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Minority Hour

こちらはFF7 クラウドとティファ のCPを中心とする二次創作小説を扱うサイトです。初めての方は「About this blog」をご覧下さい。コメントはwebclapからお願いします。

   

Short Short lV

Short Shortその4。
リメイク発売記念です。※お昼寝シリーズ+ゴミ



siesta


エッジ内での配達の隙間時間に自宅へと忘れ物を取りに戻った。人の気配はするが、店に主の姿はない。クラウドは自室を覗くついでに半階上の部屋へと足を伸ばした。

(寝てる...)

そっとドアを開けた先にはソファに身を横たえ、静かに寝息を立てるティファ。睡眠不足を心配すると、昼の営業後に仮眠を取ることもあると申告されたことはあるが実際に目にするのは初めてだ。一抹の寂しさを覚えつつもそろりと場を離れようとした時だった。ふと思いつきポケットから携帯電話を取り出しカメラを起動させる。

ティファの寝顔を拝める機会は多くない。長い睫毛の根元にある大きな瞳は瞼に覆われているが、それでもなお通った鼻筋から顔立ちが整っていることが見て取れる。日中はキリっとしている眉も力が抜け、全体的にあどけない。おのずと緩む口許をそのままに、レンズの焦点を合わせシャッターを切ろうとした正にその時だった。ぴったり閉じていた目の前の瞼は突然パチリと開き、動揺したクラウドの手元が勢い余って小型の機器はパシャリと派手な音を立てる。



「まったく、油断も隙もないんだから」

浅い眠りから早くも覚醒しきったティファは口調も淀みない。直ちに画像の消去を命じられ肩を落とす男を忌々しく睨みつける。涎を垂らした間抜け面を激写されかねん状況にティファは肝を冷やす。

「どうせ子供達とかユフィに見せびらかして話のネタにする気だったんでしょ?」
「まさか。そんな勿体無いことするか」

ティファはクラウドの発した台詞に違和感を覚え眉をひそめた。...“勿体無い?”

「じゃあ何に使う気だったの?」
「ただ一人で見るだけだ」

しょげきった男が続けて漏らした嘆きには思わず目を見張る。

「せっかく可愛かったのに...」

うう、不覚...
赤く染まってくるのがわかる頬を両手で覆う。前を向けない理由は怒っているからにしておこう。


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siesta=お昼寝 (リメイク発売記念その1)





本編でのティファのお昼寝。
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siesta ll


地図の通り、ひらけた水辺へと到着した旅の仲間達。あたりにモンスターの気配がない事を確認すると、一行のまとめ役である青年は背後を振り返った。

「よし、みんな。ここで三十分休憩にし...」

言いかけた彼を待たずして、一団は皆思い思いに姿勢を崩し休息の体勢を取り始める。

「キッつ...」
「くわぁあ」

犬歯を露わに大口を開けるナナキ。その背中を我先にとベッドにし、特等席を確保したユフィは早くも丸まり寝に入った。昨夜の就寝が深夜までズレ込んだにも関わらず、先を急ぐ一行は連日の野宿を避ける為、今朝は陽が昇る前にテントを畳み予定通り過酷なスケジュールを強行した。

自らも体力の回復に徹しようと腰を落ち着かせる場を探るクラウドは、池の淵にそびえ立つ大樹の影に見馴れない寝姿を発見する。横倒しに折り曲げられた長い足。すらりと白い腕は力なく両脇に降ろされていた。耳に引っ掛けられた黒髪ははらりと落ちて俯いた顔を半ば覆ってはいたが、普段は日中まどろむ事もしない凛々しい瞳は無防備に閉じられている。

いくら時間に追われようとも腹は減る。本日の食事としてボリューム満点のサンドイッチを人数分用意してくれたティファは、昨夜は殆ど眠っていないのだろう。働き者である彼女の睡眠時間は他の者と比べ常に短くなりがちだ。次に辿り着いた街ではきちんと宿を取り、しっかりと休ませてやらなくては。

「ん...」

身動いだティファがバランスを崩しカクンと片側に倒れ、隣で腕組みをして寝入っていたバレットにもたれそうになる。それを見たクラウドは周囲を見渡しいずれの瞼も閉ざされている事を確認すると、大きめの咳払いをした。幸いにも空間の静寂は響いた音にも何ら影響を受けない。微かに耳に届く穏やかな寝息に勇気づけられ、クラウドは傾いていたティファの肩を逆方向にチョンと押した。

力の抜けた身体は容易に姿勢を変え、清涼な香りの立つ豊かな髪が首筋をくすぐってくる。物音に敏いナナキの片目だけが薄っすらと開いたが、誰にも気付かれないままそれは再び堅く閉ざされた。一瞬だけ捕らえた光景に自ずと傷跡のある頬は緩む。数奇な運命に翻弄され続けたその青年の、寄せられた頭にもたれる顔がそんな風に安らいでいるのは初めてだった。


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(リメイク発売記念その2)





siesta lll


「クラウド、いないの?入るよ?」

ドアからヒョイと首だけを覗かせたティファは、慌てて口を噤んだ。部屋の主はベッドにそっくり返りピクリともしない。人の気配に敏感なクラウドを今の呼びかけで起こしてしまったかと、そろそろと顔を覗き込む。だがその心配はすぐに消え去り、代わりに彼女の口元には笑みが訪れた。

「すっごい寝相...」

足は片方床に落ち、両手もおかしな方向に投げ出されている。ずり上がったシャツの裾からは臍が覗き、更には口まで半開きである。隙まみれの寝姿に、ティファはベッドに腰掛けると用件も忘れ無防備な寝顔にまじまじと見入った。常日頃は無理くり目付きを鋭く見せようと必死な眉は緩みきり、あるのは少年さながらのベビーフェイスだけだ。

(もう、可愛い〜!)

直接伝えでもしたら苦い顔をされてしまうだろう叫びをこっそり心の中で上げ、ティファは身悶える。彼が自らのあどけない顔付きを嫌ってるのは知っていたが、こればかりは母性本能でしかなかった。それにしてもクラウドがこれほどまでグッスリと寝入るのも珍しい。ほんの半年前までは...

「ティファ」

不意な呼びかけにティファはパチクリと目を瞬く。一瞬真面目顔に戻ったクラウドが何を言い出すのかと続く言葉を待った。

「おかわり」

嫌に明瞭に放たれた間の抜けた要求にはプッと笑いが込み上げた。だが同時に目頭に熱いものも浮かぶ。立て続けに最悪の時分を迎えた一昔前の自分達は、こんな日を迎えられるとは夢にも思わなかった。星痕が癒えてからも彼が夜通し深い眠りにつけるようになるまでは長い時間を要し、クラウド自身もそれを支えるティファも辛い時期であった。

「さっきもう沢山食べたじゃない」

そっと金色の前髪を掻き分け、夢の中の自分は彼の望む返事をしていれば良いと願う。「ちょっと待っててね」ティファは子供部屋から毛布を持ってきて、寒そうにしているお腹を温めてあげてからじっくりと続きを堪能しようと腰を持ち上げる。どちらに対する返答だか、クラウドは「うん...」と満足そうに頷きムニャムニャと口を動かした。


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(リメイク発売記念その3)





本編のクラウドのお昼寝 (※してない)
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siesta lV


「クラウド、思い切って吐いちゃった方がスッキリするよ」

慈しみ溢れる声と、背中を優しくさする動作にクラウドは嘔吐を我慢するのを諦める。

「う...おえっ...」

かっこ悪い...
だがこれ以上の醜態を既に散々晒してるんだし...なんて妙な開き直りも生じる。面子を手放したクラウドはただただ背中に心地よい暖かな手だけに感覚を集中させる。

「はい」

うがい用のミネラルウォーターを手渡してくれるティファはクラウドの顔に幾分か血色が戻った事に安堵の微笑みをたたえた。「少し横になったら?」との提案にすっかり弱り切ったクラウドは素直に従う。

「悪い、みんな。十分...いや、二十分くれ」
「おうよ。どうせお前が使い物にならなきゃ事が運ばねぇんだ、好きなだけ休め」

命に別状は無い乗り物酔いにティファ以外の仲間の反応はドライである。いつもは心強い同志であるユフィはチョコボを使う別ルートを辿ったため、今は木の上でうたた寝をしながら文字通り高みの見物ときていた。

「クラウド、ここ来る?頭高くした方が楽かも」

土の上に無造作に寝転がったクラウドは、隣に正座するティファが指差した先に目を疑った。何でもない顔をしている彼女は恐らく自らの膝の価値を低く見積り過ぎているに違いない。そして彼ではない別の誰かが具合を悪くしても、きっと彼女は同じ風に申し出ただろう。ハッと辺りを見渡すが目が合う者はいない。なんとなく周囲の空気が張り詰めていることを感じつつも、千載一遇のチャンスを逃すのは惜しい。

「そ、そうだな。じゃ、遠慮なく...」

ボソボソと小声で返すクラウドはえいやで折り畳まれたティファの膝元に後頭部を横たえた。

(や、柔らか過ぎる...)

それだけではなく張りのある弾力でプニプニと跳ね返され、良い匂いまでする...
クラウドは自らの両眼がギンギンに見開かれていくのを自覚した。

(これは...とてもじゃないが寝られない...というか、寝たら勿体ない...)

「クラウド、顔が真っ赤...熱でもあるの?」
「またちょっと気持ち悪くなってきたかも...うぷ...」
「大丈夫!?」
「ガタガタうるせぇなぁ、とっとと寝やがれ!」

唾を飛ばすバレットを除く全員は気付いていた。その膝枕がマズいんだろうと。だがそんな指摘をして休憩時間が短縮されるのを好む勤勉な者は一人もおらず、魅惑の枕からテコでも動かないクラウドの回復には小一時間を要した。


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(リメイク発売記念その4)





嗚呼、軟体動物


「クラウドって、嫌いな食べ物ないの?」

父の日に手料理を振る舞いたいと提案してきたマリンの発した素朴な疑問。食材の名前には詳しくないが、基本的に彼は何でもよく食べる。だが折角の祝日に不幸な事故が起こる危険は阻止せねばならない。

「それはね...ズバリ、イカよ」
「イカぁ?」

かく言うティファも二年経った今も克服しきれたとは言い難い。デリケートな彼はついでにタコまでダメになった。我が家の食卓でなかなかお目見えしないそれをマリンはよく知らない。

「白くて、噛み応えがあってサッパリしてて美味しくて...」
「美味しい?美味しいのに嫌いになっちゃったの?」

マリンの指摘にティファはハッと目を見張る。

「イカは、悪くないんだけどね...」

クラウドが家を出た頃のような顔をするティファ。何があったの?聞くに聞けないマリンもこれだけはわかる。二人はきっと、思い出に負けたんだ...


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(リメイク発売記念その5)





嗚呼、軟体動物 ll


もうダメだと思った。クラウドは...また、出て行ってしまった。静まり返る子供部屋で、二人手を繋ぎ震えながら午後を過ごした。

事の発端は休日のランチ中、デンゼルが呟いた一言。

「あ、イカじゃん。珍しい!」

瞬間、隣で五目炒めをがっついていた男が凍りついた。あとはご想像の通り、惨たらしい言い合い、罵り合いの嵐だ。

「足じゃなければいけるかなって思ったのよ...」
「それにしても一言断るべきだろう?それにティファの皿には入ってないじゃないか!」

そう、彼女の食器からちゃっかり問題の食材は綺麗に取り除かれ、見事な四目炒めになっていた。「さばいてたら気持ち悪くなっちゃって...」そんな身の保身が透けた裏切り行為以上に許せなかったのは次の主張だ。

ーーだって安かったんだもん!

それを最後に家を飛び出した。

「マリン。クラウド、裏手の公園にいると思うの...」

相変わらず電話は通じないが、全面的に非を認めたティファの譲歩と読めた行動範囲に一条の光明が差し込む。カアカアとカラスが鳴く夕暮れを背にブランコがキィと揺れていた。「クラウド、お家に帰ろう?」結局彼を立ち上がらせるものはいつだって守る対象のはずのか弱い手。返事の代わりに昼飯を抜いた男の腹がグウと鳴った。


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(リメイク発売記念その6)





嗚呼、軟体動物 lll


「アイツら、ふっつ〜に食ってんな...」

亀道楽にて一堂に会した面々は隣のテーブルに目を剥く。

「やっぱしウータイ料理には欠かせないんだよね〜」
「そうそう、一気にレパートリー狭まっちゃって...」
「「ゲソは無理だけどね〜〜」」

ケタケタ笑い次から次へと白い物体を食すティファとユフィに男連中は吐き気を催す。思い起こすは二年前の何時間にも渡る死闘。二度と蘇らないようにと入念にグチャグチャに叩き潰し最後は液状化するまで...

「味っていうより臭いだよな...」
「ああ、似てた。くっせ〜んだ...」
「あと感触も...」

ティファの隣で食べ残された吸盤つきの足をプランと口からはみ出させたデンゼルが不思議そうにこちらを窺い、目が合った。

「おえっ...」
「うお!汚ねーな、クラウド。こっち向くな!」


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(リメイク発売記念その7)



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