Minority Hour

コメントで女子会とのキーワードをいただき...シエラさんおりませんがユフィとです。
クラティ×ヴィンユフィでノロケ&赤裸々大会。

Time flies


うちも気分転換にカトラリーでも総取っ替えしてみようか。見目麗しく細工のなされた銀色のナイフをかざし胸をときめかせる。顔を合わせるのは久しぶりであったが以前の間合いを取り戻すのに時間はかからなかった。気になるランチ処への誘いに快く乗ってくれた忍者娘の話題の転換方法は相変わらず潔く、配慮とは全くの無縁である。

「あーあ。エアリスとティファ、直接戦わせてみたかったナ～」
「...悪趣味だなぁ。それに人をモンスターみたいに言わないでくれる？」

「まいっか、どっちが泣くのも見たくないし」珍しく情けを垣間見せるユフィに「案外、恋が叶った方が泣かされたりして」と返すと、「あはっ！それ、ティファが言っちゃう！？」と爆笑された。こんなことも笑い話に出来るくらい、思えば随分と時は経ったものだ。何でも話せるのはユフィだからかもしれない。友人はいるが洗いざらい打ち明けられる相手は多くない。

近頃旅の仲間の一人と愛を育みだしたユフィの境遇を冷静に分析すると、逆風にも飄々とする心には恐れ入る。年齢差もさることながら、肉体改造により得た人外の体。その癖女性の影はなにかと絶えなくて、最たるものはやはりアレである。“美しい誰それ...” なんて別の女性の名前を詩的に謳われた日には、私だったら再起不能になっちゃうかも。

こっちの心配を他所に、始まったばかりの恋が楽しくてしょうがないユフィはいつにも増し流暢だ。セブンスヘブンと違い家族の目のない場所での会話は自然とそっち方面で盛り上がる。

「あ～、アタシは無理。クラウドみたいなお子ちゃまは」
「...女性の扱いが上手過ぎるのもどうかと思うよ？」

悔し紛れの反撃には思うところがあったようで、ユフィの目元がピクリと歪む。

「下手過ぎるよかいーよ」
「そう？たまには優位に立ちたいじゃない」

一歩リードしている気のティファに目の前の白い歯は牙を剥く。「どんな時に優位に立つの〜？」と逆に足元をすくわれ、「そ、それは...」と言葉に詰まると「や～～らしい！」と畳み掛けられた。

「そんなんじゃないってば」
「じゃ、どーゆー時よ！？」

ニヤつく顔にその手の話題を避ける気配はない。場を切り抜けようと話を振り返した。

「結ばれたんだ？彼と」

ところが期待に反し、ユフィはつまらなそうに「いや、まだ」と頭の裏で指を組む。しばらくその格好のまま考え込んでいた彼女は決心した様に口を開いた。

「いっ.........ウソ。やっぱなんでもない」
「何？言ってよ。気になるじゃない」

そうは言いつつも一体どんな告白が出てくるんだろうと身構える。次ヴィンセントに会う時にどんな顔をしていいのかわからなくなるような内容じゃなきゃいいけど...

「いっ......一緒に寝てるんだよ？おかしくない？」

赤らんだ顔から発された純朴な悩み事に笑みが漏れる。微笑ましい質問への答えは一つだ。

「大切にされてるんだよ」
「そうかなぁ」
「そんな余裕保ってられるのも今の内」
「...痛い？」
「それはもう、気が遠くなるほど」
「うへぇ...じゃ、まだいい」

「羨ましいな。愛されてて」年若い彼女を気遣うべく彼が設けた何らかの信念があるのだろう。若さ溢れるクラウドには到底真似出来ない忍耐強さに今度は素直に負けを認める。なんせこちらは告白抜きの、ファーストキスとも同時の怒涛の急展開だった。“こうして二人でいると、本当は何を話したかったのか...” なんて肝心な時に怖気付く彼に助け船を出しちゃった私もいけないけど...

「そんなにがっついてたんだ、クラウドは」

ふと気づくと耳年増は前のめり、目は爛々と輝きだす。

「やっぱあの日？初めては」
「...黙秘します」
「無節操男は週何ぐらいで相手してやんなきゃなんないの？」
「ユフィ〜〜〜〜」

またサラサラと時は流れて、過去の過ちは笑い飛ばしながら、たまには相談も受けつつ彼女も一つ大人になって...

...その内、アッサリ逆転されたりして。懸命に暴れ馬を操縦し主導権を取り戻そうと手を焼くティファが、ユフィに対して優勢を保てる時間もそう長くはないようだ。


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time flies=時が経つのは早いもの