「忘れちゃったの?私......一人なんだもん。どこにも行く所がないんだもの」

ちょっとズルい言い方だったかな。そう言われて女の子を一人ほっぽり出せるクラウドではない。

“一緒にいてもらえる?”

そう素直に言えないのが私らしい。二人揃って帰るところがなくて、少し安心したなんて...口が裂けても言えない。それどころじゃないしね。

ひょっとして、あなたは忘らるる都へ行きたかったんじゃないだろうか。

“気にしないで、好きな所へ行って来てね!”

そう言ってあげられなくてごめんなさい。

不安なんだ。私は立ち止まるとダメなタイプ。本番には結構強いんだけど。

だからお願い。今日だけは側に居させて。





「ティファは、どうする?」

返って来た返事をどうとるべきか。

悲しそうにもみえた。そりゃそうだ。ティファは家を二回無くしてる。人間帰るところがあるにこしたことはない。

しかし、自惚れてしまう自分もいるんだ。
ティファはもしかして、俺を選んでくれたのか?それとも俺といるのは、消去法の結果かな。俺が...俺がここにティファと残ったのはやっぱり...





ああ、嫌。まただ。脳裏に浮かぶフラッシュバック。
刺されたパパ。倒れるエアリス。血の匂い。そして最後は、いつも私...

「一番の問題は苦手意識だと思うのね。どうやって克服したらいい?教えて、ポジティブさん」

(あ~んなに、強いじゃない、ティファは。ドラゴンをひっくり返して投げた時は、正直、ちょっと引いちゃった!)

茶化す彼女。

(ちょっと不安くらいなのが、可愛いんだよ? )

「ありがと」

はたからみたら危ない人みたいだけど、私はこういうやり取りを妄想するのが好きだ。彼女ならきっとこう言うだろうって。

二人で飛空艇に残ったからといって、クラウドとは特別何かを話した訳じゃなかった。明日は大変だから、早く寝ようね。そうお休みなさいを言ったけど、結局寝付けず私は一人甲板にいる。





「眠れないのか?」

部屋の扉をノックしたが、反応はなかった。寝てしまったかと思ったが、ここに居たか。その姿を見てほっとする。俺はまだ、今日を終わらせたくはないんだ。

甲板の手摺に寄りかかっていたティファはこちらを振り返る。

「なんだよ、飲んでたのか?」

少し呆れた口調になってしまう。しかしよく見ると、手摺に置かれたグラスは一つではなかった。

「悪い...邪魔した」
「ん~ん、今ひとしきり報告し終わったところ。クラウドも混じる?」

おどけた様にグラスを持ち上げ、乾杯の仕草をする彼女。

「いよいよね...」
「ああ」

俺もティファの隣で、同じように手摺にもたれた。メテオのせいでその存在感を消してしまっている星たち。夜空は赤黒く、薄気味悪い。これから言おうとしていることの割に、不思議と心の中は穏やかだ。

「なぁ、ティファ」
「ん?」
「ティファは...この戦いが終わったら、どうするんだ?」
「う~ん.........実現するかはわからないけど。またどこかでお店をやりたい、かな」

「どこに行くかもまだ決めてないけどね」と、はにかむティファ。

「そうか...それはいいな」

この旅に出る前、セブンスヘブンでのティファを思い出す。店の中をクルクル動き回り、客と楽しそうに会話するティファ。ティファには戦いより、そっちの方が似合ってる。

「もしそうなったら、クラウドは私の一番最初のお客さんになってよね?」

お客さん...か。自分が思い描いている未来と、彼女のそれとのギャップを見せつけられた気がした。

「クラウドは?」
「え?」
「クラウドはどうするの?」

生唾を飲み込んで話し始まる。ゆっくり。ちゃんと聞こえるように。

「俺は...ミッドガルへ行こうと思う。人が多いしな、仕事も見つけ易いだろう。俺は腕っ節くらいしか能がないけど、そこで何か人の役に立てる仕事を探して、普通の生活がしたいんだ」

「...そう、素敵だね。うん。きっと出来るよ、クラウドなら。普通の生活」微笑を浮かべてこちらを見るティファ。俺の一番好きな顔。手摺から離れてティファの方へ体を向ける。心臓が高鳴る。

「だから...」
「ん?」
「だから、ティファも一緒に来てくれないか?」
「...え?」
「...俺...俺、ティファが...
...ティファが側に居てくれたら、何だって出来るような気がするんだ」

こちらを向くティファ。頬は赤い。俺はもう心臓がバクバクして、生きた心地がしなかった。

しばらくして指先に温かみを感じた。俺の手の先っぽを、遠慮がちに握ってティファは言う。

「...うん」

次の瞬間、逆にティファの手を掴み直し、勢いよく自分の元へ引き寄せた。我慢できず、そのまま抱きしめる。信じられないくらい柔らかい身体と、鼻を掠める彼女の香り。頭の芯がクラクラくる。

ティファが腕の中で身じろぎするのを感じ、少し力を緩めた。嫌なのか? しかしティファはそろそろと俺の背中に自らの腕を回すと、肩に頭を乗せてきた。


愛おしい。


頭がカッとして、一つの感情で一杯になった。止まらない。止まれない。抱きしめたまま、自分の頭でティファの頭をグイと押し、上を向かせる。そのまま顔を近づけた。あと少し。

触れ合うだけの短いキス。しかし離れた矢先にもう一度欲しくなる。二度目は唇を少し舐めてみた。目を閉じたまま、ハッと息を飲むティファ。


ティファ、愛おしい。


ごめん、止まってあげられない。唇の間に舌を割り入れる。同時に沸き起こる女性特有の甘い香り。

「はっ...」
「ん...」

お互いの息が漏れる声に混ざる、舌と唾液が絡まり合ういやらしい音。興奮を抑えきれない。彼女にはもうバレバレだろう。強く押し付けた俺の身体がどうなっているか。
ゆうに10分は、夢中で深いキスを繰り返してたと思う。

「部屋...行かないか?」

何を言わんとしているのかを悟り、ティファはあからさまにうろたえた。

「軽蔑するか?こんな時にこんなこと考えて」

我ながら卑怯な言い方だなと思ったが、もう俺はどうしようもなく彼女が欲しかった。

「...ううん。そんな事思わない」

「...だって」顔をグシャっと歪ませるティファ。

「だって... 

...もう本当に最後かもしれない...!!」





後編に続きます。



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